海外「額に入れて飾りたい」日本版レトロゲームの箱絵が話題に、北米版で絵が変わることもあったのはなぜ?

0コメント
世界の話題
このページは広告が含まれています。

海外掲示板Redditのレトロゲームコミュニティ「r/retrogaming」に、日本版メガドライブのパッケージをずらりと並べた投稿がありました。

The Mega Drive in Japan had some of the best cover art in gaming history
by u/Altruistic-Club-4038 in retrogaming

『ファンタシースターII』『ガンスターヒーローズ』『ベア・ナックルIII』などが並ぶなか、投稿者がとくに推していたのが『ジュエル・マスター』。「この絵は博物館に飾られていてもいい」とまで書いています。

コメント欄を見ていると、ゲームの箱というより、すでに「絵」として見られているようでした。

うん! いつか本当に、これをポスターサイズでプリントしたものが欲しい。

— u/MegadriveYM2612

これは『アリシアドラグーン』の日本版パッケージを見たユーザーの反応です。投稿者自身も、今回の画像には表面だけではなく「表も裏も良いもの」を入れようとしたと説明していました。

別のユーザーは、日本版を輸入していた当時を振り返っています。

箱絵がはるかに良かったのも、90年代初めに見つけるたび日本版メガドライブのソフトを買っていた理由の一つだった。もう一つは、地元の輸入店ではなぜか北米版より安かったこと。

— u/NeoZeedeater

ここまで違って見えると、もう一つ気になることがあります。

なぜ、同じゲームなのに北米版では別の絵が使われることがあったのでしょうか。

広告下に海外の反応が続いています
広告下に海外の反応が続いています

「なぜこの絵を海外でも使わなかったの?」

コメント欄でも、そこに疑問を持った人がいました。

90年代にこちらの市場向けに「西洋化」する判断をしていた人たちは、なぜ自分たちにはこの素晴らしい箱絵を受け入れられないと思ったんだろう。

— u/trer24

別のユーザーは、

日本のゲームがアメリカに来たとき、マーケティング側はアメリカ人にはアニメ調の絵が好まれないと考えて、パッケージの絵を変更していた。

— u/TheBigCore

と説明しています。

ただ、ここは少し慎重に見たほうがよさそうです。

今回確認した範囲では、「アメリカではアニメ調の箱絵が売れないため変更する」というセガ共通の明文化されたルールまでは確認できませんでした。

一方、セガの北米法人であるセガ・オブ・アメリカが、現地市場に合わせて広告や商品の見せ方を積極的に変えていたことは、当時の関係者の証言から確認できます。

セガ公式のハード史では、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』は海外、特に北米を強く意識してデザインされ、北米ではライバル機との比較広告など「クールなイメージ」を押し出す戦略が取られていたと説明されています。

当時セガ・オブ・アメリカでマーケティングを担当していたアル・ニルセンも、後年のインタビューで、日本側との間では「米国市場にとって正しいことをする」という観点があったと振り返っています。

北米ではメガドライブが「Genesis」という名称で販売されましたが、ニルセンによれば、これは米国内で「Mega Drive」の商標を別企業が保有していたことが直接のきっかけでした。箱絵の変更と同じ理由だったわけではありません。

少なくとも広告やキャラクターの見せ方については、日本で作ったものをそのまま持ち込むのではなく、北米市場を意識して調整していた時代だったことが分かります。

北米版にも、新しく描き起こされた箱絵があった

実際の制作現場を見ると、北米版のために新たなイラストが正式に発注されていた例もあります。

Genesis向けに『Steel Empire』『Thunder Force II』『Herzog Zwei』などのパッケージを描いた米国のイラストレーター、マーク・エリクセンは、セガは複数の外部デザイン会社と仕事をしていたようだと振り返り、自身のセガ向けの仕事も複数の会社を通じて依頼されたと説明しています。

『Herzog Zwei』では、『Thunder Force II』を担当した実績からエリクセン自身が指定され、攻撃機を後ろから見る構図にしてほしいという具体的な注文も受けたといいます。

『ベア・ナックルII』の海外版『Streets of Rage 2』を描いたミック・マクギンティの公式サイトでも、家族による解説として、原画は広告に使ったりケースの裏まで回り込ませたりできるよう、大きな一枚絵として制作されたことが紹介されています。

少なくともこうした作品では、日本版の絵を単に別の画像へ差し替えただけではなく、北米向けの商品として新たなイラスト制作が行われていました。

広告下に記事が続いています
広告下に記事が続いています

初代ソニックも、北米用に別の絵が描かれていた

分かりやすい例が、1991年の初代『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』です。

北米版Genesisのパッケージを描いたのは、米国のイラストレーター、Greg Wray(グレッグ・レイ)でした。

ゲームアートを調査しているVGDensetsuでは、作者本人のサイトに掲載されていた作品などを根拠として、初代北米版のカバーをGreg Wrayの仕事として記録しています。

さらに、セガと共同制作された公式ライセンス本『Sonic the Hedgehog Art & Design Book』を刊行したCook & Beckerの解説でも、北米版をGreg Wrayが担当したことが明記されています。

そこでは、日本・欧州版と比べてトゲを鋭くし、表情や輪郭もより角張った印象にするなど、北米向けにソニックの見せ方が調整されたことが紹介されています。

同じキャラクター、同じゲームでも、パッケージでは市場に合わせて別の見せ方を用意する。

初代ソニックは、そのことがかなり分かりやすく残っている例です。

とはいえ、全部が描き直されたわけではない

ここで、スレッドの中から少しややこしい例も出てきます。

『スペースハリアーII』について、あるユーザーが、

北米版のカバーも基本的には同じだよ。

— u/iamblankenstein

と指摘しました。

すると投稿者は、

デザイン自体は同じだけど、日本版では裏側まで絵が続いていて、それがものすごく良い効果を出している。

— u/Altruistic-Club-4038

と返しています。

実際、パッケージ資料を確認すると、日本版と米国版の両方が残っており、地域が変われば必ず別イラストになったわけではありません。

「北米ではアニメ風の絵を使わなかった」という一つのルールですべて説明しようとすると、このような例がこぼれてしまいます。

今回確認できた事例を見る限り、地域向けのブランド表現、新しいイラストの発注、既存アートの継続使用、広告やパッケージでの利用方法など、作品によって事情はさまざまだったと見るほうが資料には合っています。

広告下に記事が続いています
広告下に記事が続いています

『ジュエル・マスター』の絵には、ちゃんと作者がいた

今回の投稿で「博物館に置いてほしい」とまで言われていた『ジュエル・マスター』。

日本版パッケージを描いたのは、イラストレーターの塩谷博明氏でした。

VGDensetsuでは、1994年にグラフィック社から刊行された『SEGA TVゲーム原画ギャラリー』を出典として、日本版『ジュエル・マスター』のカバーを塩谷氏の仕事として記録しています。

コメント欄には、

アメリカ組は損した気分だ。何枚か大きくプリントして額に入れたい。とくに『ファンタシースターII』が好きだ。

— u/Warm-Driver-4063

という声もありました。

30年以上前には店頭でゲームを手に取ってもらうために描かれたパッケージが、いまは「額に入れたい」「壁に飾りたい」と箱絵そのものでも評価されています。

同じゲームから、地域ごとに違う絵が残ったメガドライブ時代。並べて眺めていると、ゲームのパッケージというより、当時のイラスト集を見ているようです。

amazon.co.jp
メガドライブパーフェクトカタログ
¥3,960円 税込(2026年9月18日時点)
Amazon.co.jpで見る

参考情報と翻訳元

コメント

タイトルとURLをコピーしました