「ギャング」と聞いて何を思い浮かべる? 各国で違う“典型像”がRedditで話題に

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(最終更新日:2026年10月2日)

「あなたの国では、“ギャング”ってどんなふうに描かれる?」

2026年9月、世界各国の参加者が集まるRedditコミュニティ「r/AskTheWorld」に、韓国の投稿者が画像を添えてこんな質問を投稿しました。

How are ‘gangsters?’ typically portrayed in your country?
by u/DeleteLaterToday in AskTheWorld

すると英国では俳優のトム・ハーディ、アイルランドではジャージ姿、メキシコでは一見普通のおじさんのような人物など、国によってかなり違う答えが集まりました。

なお、このスレッドでいう「gangster」はかなり幅広く使われています。マフィアのような組織犯罪者だけでなく、ストリートギャング、バイカー、不良の若者文化まで一緒に語られていました。

そのため今回は、「実際のギャングはこういう服を着ている」という話ではなく、それぞれの国の参加者が「ギャング」と聞いて何を思い浮かべたのかを見ていきます。

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イギリス「トム・ハーディが演じる」

英国から寄せられた回答は、驚くほど簡潔でした。

トム・ハーディが演じる。

— u/PresidentPopcorn(イギリス)

すると韓国の投稿主が、

彼はさすがにセクシーすぎると思う。

— u/DeleteLaterToday(韓国)

と返しています。

なぜ「英国のギャング」と聞いて、トム・ハーディの名前が出てきたのでしょうか。

分かりやすい作品が、2015年の映画『Legend』です。ハーディは、1960年代のロンドンの裏社会で知られたクレイ兄弟、レジーとロニーを一人二役で演じました。

英国映画協会(BFI)は、この2人をロンドン東部の「ギャング」と紹介しています。ハーディはほかにも、2008年の『Bronson』で英国の著名な暴力的受刑者チャールズ・ブロンソンを演じるなど、犯罪者役でも知られてきました。

トム・ハーディが英国の犯罪映画で印象的な犯罪者役を演じてきたことが、この回答の背景にはありそうです。

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アイルランドではドラマ『Love/Hate』

アイルランドからは、特定の俳優ではなくテレビドラマの名前が挙がりました。

アイルランドのテレビドラマ『Love/Hate』。

見た目や社会的背景などの点では、かなり正確だと思う。

— u/Legitimate-Concernz(アイルランド)

『Love/Hate』は2010年に始まったアイルランドの犯罪ドラマです。

アイルランドの公共放送RTÉによると、ダブリンの犯罪社会に生きる架空の人物たちを描いた作品で、全5シーズンが制作されました。

スレッドに貼られた『Love/Hate』の画像を見たロシアの参加者は、「ロシアっぽく見える。でもロシアなら、その格好をしているのはギャングというより軽犯罪者だ」と反応しています。

さらにアメリカからは、こんな冗談も。

アイルランドのギャングのせいで、俺たちにとってアディダスのイメージが本当に台無しになった。

— u/KushMuffin(アメリカ)

スーツ姿のマフィアとはずいぶん違います。今回のスレッドでは、アイルランドのギャング像として、ジャージの上下、いわゆるトラックスーツ姿がかなり印象に残ったようです。

メキシコ「普通のおじさんみたいな人のほうが怖い」

メキシコから投稿された画像には、こんな説明が添えられていました。

現実では、こういう見た目の連中のほうが、タトゥーだらけのチンピラより100万倍怖いって言ったら信じる?

— u/Ponchorello7(メキシコ)

それを見たアメリカの参加者も、

もちろん。怖がるべきなのは、その辺にいる普通のおじさんみたいに見える連中なんだよ。

— u/uhmerikin(アメリカ)

と返しています。

「この人たちは誰?」という質問に対して、画像を投稿した本人は、メキシコ映画『El Infierno』の主要人物だと説明していました。

メキシコ文化省の文化情報システム(SIC)によると、『El Infierno』はルイス・エストラーダ監督による2010年のメキシコ映画。英題は『Hell』で、米国から故郷へ強制送還された主人公が麻薬ビジネスへ関わっていく物語です。

つまり、ここで語られているのも「実際の犯罪者は必ずこの格好をする」という話ではありません。映画によって形作られたギャング像と、「いかにも怖そうな格好をしているとは限らない」という参加者の感覚が重なった回答でした。

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ロシア「アディダス姿はギャングではなくゴプニク」

ロシアの話では、外から見たイメージと現地側のイメージのずれがよく表れていました。

アメリカの参加者は、

たぶん多くのアメリカ人は、ロシアのギャングといえばアディダスのトラックスーツ姿を思い浮かべると思う。

ほぼ『GTA IV』のせい(笑)。

— u/itsjustmenate(アメリカ)

とコメントしています。

『グランド・セフト・オートIV(GTA IV)』は、犯罪社会を題材にしたアクションゲームです。

ところがロシアからは、

アディダスはゴプニクとか下っ端のチンピラのほうだよ。

— u/TiranTheTyrant(ロシア)

と返ってきました。

「ゴプニク(gopnik)」は、ロシアなど旧ソ連圏の不良的な若者像・サブカルチャーを指す言葉です。査読誌『Nationalities Papers』に掲載された論文でも、ゴプニクはステレオタイプとして、トラックスーツ、特にアディダスを着た姿で描かれると説明されています。

つまり少なくとも、このスレッドのロシア側参加者にとっては「アディダス姿=組織犯罪のボス」というわけではありません。

別のやり取りでは、アメリカ人がロシアのギャングを「黒い革ジャンに、メルセデスの大型SUVであるGクラス」と想像すると、ロシアの参加者から「革ジャンは合っているけど、当時のボスなら高級セダンのSクラス」という細かな訂正も入っていました。

海外作品などから作られた「ロシアン・ギャング」のイメージと、現地で区別されている不良文化のイメージは、必ずしも同じではないようです。

イタリアでは「格好」よりもマフィアそのもの

イタリアの参加者は、服装よりも「マフィアがどう描かれるか」を答えていました。

典型的にはマフィアのような人たち。だから、ものすごく暴力的で、金と権力、威圧を好み、教育水準が低く、自分たちの掟に極端に忠実な人々として描かれる。

マフィアは基本的に国内テロ組織でもあったので、完全に共感できる人物として描くのは難しい。ロマン化されることもあるけど、たいていは実在のマフィアではなく架空のマフィアだと思う。

— u/ltraistinto(イタリア)

これは一人の参加者による説明なので、そのままイタリア社会全体の考え方と受け取ることはできません。

ただし、「テロ」という言葉が出てくる背景には実際の歴史があります。

イタリア内務省傘下の反マフィア捜査局(DIA)は、シチリアを拠点とするマフィア組織「コーザ・ノストラ」が関わった1992~1993年の一連の爆破事件を記録しています。

1992年5月には、反マフィア捜査で知られた判事ジョヴァンニ・ファルコーネと妻、警護官3人が高速道路での爆破により死亡。1993年にはローマ、フィレンツェ、ミラノなどでも爆弾攻撃が起きました。DIAはフィレンツェの事件について、民主的な制度や市民生活を不安定化させるマフィアの計画の一部だったと説明しています。

「マフィア=いつでもテロ組織」と単純化することはできませんが、映画の中の格好いい犯罪者だけでは済まない歴史が、この回答の背景にはあります。

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オーストラリアでは「Eshay」はギャングなのか?

オーストラリアからは「Eshay(エシェイ)」という、日本ではあまり聞かない言葉が出てきました。

コメントに登場する「ピッグ・ラテン」とは、英単語の最初の音を後ろへ回すなどして形を変える言葉遊びです。

彼らはEshayと呼ばれている。主に店から物を盗んだり、ピッグ・ラテンを話したりする。ひとつのサブカルチャーで、公共の場で中年のEshayと10代前半のEshayが、どの店から盗んだかで意気投合しているのを聞いたことがある。

みんな嫌っている。

— u/pinkpepr(オーストラリア)

これは、この参加者自身の経験と評価です。

オーストラリア放送協会ABCが2026年8月にオーストラリア国立辞書センターの研究者へ聞いたところでは、「eshay」はスポーツウェアなど特徴的な服装をする若者文化を指す言葉で、反社会的なグループと結び付けられることもあります。

語源はピッグ・ラテンに由来するとみられていますが、「yes lad」から来たのか「sesh」から来たのかは確定していません。

実際、同じスレッドの別のオーストラリア人は一言、

ギャング気取り。

— u/Coops17(オーストラリア)

と評していました。

同じ国の参加者同士でも、そもそも「Eshayをギャングに入れるのか」というところから認識が違うわけです。

オーストラリアの犯罪ドラマなら『Underbelly』

一方、もっと伝統的な犯罪者像として挙がったのが、テレビシリーズ『Underbelly』でした。

一時期は、オーストラリアの名の知れた俳優はみんな『Underbelly』でギャングを演じたんじゃないかってくらいだった。

実際の歴史はドラマほど映像映えしないけど、暴力的で、オーストラリア各地の政治や警察の汚職も絡み、味方同士が裏切り合うから、時々話を追うのが難しい。

— u/AshamedChemistry5281(オーストラリア)

『Underbelly』はオーストラリアの犯罪ドラマシリーズです。

オーストラリア政府の映像機関Screen Australiaによると、第1シリーズは1995年から2004年にメルボルンで起きた組織犯罪者同士の抗争を題材としており、この抗争では33人が死亡しました。

英国のトム・ハーディやアイルランドの『Love/Hate』と同じく、「ギャングと聞くと、まず国内の有名な犯罪作品が浮かぶ」というタイプの回答です。

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「ギャングの制服」が世界共通なわけではなかった

今回のスレッドで面白かったのは、「スーツ、サングラス、銃」といった世界共通の一つのギャング像には収まらなかったことです。

英国ではトム・ハーディ、アイルランドでは『Love/Hate』のジャージ姿、メキシコでは『El Infierno』の一見普通にも見える男たち。ロシアでは、外国人が思い浮かべるアディダス姿に対して「それはゴプニク」と訂正が入り、オーストラリアでは「Eshayをそもそもギャングと呼ぶのか」で意見が割れていました。

結局のところ、このスレッドから見えてくるのは「本物のギャングの見分け方」ではありません。その国で知られた映画やドラマ、犯罪史、若者文化などが混ざり合い、「ギャングと言えばこれ」というイメージまで国ごとにずいぶん違うようです。

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