海外「オーストラリアのSNS規制、実際どうなった?」16歳未満のアカウントは減ったが、利用は8割超

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(最終更新:2026年9月5日)

「オーストラリアのSNS規制って、実際のところどうなっているんだ?」

イギリスのRedditユーザーが、オーストラリアの掲示板にそんな質問を投稿しました。イギリスでは2027年春から16歳未満へのSNS提供を制限する方針が決まっており、投稿者は先行するオーストラリアの経験を参考にしたかったようです。

How has the under 16 social media ban been going over there?
by u/NinjaOfOnion in AskAnAustralian

返ってきた答えは一様ではありませんでした。

「子どもは今でもSNSを使っている」という声がある一方、オーストラリア政府自身の調査データを見ると、少なくとも一つの数字ははっきり動いています。

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SNSを利用する子どもは8割超のまま

オーストラリアでは2025年12月10日から、Facebook、Instagram、TikTok、Snapchat、X、Reddit、Twitch、YouTubeなど対象のSNSで、16歳未満がアカウントを作成・維持できないよう、プラットフォーム側に「合理的な措置」を求める制度が始まりました。

インターネットの利用そのものを止める制度ではなく、ログインが不要な公開コンテンツは16歳未満でも見られます。

2026年7月、制度開始から約3か月後(2026年3~4月に実施された追跡調査)の結果が、オーストラリアのオンライン安全規制当局eSafetyから公表されました。

10~15歳の子どものうち、対象のSNSでアカウントを持っている割合は、制度開始前の52.4%から42.1%まで低下しています。

一方、SNSを「利用したことがある」と答えた割合は、85.9%から81.5%。

アカウントを持っている子どもの割合は大きく下がったものの、SNSを利用する子どもの割合は8割を超えたままです。

アカウント保有率は下がった。しかし、SNSそのものへのアクセスはほとんど変わっていない。

現時点では、そんな状態になっています。

なぜアカウントが残っているのか

調査を見ると、子どもたちが高度な方法で規制を突破しているから、というわけではありませんでした。

アカウントが残っている理由として最も多かったのは、プラットフォーム側がまだ年齢確認をしていなかったことです。回答した子どものうち半数以上が、そもそも年齢確認を求められた経験がないと答えています。

そのほか、年齢確認で実際より上の年齢と判定されたケースが2割近く、アカウント上の年齢がすでに16歳以上になっているケースも4割弱ありました。

Redditでは「子どもなら簡単に抜け道を見つける」という意見が目立ち、実際に保護者から、年齢確認の仕組みを簡単に通過してしまったという体験談も投稿されています。

ただ、他人の身分証を使う、別のアカウントを作る、VPNを使うといった、いわゆる「巧妙な回避」を答えた割合は1割に満たず、現時点でアカウントが残っている主な理由は、子ども側の回避よりも、プラットフォーム側の年齢確認がまだ十分に機能していないことだとされています。

Redditで繰り返されていた「この制度は簡単に突破できる」という印象とは、少し違う結果です。

数字が動かなかった部分もある

Redditでは「ほとんど意味がない」という反応も少なくありませんでした。

「学校の子どもたちは今でもSNSを使っている」「結局、親が管理するしかない」といった声です。

実際、SNSを毎日以上利用している子どもの割合は、制度開始前の約61%から3か月後には約58%。大きな変化とは言えません。スポーツや家族・友人との時間も、大きくは変わっていませんでした。

一方で、変化が出た部分もあります。「自分だけSNSを持っていないと取り残される」と感じる子どもの割合は43.3%から36.3%へ下がり、メッセージアプリの利用は40.5%から52.3%へ増えています。

eSafety自身も、今回の調査は制度の長期的な効果を判断するためのものではなく、3か月時点で今後につながる兆候が出ているかを見るものだと説明しています。

アカウントを消しても、子どもは消えない

もう一つ、調査の中であまり注目されていない数字があります。

規制対象のSNSの利用が横ばいに近い一方で、対象外のサービスの利用が増えた例もありました。規制の対象から外れているPinterestの利用は16.6%から21.8%に増え、それまでほとんど使われていなかったBeRealも2.2%、Mastodonも0.7%まで伸びています。

さらに、規制対象になっているThreadsやKickでも、調査上のアカウント保有率はむしろ増えていました。制度が始まったからといって、すべての対象サービスで同じようにアカウントが減ったわけではないようです。

これらの数字だけで「規制対象を追い出された子どもがPinterestに移った」と断定はできませんが、Redditでも、対象プラットフォームを名指しで規制する方式では別のサービスへ利用者が移る可能性を指摘する声が出ていました。

なお、対象10社の一つであるRedditは、法律には従いながらも、この制度そのものをオーストラリアの高等裁判所で争っています。

今回の質問が投稿されたRedditは、規制する側であると同時に、規制と法廷で向き合っている当事者でもあるわけです。

思わぬ副作用も出ている

すべてが狙い通りに動いているわけでもありません。

調査では、子どもがSNSを使っていることを把握していない親の割合が、制度開始前の約4人に1人から、3か月後には約3人に1人へ増えていました。特に女児の親や、10~12歳の子を持つ親でこの傾向が強く出ています。

理由ははっきりしていません。子どもが利用を話さなくなった可能性もあれば、親が「規制されたのだから、もう使っていないだろう」と考えている可能性もあります。

特に話題になったのがYouTubeです。ログインしなくても公開動画は見られるため、ある保護者からは、

「以前は子どものアカウントを自分の管理下に置いて、何を見ているか確認できたのに、ログアウトするとその管理が難しくなる」

という趣旨の不満が出ています。危険を減らそうとした結果、家庭から見れば別の管理上の問題が生まれる。今回の議論で繰り返し出てきたのが、この難しさでした。

政府はここからさらに手を打とうとしている

オーストラリア政府もこの結果を受けて動いています。

2026年6月、アルバニージー首相は、法律違反時の罰金上限を約4,950万豪ドルから約9,900万豪ドルへほぼ倍増させる方針を発表しました。eSafetyコミッショナーも、これまでの監視の段階から法執行の段階に移ったと説明しています。Facebook・Instagram・Snapchat・TikTok・YouTubeの5社が現在、違反の疑いで正式に調査対象になっています。

最終的な判断は2026年内にまとめる見通しだとされていますが、あくまで現時点での方針であり、確定した結果ではありません。

見るべきは今の15歳ではなく、これからの世代?

オーストラリアのRedditでは、制度を支持する側からこんな見方も出ていました。

「今すでにSNSを使っている14~15歳を止めることが、そもそもの目的ではない」

というものです。

すでに友達との交流や学校生活にSNSが組み込まれているティーンが、規制されてもすぐには離れないのは想像しやすい話です。むしろ問われているのは、まだ本格的にSNSを使っていない、今の8~10歳の世代がこれまでと同じようにSNSを始めるのかどうかだ、という考え方です。

eSafety自身も、この制度を「SNSの完全禁止」ではなく、16歳未満がアカウントを持つ時期を遅らせる仕組みとして説明しています。もちろん、本当にそうなるかはまだ分かりません。

この動きを見ているのはイギリスだけではない

今回質問を投稿したイギリスでは、2026年6月に16歳未満へのSNS提供禁止の方針が発表され、2027年春の施行が予定されています。16~17歳についても、深夜0時から午前6時までの利用制限や、動画の自動再生・パーソナライズされたフィードの初期設定オフなどが検討されています。オーストラリアの制度をベースにしつつ、年齢確認の実効性や規制回避への対策も強化する方針だと説明されています。

フランスの状況はもう少し複雑です。国民議会は2026年1月に15歳未満のSNS利用を禁止する法案を可決し、7月21日に議会での手続きを最終的に終えました。ただしこの法律は、成立の直後に憲法評議会へ審査が付託されており、8月14日、評議会は法律の核となる条文(15歳未満のアクセスを一律に禁止する部分)について、表現の自由やプライバシーへの制約が必要以上に大きいとして、無効としました。政府は9月に、対象範囲を絞った改正案を再提出する方針だと説明しています。「フランスも禁止へ一直線」と言い切れるほど単純な状況ではなく、年齢確認の仕組みをどう法律に落とし込むかという壁に、オーストラリアとは別の形でぶつかっている状態です。

AFPが2026年7月にまとめた集計では、オーストラリア型の年齢規制をすでに導入または正式に検討している国・地域は25以上にのぼるとされています。ただし、フランスの例が示すように、法律を作ることと、それを実際に機能させることの間には、まだ距離があるようです。

日本は「16歳未満禁止」とは別の道へ

日本の方向性は、これらとは少し異なります。

2026年7月、こども家庭庁の検討ワーキンググループが中間整理をまとめました。そこで示されているのは、SNSなどのプラットフォーム事業者に対して、サービスのリスク評価、それに応じた保護措置、年齢確認、取り組みの公表などを求める方向性です。

一定年齢未満の利用を法的に一律制限する制度については、海外の事例も踏まえながら引き続き議論するとされています。政府は2026年末を目途に最終報告をまとめ、次の通常国会に法改正案を提出する方針です。

つまり日本では今のところ、「子どもをSNSから一律に遠ざける」というより、「プラットフォーム側に安全対策をもっと求める」方向で議論が進んでいます。オーストラリアの制度をそのまま導入するのとは、違うアプローチです。

オーストラリアが見せているのは、まだ途中経過

制度が始まって、まだ1年も経っていません。

アカウントを持つ子どもは減りましたが、SNSを利用する子どもの割合は8割を超えたままで、生活全体にも大きな変化はまだ見えていません。その一方で、「取り残される」という感覚は弱まり始めています。

Redditでは、この数字を「規制の失敗」と見る人もいれば、「2割近くがアカウントを手放しただけでも第一歩としては十分」と見る人もいました。どちらの見方を取るかで、同じ調査の印象は大きく変わります。

今の14歳や15歳だけを見ても、この制度の答えはまだ出せません。これから10代を迎える子どもたちがSNSとどう付き合うようになるのか。その変化が見えてくるまでには、もう少し時間が必要なのかもしれません。

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