海外「窓は外を見るためのもの」オランダではなぜカーテンを開けたままにする家が多い?

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「窓は外を見るためのものであって、中を見るためのものじゃない。変なふうに覗かないって、あなたを信じてる。」

海外掲示板Redditで、オランダの家についてこんなコメントが書き込まれていました。

Why is having no curtains or blinds so common in the Netherlands?
by u/GustyMoses in Netherlands

きっかけは、オランダ東部の都市ズヴォレ近郊に滞在していた人からの質問です。街を歩いていると、カーテンやブラインドがないように見える家が多く、「これはこの地域だけなのか、それともオランダでは一般的なのか」と尋ねました。

日本で、夜になって部屋の明かりをつけたままカーテンを全開にしていれば、外から丸見えなのが気になる人も多いでしょう。

ところがコメントを読んでみると、そもそも「外から見えること」に対する感覚が少し違うようです。

ただし、一つ訂正しておいた方がよさそうです。

オランダの家にカーテンがない、というわけではありません。

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「ない」のではなく、開けている

オランダからの参加者の中には、質問そのものにこう答える人がいました。

「ここのほとんどの人はカーテンやブラインドを持ってるよ。ただ、よく開けたままにしていて、夜になったら閉めるだけ。」
— u/thirteen81

別のオランダ人も、

「ほとんどの人は実際にはカーテンを持ってる。ただ使わないだけ(笑)。」
— u/dutchy3012(北ホラント州)

と話しています。

つまり、外から見ると「カーテンのない家」のように見えても、実際には昼間ずっと開けているだけの場合があります。

理由としてまず多かったのが、かなり単純なものでした。

光を入れたい。

「誰かに中を見られたって、なんで気にする必要があるの? 別に何も面白いものなんてないし。私が閉めるのは温度調節のため。夏は暑さを入れないようにして、冬は暖かさを逃がさないようにする。でも、ほとんどの時間は開けっぱなし。閉めると外が見えないし暗くなる。それって気が滅入る。」
— u/Weareallme

観葉植物のために開けているという人もいました。

こうして読むと、「プライバシーを気にしない国民」というより、外からちらっと見られることより、明るさや外が見えることを優先する人がいると考えた方が近そうです。

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リビングは「見られてはいけない場所」ではない?

ただ、光だけでは説明できない部分もあります。

今回のスレッドには、

「みんなに、自分のリビングがどれだけgezelligでセンスがいいか見てもらいたいんだよ。」
— u/Consistent_Salad6137

という冗談めいたコメントもありました。

ここで出てくる「gezellig(ヘゼリフ)」は、オランダ語でよく使われる言葉です。「居心地がいい」「楽しい」「温かい雰囲気」といった意味を含み、日本語一語には少し訳しにくい言葉です。

リビングをきれいに整えて窓辺に花や小物を置き、それが外から見えることを、それほど嫌がらない。

この感覚については、実際に研究もあります。

オランダの学術機関、王立芸術科学アカデミー(KNAW)の研究情報に掲載されている2006年の論文では、オランダの住宅の正面を、公共空間と私的空間の境界として分析しています。

研究では、一部の住民が家の正面を外へ向けた「舞台」のように使う一方、カーテンなどで遮る人もいるとされ、特に年配のオランダ人住民に見られた開いたカーテンや窓辺の装飾には、家をきちんと整えて見せることなどに関する社会的な規範が関係していたと報告されています。

つまり、家の中すべてを公開しているというより、道路に面したリビングは、完全に外界から切り離された場所ではないという感覚がある場合もあるようです。

よく言われる「カルヴァン主義説」

そして、この話になると何度も登場するのが「カルヴァン主義」です。

カルヴァン主義とは、16世紀の宗教改革者ジャン・カルヴァンの思想から発展したプロテスタントの流れの一つで、オランダの歴史にも大きな影響を与えました。

16世紀の宗教改革期には、現在のオランダやベルギーなどを含むネーデルラント地方にも広まり、後に成立して17世紀に繁栄したオランダ共和国でも重要な位置を占めるようになります。

今回のスレッドでも、

「以前、ピューリタンやプロテスタントの道徳観に由来すると聞いたことがある。たとえば昼間にカーテンを閉めていると、何か隠していることがあると思われる、とか。ただ、人から何度か聞いただけだから、本当かどうかは分からない。」
— u/tokyo_blues

というコメントがありました。

ほかにも、「何も隠すものがないことを示すため」という説明を子どものころに聞いたという人が何人もいます。

ただし、ここは注意が必要です。

「オランダ人がカーテンを開けているのはカルヴァン主義が原因」と一本の線で結ぶのは難しそうです。

先ほどの住宅文化を扱った研究では、開いたカーテンそのものは確認されていますが、住まいの見せ方には整理整頓や社会規範など複数の要素が関わっています。研究から「宗教が唯一の起源だった」とまでは確認できません。

Redditでも、カルヴァン主義説に納得する人がいる一方、「そんな大げさな理由ではなく、明るい方が好きなだけ」とする人や、「南部でも同じだから宗教だけでは説明できない」と反論する人がいました。

昔から語られてきた説明と、現在それぞれの人がカーテンを開けている理由は、必ずしも同じではないのでしょう。

では、通りすがりに家の中を見てもいい?

ここまで来ると、別の疑問が出てきます。

そんなに開けてあるなら、見ても失礼ではないのでしょうか。

スレッドには、こんなコメントがありました。

「窓は外を見るためのものであって、中を見るためのものじゃない。あなたが気味悪く覗き込まないって、こちらは信じてる。一年のうち数十日を除けば、ずっと暗くてどんよりしてるから、窓から入り込める光なら最後の一粒まで大歓迎だよ。」
— u/ProbablyBsPlzIgnore

とはいえ、実際には歩きながら一瞬見る人もいるようです。

「歩きながら、ちらっと家の中を見るのも駄目なの?」という質問には、あるオランダ人からこんな返信がありました。

「いやいや、オランダ人だってみんなちらっと見るし、お互いのインテリアを品評してるよ。ただ、立ち止まってじろじろ見なければいい。

私もオランダ人だけど、ちらっと見たことがきっかけで、手を振り合う知り合いが何人もできた。多いのは、窓辺に座って外を見ている年配の人たちかな。本当のルールが一つあるとすれば、家の中をちらっと見たときに目が合ったら、笑って手を振ることだと思う。」
— u/Ywhe

「見てはいけない」のでも、「好きなだけ覗いていい」のでもない。

ちらっと視線が入ることは織り込み済みだけれど、じっと覗き込むのは別。

このあたりの距離感も、日本の住宅とは少し違って見えます。

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もちろん、閉めたいオランダ人もいる

そして今回のスレッドを最後まで読むと、もう一つ大事なことが分かります。

オランダ人だからといって、全員がこの習慣を好きなわけではありません。

北ホラント州の人は、文化的には「開放的で、隠すものがない」という感覚があると思うとしながらも、自分自身は外から見られると監視されているようで落ち着かないため、以前住んでいた家ではカーテンを閉めていたと話しています。

別の人も、

「昼間は開けてるけど、夜は閉める。カーテンやブラインドを持っていて使わない人なんて、私はほとんど知らない。」
— u/bleie77

と書いています。

ですから、「オランダでは家の中が全部丸見え」というイメージにしてしまうと、少し違います。

それでも、オランダの住宅で開いたカーテンが文化的な特徴として認識されてきたこと自体は、住宅文化を扱った研究でも題材になるほどです。

論文のタイトルも、そのものずばり「カーテンを閉めるのはオランダらしくない」でした。

同じリビングでも、どこから先を「人に見せない私的な場所」と考えるのかは、案外どこでも同じではないようです。

外から家の中が見えることよりも、暗い部屋で過ごす方が気になる人もいる。反対に、同じオランダでも「そんなの落ち着かない」という人もいる。

次にオランダの住宅街を歩く機会があったら、カーテンそのものより、窓辺が家の中と外をどうつないでいるのかを見ると、少し違って見えるかもしれませんね。

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今回の記事では、カーテンを開けて暮らすという身近な習慣から、カルヴァン主義やオランダ共和国の歴史にも少し触れました。「こうした暮らし方の背景に、どんな歴史があるのだろう」と興味を持った方にもおすすめです。

(最終更新日:2026年9月9日)

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