「私の誕生日じゃないけど?」オランダの本人以外にも「おめでとう」と言う不思議な誕生日文化

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16歳のとき、初めてオランダの誕生日会に参加したという人は、そこで思いがけない言葉をかけられました。

「初めてオランダの誕生日会に行ったのは16歳のとき。女の子が近づいてきて『おめでとう』って言ってきたから、すごく混乱して『私の誕生日じゃないけど……?』って返した。本気で、相手が間違えたか酔ってるんだと思ったんだ。そしたら『うん、友達の誕生日おめでとうってこと』って。あの後はかなり気まずかった(笑)。友達まで祝うこの習慣は、ずっと不思議だと思ってる!」
— u/Previous_Squirrel612

相手は誕生日を間違えていたわけではありません。オランダの誕生日会では、誕生日を迎えた本人だけでなく、その家族やパートナー、場合によってはその場にいる人たちにも「Gefeliciteerd(おめでとう)」と声をかけることがあります。

海外掲示板Redditでは、そんな誕生日文化についてさまざまな体験談が寄せられていました。ただ、コメントを読み進めていくと、「オランダにはこんな変わった習慣があります」で簡単にまとめられる話でもないことが分かってきます。

In the Netherlands, when it’s someone’s birthday, we congratulate everyone except just the person whose birthday it is
by u/Alarming_Appeal5453 in Netherlands

「そんなことはしない」という人もいれば、「南部では聞いたことがない」という人もいる。習慣として続けてはいるものの、本人まで「意味はよく分からない」と感じているケースもあるようです。

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誕生日会に入ったら、まず「おめでとう」を言って回る

スレッドの投稿者が描写する昔ながらのオランダの誕生日会では、部屋に入ると15人ほどが椅子を並べて輪になっています。

まず誕生日の本人を祝い、その後は家族やパートナーなどにも「息子さん、おめでとう」「お兄さん、おめでとう」「彼女さん、おめでとう」と声をかけていく。場合によっては、初対面の人と握手をしながら「ピーターさん、おめでとうございます」と言い、相手も自然に「ありがとう」と返してくるそうです。

こうした、椅子を輪のように並べて行う誕生日会は「kringverjaardag」と呼ばれます。オランダ語で kring は「輪」、verjaardag は「誕生日」という意味なので、文字どおり「輪になって祝う誕生日会」といった名前です。

オランダの誕生日文化を紹介する資料でも知られた習慣として登場し、誕生日の本人だけではなく、その家族などにも「Gefeliciteerd」と声をかけることがあります。

ただ、人数が増えてくると話は少し変わります。20人、30人と集まった誕生日会で一人ずつ握手をして回るのは、さすがに面倒だと感じる人もいるようで、こんな“省略版”を使う人もいました。

「もう人がたくさんいるときは、入った瞬間に『はい、みんなも誕生日おめでとう!』って叫んで終わりにしてる。20〜30人と握手する気はないし、その方がすぐケーキとビールに行けるから。まあ、意味が分からない習慣なのはその通りだね(笑)」
— u/Ok-Expression-7340

こうなると、外国から来た人だけが戸惑っている習慣というわけでもなさそうです。昔から知っている人の中にも、毎回律儀に一周するのは面倒だと感じている人がいます。

なぜ、誕生日ではない人まで祝うのか

では、そもそもなぜ誕生日の本人ではない人まで「おめでとう」と言われるのでしょうか。

今回調べた資料では、誕生日を本人だけの出来事ではなく、家族や身近な人たちを含めた祝いとして捉えるという説明が見られます。ただし、これを習慣の歴史的な起源として断定できる資料までは確認できませんでした。

Redditにも、由来を説明するというより、この習慣をどう受け止めているかについて面白い見方があります。

「最初は私も変わった習慣だと思ってたけど、最近はちょっと素敵だなと思うようになった。みんなで、その誕生日の人が存在していることを祝ってるみたい。その人がここにいることを、みんなで喜んでる感じ。そう考えると、ちょっといいと思わない?」
— u/Awkward-Ad-5696

少しロマンチックな解釈ですが、別の人の説明はもっと日常的でした。

「自分はいつもやってる。単なる習慣だよ。子どものころからそう教わったし、簡単に言える言葉だから。特に、相手のことをほとんど知らないときは何を話すか考えなくて済む。変だと思うかって? うん、変だとは思う。でも別に嫌ではないよ」
— u/EitherIndication8613

外から見ると理由が気になりますが、少なくともこの人にとっては、「子どものころからそうしてきたから」という習慣のようです。

考えてみれば、冠婚葬祭の挨拶や食事の作法など、外国の人から理由を尋ねられるとうまく説明できない習慣は日本にもあります。本人にとって当たり前になってしまうと、由来を考える機会そのものがあまりないのかもしれません。

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「人生でそんな習慣を知らなかった」というオランダ人も

ここまでなら、「オランダ人は誕生日になると本人以外も祝う」と紹介して終われそうですが、スレッドではそこに強い訂正が入りました。

オランダ南部のリンブルフ州出身の人は、35歳になるまでそんな習慣の存在すら知らなかったと話しています。

「人生最初の35年間、こんな習慣があるなんて知らなかった(笑)。うちでは祝われるのは誕生日の本人だけだったし、友達の誕生日でもずっとそうだった。家族だからといって一緒に祝われるなんてこともなかったよ」
— u/Rivetlicker

同じリンブルフ州出身の人からも、「自分も同じ。たぶん、こっちではそこまで一般的ではないんだと思う」という返信がありました。

ほかにも、オランダ南部のリンブルフ州や北ブラバント州では馴染みが薄いという声が複数見られる一方、「リンブルフでも本人の両親や兄弟姉妹までは祝う」という人もいます。今回のRedditスレッドだけを根拠に、どの地域までこの習慣が広がっているのかをきれいに線引きすることはできません。

世代についても似たようなもので、「昔のやり方だ」というコメントがある一方、現在も当たり前のように続けている人がいます。

あるオランダ人は、投稿者の説明についてこう指摘していました。

「自分の経験では、全員を祝うのは一部の人だけだよ。ほとんどの人は、誕生日の本人だけを祝っても気にしない。今でも続けている人がいる変わった習慣ではあるけど、現実は投稿ほど単純じゃないと思う」
— u/ProfessionalWide2207

「オランダの誕生日文化」という一言でまとめていたものが、ここで少し違って見えてきます。同じ国に住んでいても、ある人にとっては子どものころから当たり前の習慣で、別の人にとっては大人になって初めて知った風習なのです。

実はオランダ人にも嫌われている?

さらにスレッドでは、「本人以外にもおめでとうと言うこと」だけでなく、kringverjaardagそのものへの愚痴も目立ちました。

ある人は、自分の国で嫌いなものを一つ挙げるならこれだとまで書いています。本人以外は祝わないうえ、自分の誕生日会では椅子を輪にして座ることも禁止し、好きに動いて楽しんでもらうそうです。

別の人は、全員と握手したくないので早めに会場へ行こうとする人がいるものの、結局は同じことを考えた人たちが先に集まっていて、その全員と握手する羽目になると嘆いています。

「この習慣だけはなくしてほしい。本当に気まずい。みんな全員と握手したくないから早く着こうとするんだけど、結局いつも遅れて、同じことを考えて先に来ていた人たち全員と握手することになる」
— u/Melodic-Succotash-60

昔から続いている作法について、「別に嫌いではない」と受け入れる人がいれば、「もうやめたい」と感じる人もいる。この辺りは、どこの国でもそれほど変わらないのかもしれません。

もちろん、嫌っている人ばかりではありません。

「私はオランダ人だし、この文化を誇りに思ってる。kringverjaardagも含めてね。椅子を円に並べて、ピーターを知っているというだけで知らない人同士が厳粛に祝い合う。外から見れば変かもしれないけど、だからこそ自分たちの文化なんだよ。みんなも、この文化を知ったことをおめでとう」
— u/Beginning_Marzipan_5

最後の一言まで、このスレッドにはよく似合っています。

最初に「私の誕生日じゃないけど?」と戸惑った人からすれば、不思議な習慣にしか見えなかったでしょう。しかしオランダ人たちの話まで追ってみると、好きな人もいれば嫌いな人もいて、同じ国で育ちながら存在すら知らなかった人までいました。

それでも、椅子を輪にして座るkringverjaardagや、誕生日の本人だけでなく周囲の人にも「おめでとう」と声をかける習慣は、今もオランダの誕生日文化を象徴するものの一つとして紹介されています。

外国の習慣を知ると、つい「その国ではこうする」と覚えたくなりますが、実際のところはもう少し入り組んでいるようです。

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