海外「20分も普通に見られないの?」日本の20代アニメ好き35.6%が倍速視聴? 元調査を見てみると…

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(最終更新日:2026年9月18日)

「20分のアニメすら普通に見続けられないの?」

日本の20~50代のアニメ好き1,000人を対象にした調査で、回答した20代の35.6%が「本編を倍速で見る」を「よく行う」または「ときどき行う」と答えました。この結果が海外で紹介されると、Redditでは驚きや困惑の声が相次ぎました。

Over 1 in 3 Young Anime Fans Watch Episodes at Double Speed, New Japanese Survey Reveals
by u/OtakuKartNews in animenews

ところが元になった日本の調査まで戻ってみると、この数字は「若者の3人に1人が普段から2倍速でアニメを見ている」という意味ではどうやらないようです。

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「3人に1人が2倍速」は、元の調査が言っていることではない

話題の出発点は、Pontaを運営するロイヤリティ マーケティングが2026年9月に公表した「アニメの視聴実態に関する調査」です。

調査対象は、日本国内に住む20~50代の一般人口から無作為に選ばれた人ではありません。

「Pontaリサーチ」の登録会員のうち、同社独自の分類で「コミック、アニメファン」に該当し、さらに「アニメが好き」と回答した1,000人です。性別・年代ごとに125人ずつ、各年代250人の計1,000人です。

この調査で「本編を倍速で見る」を「よく行う」または「ときどき行う」と答えた割合は、

20代 35.6%
30代 32.4%
40代 27.2%
50代 18.4%

でした。

この調査に回答した20代では、確かに3人に1人を超えています。

ただ、35.6%全員が普段から倍速視聴しているわけではありません。「よく行う」と「ときどき行う」を合わせた数字です。

さらに、元調査の質問は「本編を倍速で見る」で、1.25倍、1.5倍、2倍といった具体的な再生速度の内訳は公開されていません。

ところが、この調査を紹介した英語メディアOtakuKartの記事では、見出しが「Watch Episodes at Double Speed」となっていました。「double speed」は英語では通常、「2倍速」という意味に読めます。

さらに本文では、35.6%について「regularly watch」とも表現されています。

元調査は「よく行う+ときどき行う」の合計なので、ここでも元より少し強い表現になっています。

つまり、元の「倍速をよく、またはときどき利用する」という調査結果が、海外記事では「2倍速」「定期的に見る」という印象へ一段強まって伝わったことになります。

数字そのものが間違っているわけではありません。

ただ、「誰に、何を、どう聞いた数字なのか」まで見ると、最初に受ける印象とはかなり違います。

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Redditでは「なぜそこまでして見るの?」という反応が目立った

今回確認した2つのRedditスレッドでは、まず「娯楽なのに、なぜそこまで急いで見るのか」という疑問が目立ちました。

いったい誰にアンケートしてるんだよ。20分も普通に見ていられないの?

— u/Unlikely-Lawyer-5683

その返信には、

そのアンケートに最後まで答えられる集中力があったことに驚くよ。

— u/Icemna16

という冗談までついています。

ほかにも、

それなら、普通に切って自分が楽しめる作品を見ればいいのでは?

— u/SA090

なんでわざわざ最後まで急いで見るんだ?

— u/Available_Editor4383

といった反応がありました。

もう一つのスレッドでも、「速く見すぎて内容に注意を払えていないのでは」「スマートフォンや短い動画の影響では」といった意見が続いています。

ただし、これはあくまでReddit上の意見です。Pontaの調査では集中力を測っていません。

少なくともこの数字だけから、「若者の集中力が落ちたから倍速視聴が増えた」と結論づけることはできません。

でも「どんなアニメでも倍速」という人ばかりではなかった

コメントを追っていくと、倍速そのものを否定する人だけでもありませんでした。

『ONE PIECE』だけは1.5倍速で見たというユーザーは、

テンポがあまりにも遅かったから、そうやって見進めた。繰り返される回想も飛ばしていた。

— u/DifferenceMediocre77

と話しています。

ほかにも、

2倍速にするのは、その作品があまり好きじゃないけど、切るほどでもないときだけ。かなりまれだけど。

— u/Drayenn

という人もいました。

「好きな作品は普通に見る」「退屈な部分だけ飛ばす」「テンポが遅い作品だけ速くする」。

同じ「倍速で見る人」でも、その使い方はかなり違います。

2つ目のスレッドには、2.2倍速で見ているというユーザーもいました。

2.2倍速で見てる。見たいアニメが多すぎて、1倍速ではとても消化できない。

— u/DerivativeOfProgWeeb

「何をそんなに急いでいるの?」と聞かれると、

人生の時間は限られているのに、昔の良いアニメもあるし、新しい作品も次々に出てくるから。

— u/DerivativeOfProgWeeb

と答えています。

少なくとも本人にとっては、「20分も集中できない」からではなく、限られた時間でより多くの作品を見たいという理由でした。

別の、自分はアーティストでアニメを深く愛しているというユーザーは、倍速視聴をしたくなる理由について別の見方を示しています。

このユーザーは、アニメでは限られた制作費をやりくりするために、静止画の上をカメラが移動するように見せる「パン」や、ループする動きなどが使われることがあり、それを冗長に感じる人もいるのではないか、と分析しています。

また、原作の内容をアニメで長く展開することで、本筋を進めず間を埋めるような「フィラー回」そのものではなくても、「フィラーのように感じる瞬間」が生まれる、というのもこのユーザーの見方です。

本人は最後に、「自分は倍速では見ない」と断っています。

ここまで来ると、「倍速派」と「普通に見る派」だけで分けるのも少し雑に思えてきます。

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別調査では「基本的にすべて1.2~1.5倍速以上」は3.4%

実は2026年5~6月、アニメ情報サイト「アニメイトタイムズ」も読者417人に、かなり似た質問をしています。

こちらでは選択肢が細かく分かれており、

「絶対にしない」 48.2%
「OP・EDや前話の振り返りだけ飛ばす」 43.4%
「日常系など、あまり話が動かない回だけ倍速」 5.0%
「基本的にすべて1.2~1.5倍速以上」 3.4%

という結果でした。

Ponta調査の35.6%とは、かなり違って見えます。

ただし、これは「どちらかの調査がおかしい」という話ではありません。

アニメイトタイムズの調査は同サイトの読者が回答したもので、回答者の73.1%が女性。10代前半から60代以上まで含まれています。一方、Pontaの調査は20~50代を性別・年代ごとに同数集めています。質問の選択肢も違います。

また、アニメイトタイムズの選択肢には「OP・EDを飛ばす」という、厳密には倍速再生ではない行動も含まれています。

条件が違うため、35.6%と3.4%をそのまま比較することはできません。

むしろ見えてくるのは、視聴方法を細かく聞くと、「何でも速く見る人」と「一部分だけ飛ばす・速くする人」が分かれてくることです。

国内でも倍速視聴は話題になっています。

2026年9月14日放送の『月曜から夜ふかし』では、「倍速視聴する派?しない派?」を取り上げ、「時間がもったいない」という倍速派と、「行間が大事」という通常再生派の意見が紹介されました。

本当に「TikTok時代だから」なのか

では、なぜ倍速やスキップといった見方が広がっているのでしょうか。

NHK放送文化研究所が2024年2月、全国の16~69歳の調査会社登録モニター5,000人を対象に行い、2025年に発表したウェブ調査では、倍速視聴だけでなく、複数の動画を同時に見る「マルチ視聴」、一部分だけを見る「部分視聴」も調べています。

その結果、これらのいずれかを行う人は、すべての年層で5割を超えていました。

倍速視聴やマルチ視聴を行う理由では、「時間を効率的に使いたい」が多く、若い層ほど空白の時間や予定のない日を嫌う傾向も見られました。

ただし、これは無作為抽出による世論調査ではなく、登録モニターを対象としたウェブ調査です。日本人全体をそのまま代表する数字として扱うことはできません。

そして、「時間を効率的に使いたい」ことは、「好きなものにも時間をかけたくない」という意味でもなさそうです。

SHIBUYA109 lab.が2024年に一都三県の15~24歳の学生461人を調べた調査では、「効率的な時間の過ごし方をしたい」と答える人が8割程度いる一方、「自分が大切だと思うことには時間をかけたい」も8割程度でした。

効率化を意識する理由の1位は、「自分の好きな時間を捻出するため」で51.6%です。

動画でも、何を見るかによって速度を変えていました。

知識や情報を得るコンテンツでは2倍速以上で見る人が3割を超えた一方、映画やドラマでは通常速度で見る人が4割前後、2倍速以上は1割程度でした。

もちろん、これは一都三県の学生に限った調査なので、若者全体へそのまま広げることはできません。

それでも、「何もかも早く終わらせたい」というより、見るものによって時間の使い方を変える人がいることは見えてきます。

「何を倍速で見るか」で話は変わる

2つ目のRedditスレッドには、今回の記事の数字を見るうえで象徴的なコメントもありました。

文脈が大事だと思う。『チ。―地球の運動について―』みたいな作品を倍速で見ているのか、それとも『ONE PIECE』のフィラーを倍速で見ているのか……。たぶん後者のほうが多いんじゃないかな。

— u/Ridghost

後半の「たぶん後者」という部分は、このユーザー自身の推測です。調査では、どの作品を倍速で見ているのかまでは分かりません。

ただ、「倍速視聴をしている」という一つの数字だけでは、実際の見方までは分からない、という点はその通りです。

普通に見る。倍速にする。OPを飛ばす。ながら見をする。退屈な部分だけ飛ばす。途中で切る。

配信で大量の作品から選べる今、「アニメを見る」という一言の中にも、かなり違う見方が混ざっています。

「20代の35.6%が倍速」という数字は確かに目を引きます。

ただ、その数字だけで「若者はアニメすら普通に見られなくなった」と考えるより、誰が、どんな作品を、どの場面で、どのくらい速く見るのかまで分けて見た方が、今の視聴スタイルには近そうです。

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