海外「ロボットはいるのに、サイトは1997年?」日本のウェブが“古く”見える理由を調べてみた

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(最終更新日:2026年9月18日)

ホテルではロボットがチェックインを担当しているのに、ウェブサイトを開くと「1997年で止まっているように見える」。

日本を旅行した海外ユーザーが、Redditでそんな疑問を投稿しました。

Why are Japanese websites so bad (or commonly non-existent) ?
by u/jopy666 in NoStupidQuestions

日本のサイトは本当に単に「古い」のでしょうか。複数のスレッドと研究を追ってみると、見た目が古く感じられる理由と、本当に使いづらい部分は分けて考えた方がよさそうでした。

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「古いけど、こっちの方が使いやすい」という人もいた

最初のスレッドでは、日本のウェブサイトについて「一度に多くの情報を見せるデザインが好まれているのでは」という説明が出ていました。

別のr/programmingのスレッドでは、こんな反応もあります。

old Redditみたいなものだと思う。見た目は詰め込まれているけど、読み込みは速いし、スクロールやクリックを何度もせずに大量の情報を拾える。

— u/Jump-Zero

つまり、「余白が少ない=使いにくい」とは限らない、という見方です。

日本人だという別のユーザーも、BBCとYahoo! JAPANを比較して、

正直、日本のニュースサイトの方が好き。英語のニュースサイトは情報が少なすぎる。

— u/testman22

と話し、Yahoo! JAPANの方がページ全体を見渡しやすいと感じると説明していました。

もちろん、どちらも個人の感想です。

ただ、日本向けサイトでは「まず一覧で多くの情報を見せる」こと自体に価値を感じる利用者がいる、という話には現実的な例もあります。

投資を行い、金融ニュースサイトを日常的に使う日本人12人を対象にした小規模なユーザーテストでは、情報量の少ない新しいサイトについて「使いやすい」と評価する一方、「トップ画面でもっと多くの情報を見たい」という声も出ました。目的の情報を探すなら新しいサイト、ざっとニュースを眺めるならYahoo!ニュース、という使い分けも語られています。これは学術研究ではなく、UX調査会社が実施したケーススタディです。

12人という小規模な調査なので、日本人全体の好みを示すものではありません。

それでも、「情報が多いサイト=誰にとっても失敗作」とも言い切れません。

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では、日本人は本当に「ごちゃごちゃしたサイト」の方が得意なのか

ここで少し話が変わります。

Redditでは「日本人は情報密度の高い画面を好む」「一度に多くの情報を処理する文化だから」といった説明が何度も登場していました。

日本とアメリカの企業サイトを比較した2004年の研究でも、それぞれの国向けサイトには文化的価値観の違いが反映されていることが確認されています。

ただし、これは「日本人には情報量が多いサイトの方が使いやすい」と証明した研究ではありません。

むしろ、2021年に日本人65人と米国人84人を対象に行われたウェブサイト上の情報探索実験では、少し意外な結果が出ています。

研究者は、日本人の方がページ全体の文脈的な情報を記憶し、探すのが速いのではないかという仮説を立てました。

結果は、その仮説を支持しませんでした。

日本人参加者は全体として情報を見つけるまでにより長い時間がかかり、ページが複雑になるほど、その差は大きくなりました。

なお、この研究は実在する「日本のサイト」と「アメリカのサイト」のどちらを好むか調べたものではありません。複雑さの異なるウェブ画面で指定された情報を探してもらい、探索効率などを比較した実験です。

そのため、「日本人はミニマルなサイトを好む」と結論づけることもできません。

言えるのは、「日本人は複雑な画面に慣れているから、情報を詰め込んだ方が探しやすい」と単純には説明できない、というところまでです。

どうやらここには、「見慣れている」「一画面で一覧したい」という好みと、「目的の情報を素早く探せるか」という使いやすさが、別々に混ざっています。

「日本語はフォントが3つしかない」は本当ではない

Redditではもう一つ、文字についての説明が出ていました。

日本語では使えるフォントが極端に少ないため、文字を画像にしてデザインするようになり、それが古いウェブデザインを残した――という説です。

中には「漢字のフォントは実質3種類しかない」というコメントまでありました。

さすがに、これは違います。

ただし、日本語を含むCJK(日中韓)のフォントが、アルファベット中心のフォントよりはるかに多くの文字を扱うという部分には根拠があります。

Adobeによると、「源ノ角ゴシック(Source Han Sans)」の日本語用の文字セットだけでも1万8000字弱を扱い、当時の東アジア向けフォントはファイルによって4.2~8.8MBに達していました。

さらに、中国語・日本語・韓国語などを一つにまとめたPan-CJK版のSource Han Sansでは、1ウェイトに6万5535グリフ(文字の形)を収録しています。これは日本語だけの文字数ではなく、複数の言語・地域をまとめた完全セットの数字です。

つまり、「日本語には3つしかフォントがない」のではなく、日本語を含む東アジアの文字をウェブフォントとして扱う際、文字数やファイルサイズの負担が大きかったという方が実態に近いでしょう。

The Japan Timesも2025年、日本のウェブデザインを詳しく扱った記事で、漢字・ひらがな・カタカナ・アルファベットが混在する文字環境や、文字を画像として配置してきた慣習などを、日本のウェブが独特に見える背景として紹介しています。

ただ、文字を画像にしてしまうと別の問題が起きます。

Redditでも、

日本のサイトで一番嫌なのは、文字まで画像になっていること。アクセシビリティの面では最悪だ。

— u/pheonixblade9

という不満が出ていました。

これは単なる好みの問題ではありません。

国際的なウェブアクセシビリティ基準「WCAG 2.2」では、同じ見た目を通常の文字で実現できる場合、原則として文字画像ではなく実際のテキストを使うよう求めています。文字の見た目を利用者側で変更できるようにするためです。ロゴなど、文字の見た目自体が不可欠な場合には例外があります。

ここは「日本独特の美意識だから」で片付けていい部分ではありません。

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携帯インターネットは、むしろ早くから普及していた

では、Redditにあった「日本ではパソコンよりインターネット対応携帯電話が早く普及したから」という説明はどうでしょうか。

こちらは少なくとも、歴史的な前半部分は確認できます。

NTTドコモの「iモード」が始まったのは1999年2月22日。

同社の当時の発表によると、1999年8月8日に100万契約、2000年8月6日には1000万契約を突破しました。さらに2003年10月30日には4000万契約に達しています。

その意味では、日本が「モバイルインターネットに出遅れた」という説明は実態と合いません。

現在のスマートフォン中心のウェブが世界標準になるよりかなり前から、日本には携帯電話からネット上の情報やサービスへアクセスする大規模な市場がありました。

ただし、ここから、

「だから現在の日本のウェブサイトは情報量が多い」

とまで一本の線で結ぶ証拠は、今回確認できませんでした。

iモードは、日本のデジタル環境が欧米と違う道を早くから歩いていたことを理解する手がかりにはなりますが、現在のデザインの単一原因とは言えません。

「文化の違い」と「単に使いづらい」は別だった

3つのスレッドを読んでいて、一番腑に落ちたのは、r/japanでのこんなやり取りでした。

あるユーザーは、日本のサイトの情報密度そのものについては好きだと話しています。

そのうえで、

情報量の多さは好き。でも、リンク切れ、入力エラーで内容が消えるフォーム、文字を画像にすること、夜になると止まるサイトなんかは、普通にひどい。

— u/frozenpandaman

と切り分けていました。

別のユーザーも、

情報量の多さは好きだし、日本は最初から「パワーユーザー向け」に作っているように感じる。

— u/microbit262

と肯定する一方、元投稿者本人は「情報密度は好きだけど、それでも日本のサイトは全体的にひどい」と返しています。

この区別は大事そうです。

リンクや文字が多いこと。

トップページで全体を一覧できること。

余白を少なく使うこと。

こうしたものは、利用者や用途によって評価が変わる「設計」の話です。

一方、入力した内容がエラーで消える、アクセシビリティに配慮されていない、情報の階層が分かりにくい、といった問題まで「日本人向けだから」で説明する必要はありません。

日本国内でも改善に向けた基準は整備されています。

デジタル庁は2025年9月30日、各府省のサイトについて、アクセシビリティやセキュリティを踏まえながら「利用者中心」で構築するための「DS-680.1 ウェブサイトガイドライン」を策定しました。

ただし、デジタル庁自身のサイトも完成形というわけではありません。

2026年3月31日時点では、JIS X 8341-3:2016の適合レベルAに「一部準拠」という段階で、2027年3月31日までにレベルAAへ準拠することを目標としています。

つまり、日本国内でも「昔の形をそのまま守ればいい」と考えられているわけではなく、現在進行形で改善が続いています。

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「1997年みたい」は、半分当たっていて半分違う

最初の投稿者が感じた、

「ロボットがチェックインする国なのに、ウェブサイトだけ1997年みたいだ」

という違和感。

調べる前は、「日本のITが遅れているから」で終わりそうな話でした。

でも実際には、一画面で多くの情報を見せることへの慣れ、日本語という文字環境、早くから発達した携帯インターネット、昔から続くサイト設計など、いくつもの事情が重なっています。

同時に、「文化が違うから」で全部を正当化することもできません。

日本人だから複雑なサイトの方が情報を探しやすい、という研究結果があるわけでもなく、文字の画像化などは現在のアクセシビリティ基準では問題になる場合があります。

日本のウェブサイトが海外の人に「古く」見えるとき、そこには海外で一般的なサイトとは異なる情報の見せ方への違和感と、本当に古い仕組みが残っていることの両方が混ざっているようです。

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