なぜ海外で『たまごっち』が大人に再び人気? 子どもの頃に遊んだ世代が支える再ブーム

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(最終更新日:2026年9月29日)

「32歳の男が今でもたまごっちで遊んでいるのって、変なのかな?」

そんな素朴な悩みが、たまごっちファンが集まるRedditコミュニティ「r/tamagotchi」に投稿されていました。コメント欄では20代、30代、40代の参加者が次々と年齢を明かし、「コミュニティには60代の人もいる」という声までありました。

日本生まれの玩具・たまごっちは、海外でも1990年代から大ヒットしました。それから約30年。なぜ今、大人たちが再び小さなデジタルペットを育てているのでしょうか。

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「ここにいる人、ほとんど大人だと思う」

発端となった32歳の投稿者は、今もたまごっちを使っていることに少し気恥ずかしさを感じていると書いていました。

子どもの頃に持っていた機種は「友達に一番近い存在」だったように感じており、大人になった今のたまごっちも、仕事以外で人と会う機会が少ない生活の中で何かを埋めてくれているのかもしれない、と複雑な気持ちを打ち明けています。

これに対して、38歳になるという参加者はこう返しました。

100%確信があるわけじゃないけど、ここにいる人のほとんどは大人だと思う。自分は今月38歳になるよ。自分たちが楽しめて、誰も傷つけないものなら、どうして遊ぶのをやめなきゃいけないの?

楽しもう!☺️

— u/titirititi

別の29歳の参加者も、

たまごっち好きだらけのコミュニティで聞いてるんだから、変だって言う人はいないと思うよ(笑)。

個人的には、たまごっちにハマっている子どもは一人も知らなくて、知っているのは懐かしがっている大人ばかり。自分も29歳。

— u/necr0phagus

とコメントしています。

実際、この返信には15歳など若い参加者からも「自分もいるよ」と反応が寄せられていました。

もちろん、r/tamagotchiはファンが集まる場所なので、これだけで「たまごっち利用者の大半が大人」とまでは言えません。

ところがバンダイの資料を見ると、大人の存在はファンコミュニティだけの話ではありません。

バンダイも「現在のブームの中心は大人」と説明

バンダイは2025年7月、現在のたまごっち人気を「第四次ブーム」と位置づけ、その中心にいるのは、子どもの頃にたまごっちで遊んでいた大人の「キダルト層」だと説明しています。

キダルトとは、子ども向けとされてきた玩具などを大人になっても楽しむ人たちを指す言葉です。

バンダイによれば、1996年の発売当時にたまごっちブームの中心だった女子高生(現在の40~50代)だけではありません。2004年に登場した通信機能付きの「かえってきた!たまごっちプラス」などで、小学生時代に友達と通信して遊んだ現在の20~30代も、再び商品を手に取っています。

また、バンダイが2025年7月に公表した資料では、関連グッズを含むたまごっちの全世界売上(ゲーム除く)は、2019年時と比べ「5年で約7倍」になったとされています。子どもの頃に親や友達と遊んだ記憶が、大人になって再び手に取るきっかけになっているとも説明しています。

そして2025年7月31日には、たまごっち本体の国内外累計出荷数が1億個を突破しました。

累計出荷の地域別割合は日本49%、米国33%、欧州16%、日本以外のアジア2%。現在は50以上の国と地域で展開されており、バンダイも海外で、初代ブームを経験した人たちの「懐かし需要」を捉えているとしています。

さらに2026年8月にも、バンダイは「2024年から続く第四次ブーム」と説明しており、30年前に遊んでいた現在の親世代と子どもが一緒に遊んでいることにも触れています。

つまり、「海外の大人が昔を懐かしんでいる」というRedditの書き込みは、メーカー側が把握している現在の動きとも重なっています。

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子どもの頃の思い出が、とにかく具体的

Redditで印象的なのは、「昔遊んでいた」という一言だけでは終わらないところです。

「初めてたまごっちを知ったのはいつ?」というスレッドには、学校、友達、家族との記憶が次々と書き込まれていました。

オーストラリアの参加者は、小学生時代の出来事をこう振り返っています。

小学生の頃だった。何年生だったかは覚えてないけど、2008年から2012年の間かな。

とにかく、一つ上の学年の女の子が「たまごっち V6 Music Star」を持っていて、もう絶対に自分も欲しくなった。図書館の前でその子と待ち合わせして、たまごっち同士を通信させたのを覚えてる。自分にとって本当に大切な思い出。

父をおもちゃ屋のToyworldまで引っ張っていって買ってもらって、値段を見た父が困惑していたのまで覚えてる😅。

それがきっかけだった。オンラインゲームもやったし、本当に楽しかった。同学年ではほかに誰も遊んでいなかったから、子ども時代のほんの一部分ではあるけれど、間違いなく心に残っている出来事だよ。

— u/Top_Macaroon_9198(オーストラリア)

投稿者本人は返信でオーストラリア人だと明かしています。

たまごっちが残したのは、画面の中のキャラクターとの思い出だけではなかったようです。

誰が持っていたか、休み時間にどこで通信したか、親にどうやって買ってもらったか。そうした周囲の人との記憶まで一緒に残っています。

2004年の「通信するたまごっち」も20年後に復活

こうした世代に直接刺さったのが、2024年の「Tamagotchi Connection」の復活でした。

2004年に登場した「祝ケータイかいツー!たまごっちプラス」などは、赤外線通信によって友達のたまごっちとゲームをしたり、プレゼントを交換したりできるシリーズです。

発売20周年となった2024年、バンダイはリバイバル版「Tamagotchi Connection」を発売。米国では7月9日、日本では8月3日に展開されました。日本版でも当時を思わせるアンテナ付きの形を残し、50種類以上のキャラクター、150種類以上のアイテム、赤外線通信などを盛り込んでいます。

正式発表の数日前、メキシコの玩具イベントらしき写真からConnection復活の可能性がRedditで話題になると、コメント欄はかなりの盛り上がりを見せました。

うそでしょおおおお!!!🥹 ConnectionだけじゃなくてV3? ちゃんと声を聞いてくれた! 本当に聞いてくれたんだ!

— u/Rintchi

別の参加者は、自分にとって最初のたまごっちだった海外版ConnectionのV3(Version 3)を思い出していました。

これ、たくさん買っちゃう!!! V3が自分にとって初めてのたまごっちだったんだけど、しまい込んだまま行方が分からなくなって、もう何年も遊んでない。

昔ながらの遊びに、ミニゲームやアイテム、仲人みたいな機能が増えていて、ほかの人のたまと子どもを作ることもできた。ちょうどいい組み合わせだったんだ。

待ちきれない!!!

— u/RusticPumpkin

この反応を見ると、復刻品は単に「昔と同じ見た目の商品」というだけではありません。

友達と通信した記憶ごと呼び戻す入口にもなっているようです。

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大人になったから、今なら買えるという人も

もう一つ、Redditで繰り返し出てきたのが「大人になった今だから買える」という話でした。

32歳の投稿者への返信では、20代後半の参加者がこんな理由を挙げています。

働いている大人がおもちゃや小さなコレクションアイテムにハマるのは、かなり理にかなっていると思う。

今は、子どもの頃には買えなかった趣味や好きなものに使える自由なお金があるから。

自分は20代後半に近づいているけど、昔欲しかったのに持てなかったものを少しずつ集めてる。30代になってもやめるつもりは全然ないよ 🙂 心配しなくていい。

— u/riceballbabe

これは一人の参加者による説明であり、大人の購入理由全体を示す調査ではありません。

ただ、「昔欲しかったものを、自分のお金で買い直す」という感覚は、復刻商品との相性が良さそうです。

実際、バンダイは初代の海外版をもとにした「Original Tamagotchi」を2018年から展開し、2025年7月末までにシリーズ累計1152万個を販売しています。ファッションブランドとのコラボや豊富なデザインも若い層に受け入れられたとしています。

さらに2026年8月にも、30周年を記念して初代やConnectionの懐かしいデザインを再現した商品が発表されました。復刻路線そのものが現在も続いています。

ただし「懐かしい大人」だけのブームでもない

一方で、すべてをノスタルジーだけで説明すると、Redditに出てきた人たちの姿とは少しずれます。

32歳の投稿者への返信には、子どもの頃には持っていなかったという人もいました。

全然おかしくないよ。

自分は子どもの頃に一度も持っていなかったから、ノスタルジー要素はゼロ。10代になってから興味を持ったんだ。

20代になってV3が再発売されてから、本格的にハマった。

兄か彼氏にも一つ持ってほしいけど、無理強いはしたくない(笑)。

— u/ExcitedOrange13

バンダイ側も、現在は昔遊んでいた20~50代だけでなく、初めてたまごっちに触れるZ世代や子どもたちにも広がっていると説明しています。

特に「Original Tamagotchi」は、カバンなどに付けるファッション小物や「推しカラー」のアイテムとして使われる例もあるとのこと。昔の玩具をそのまま懐かしむ人と、レトロな新しいアイテムとして出会う人が同じ商品を手に取っているわけです。

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大人になれば、上手に育てられる……とは限らない

ただ、大人になって再会すると別の問題もあります。

「子どもの頃に死なせてしまったのは、自分が無責任な子どもだったからだと思っていた」という人が、約1年前にたまごっちを買い直しました。

ところが、大人になった今も何度挑戦しても死なせてしまう。

「これって本当に難しいの? それとも自分だけ?」と、懐かしいものを扱うRedditコミュニティ「r/nostalgia」で尋ねています。

するとコメント欄では、

今はそれをFitbitって呼ぶんだよ。

死なせないように頑張って世話してるかわいそうな生き物は、自分自身だけどね。

— u/DizzyLead

という冗談まで飛び出しました。

Fitbitは、歩数や心拍数などを記録するウェアラブル端末です。「大人になると、育てる対象がデジタルペットから自分自身になる」というわけですね。

もっと現実的な悩みもありました。

そう。思っていたよりずっと難しい。特にフルタイムで出勤する仕事をしてるとね。ハハハ。それでも頑張ってるけど。

— u/ksteeez

一方、子どもの頃と同じタイプを買い直したものの、2日で飽きてしまったという人は、「懐かしい旅としては楽しかった」としつつ、決まった時間軸に合わせて常に様子を見る遊び方が今の自分には合わなかったと書いています。

大人だから昔より簡単に育てられるとは限らない。むしろ仕事や家事があるぶん、あの「ピーピー呼ばれる感じ」が昔以上に大変という人もいるようです。

今度は親が、子どものたまごっちを「留守番」させる側に

それでも面白いのが、親子で遊んでいる家庭です。

ある参加者は、8歳の娘にWi-Fi通信機能を備えた「Tamagotchi Uni」を買ったところ、娘に誘われて自分の分まで買うことになったそうです。

たまごっちはずっと新しい機種が作られてきたよ。特に日本ではね。

8歳の娘がやってみたいと言ったので、8歳の誕生日にTamagotchi Uniを買ってあげた。ものすごく気に入って、通信して一緒に遊んだりアイテムを交換したりできるように、私にも一つ買うよう説得してきた。

でも学校は当然ながら歓迎してくれないから、授業中には遊べない。それに朝の送迎時間が、たまごっちが起きてから世話をする時間と重なるので、朝は私が娘のたまごっちを生かしてる。その後、娘が帰ってくるまではゲーム内のベビーシッターに任せっぱなし。

娘の最初のたまを生かし続けて、あと1週間くらいで1年になる。私のほうも、あと1カ月くらいで1年。

娘には「本物の赤ちゃんでは絶対やらないからね」って言ってある。娘の分と自分の分を同時に世話するなんて絶対無理😂

— u/Melarsa

こうした「子どもが学校へ行っている間、親がたまごっちを預かる」という光景は、実は1990年代にもありました。

1997年の米紙ワシントン・ポストには、学校へ持っていけない娘のたまごっちを、父親と母親がそれぞれ預かって世話した家庭の体験が紹介されています。

1990年代にも、子どものたまごっちを親が預かる光景がありました。それから約30年後の今も、親が子どものたまごっちを世話する光景が見られます。

バンダイも海外で「親子2世代で楽しむ姿」が見られると説明しており、これは現在のたまごっちらしい広がりの一つです。

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「Gen Zのもの」と言われたミレニアル世代

2025年末には、さらに象徴的な投稿がありました。

たまごっち型のペンダントを着けていた人が、同じミレニアル世代(おおむね1980年代~90年代半ば生まれ)の友人から、「それはGen Z(その次の若い世代)向けじゃない?」と言われたというのです。

投稿者は「Gen Zって、そもそも元祖たまごっちを知ってるの?」と、ミレニアル世代が集まるRedditコミュニティ「r/Millennials」に尋ねました。

すると、

5年生のときにたまごっちを持ってたよ。あれはミレニアル世代の遺物だ。

— u/Apprehensive_Sea5304

という返信が。

さらに、

休み時間にトイレにいたとき、誰かのたまごっちが鳴り出して、そこにいた女の子全員が一斉に自分のたまごっちを確認し始めたのを覚えてる(笑)。

— u/ZirekileFalls

と、学校での記憶まで掘り起こされました。

「昔は自分たちのものだった」と感じる世代と、今それを新鮮なアクセサリーとして楽しむ若い世代。

同じ卵型の小さな機械を、違う入口から手にしているところが、現在のたまごっちの面白いところなのかもしれません。

海外で大人がたまごっちに戻っている理由として、公式資料から最もはっきり確認できるのは、子どもの頃の記憶と再会する「懐かしさ」です。ただ、その横では新しい機種、復刻版、親子での通信、ファッションとしての楽しみ方から初めて入ってくる人もいます。

約30年前に「世話をしないと死んでしまう」と子どもたちを慌てさせた小さなデジタルペットは、持ち主が大人になった今も、相変わらず世話を焼かせているようです。

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