20年以上前に生まれた「Sonny Angel」はなぜ今、海外でブレイク? TikTokだけではない人気の理由

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(最終更新日:2026年9月29日)

2026年4月、海外掲示板RedditのSonny Angelファンコミュニティ「r/SonnyAngel」に、2022年のマレーシアの紀伊國屋書店で撮ったという一枚の写真が投稿されました。棚には、今では入手しづらいものもあるシリーズまでずらり。「あのころ、もっと買っておけばよかった」と投稿者は振り返っています。

rant 😢
by u/kskxidjdiekd in SonnyAngel

Sonny Angelが誕生したのは2004年。20年以上前からある日本生まれのフィギュアが、なぜ2020年代になって海外でこれほど注目されるようになったのでしょうか。

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Sonny Angelは、TikTokよりずっと前からいた

Sonny Angelは、動物や果物などのかぶり物をした小さな天使の男の子です。

公式サイトによると、誕生したのは2004年5月15日。当初は高さ18cmの人形で、その後、現在につながるミニフィギュアが発売されました。現在は33カ国で販売されています。

大きな特徴は、箱を開けるまでどのデザインが入っているのか分からない「ブラインドボックス」であること。通常のフィギュア以外に、ランダムで封入される「シークレット」なども用意されています。

ただし、Sonny Angelは2020年代に突然現れたわけではありません。

2022年、「どうやってSonny Angelを知った?」というRedditのスレッドには、かなり以前から集めていた人がいました。

2012年、ニューヨークの玩具店に友達とたまたま入って、そこで初めて買った。

正直に言うと、最近TikTokで急に人気になったのを見たときは、最初ちょっとモヤモヤした。でも、集める人が増えたことで交換したり集めたりするのがもっと楽しくなったって気づいたよ。

— u/merengue_

このコメントが投稿されたのは2022年11月。この時点ですでに、以前からのコレクターが「最近TikTokで急に人気になった」と感じていました。

そのため、Sonny Angelは「一度消えた商品が再び復活した」というより、長く続いていたニッチなコレクションがSNSによって新しい層に発見された、と考えたほうが実態に近そうです。

空気が変わったのは2022〜2023年ごろ

同じ2022年のスレッドには、まさにTikTokから入ってきた人もいます。

TikTokで何度も見かけてた!

それで旅行中、最初のSonny Angelを手に入れるために婚約者を連れて、サンフランシスコの店を8軒くらい回ったよ。

— u/lilianaisaghost

ファンの体感だけではありません。

Sonny Angelを展開する日本企業・ドリームズは2023年6月、米国を中心にTikTokの開封動画がトレンドとなり、Sonny Angelの人気が急上昇していると発表しました。

同社によれば、2023年4月にはニューヨークの公園でファン主催の集まりが開かれ、150人以上が参加。この時点で米国での累計販売数は150万個を突破していました。

さらに2024年4月、米誌Fortuneは、Sonny Angelが過去2年間にソーシャルメディアを通じて人気を大きく伸ばし、世界的な品不足が起きていると報道しています。

ニューヨークのある正規販売店では2021年から取り扱っていましたが、初めて売り切れたのは2023年3月。それ以前は100箱を超える注文を約2週間で受け取れていたのに、2024年には50箱以上確保できればよいほどになり、入荷にも約1カ月かかるようになったと店主は説明しています。

Reddit、メーカー、販売店側の話を重ねると、海外で大きく空気が変わったのは、おおむね2022〜2023年ごろだったと見られます。

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なぜTikTokと相性が良かった? 「開ける瞬間」だけで動画になる

TikTokが多くの人を呼び込んだとしても、それだけでは「なぜSonny Angelだったのか」は説明できません。

そこで効いてくるのが、ブラインドボックスという仕組みです。

2024年に「Sonny Angelを集める一番の楽しみは?」と尋ねたスレッドでは、こんな答えが寄せられていました。

どれが出るか分からないワクワク感と、開けたときのサプライズは大きな理由。

それに本当にかわいいし、幸せな気持ちにしてくれる。

— u/StrawberryPockyUmu

箱を見せる。開ける。中身を取り出す。欲しかったものなら喜ぶ。

違うものが出ても、それはそれでリアクションになります。

実際、ドリームズ自身も2023年に「開封動画」がTikTokでトレンドになったと説明していました。

さらに2021年には、スマートフォンやパソコン、フォトフレームなどに取り付けられる「HIPPERS(ヒッパーズ)」も登場しました。棚に飾るだけではなく、普段使う物に付けて楽しめるシリーズです。

Sonny Angel公式サイトも現在、旅へ連れて行ったり、SNS投稿の写真に登場させたりと、さまざまな楽しみ方があるフィギュアとして紹介しています。

つまり2022年ごろに人気が大きく伸び始めた時点では、「開封するところを撮れる」「スマホなどに付けられる」「外へ連れていける」「写真にできる」といった、SNSと相性のいい特徴がすでに揃っていました。

2025年にも、TikTokやYouTubeから知った人がいた

一時的に動画がバズっただけなら、その後は新しく知る人も減っていきそうです。

ところが2025年7月の「初めて集め始めたときの話」というRedditスレッドでも、TikTokやYouTubeのクリエイターが入口になったという体験談が見られました。

投稿主は、クリエイターが車内でSonny Angelを開封するTikTokを見て、垂れ耳のウサギに一目ぼれ。その後、住んでいる場所から5時間離れたところまでSonny Angelを買いに出かけたこともあるといいます。

これは一つのRedditスレッドに集まった体験談なので、2025年のファン全体の傾向を示すものではありません。それでも少なくともこのスレッドでは、ブームが始まって数年後にもTikTokやYouTubeをきっかけにSonny Angelへ興味を持った人が確認できます。

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持ち歩く、着せ替える、交換する――開封した後も遊びが続く

「何が出るか分からない」という仕組み自体は、Sonny Angelだけのものではありません。

ファンのコメントを読んでいくと、買った後の遊び方にもかなり幅があることが分かります。

イベントや何かの出来事に合わせて、この子たちを集めるのが好き。

いろんな子を冒険に連れて行けると思うとワクワクする。

— u/maxynot

別の参加者は、

体を交換したり、服を作ったり、まるごと新しく変身させたり、カスタマイズするのが大好き。

— u/MysticalSpiceDolls

と答えています。

フィギュアを一つ引いて終わりではなく、「今日はどの子を連れて行こう」「どんな服を着せよう」「この出来事の記念に一体買おう」と、持ち主自身が後から意味を足していけるわけです。

Sonny Angel専門ではない、大人の暮らしや仕事などを語るフィリピン系Redditコミュニティ「r/adultingph」でも、2024年に「なぜみんなSonny Angelを買うの?」という質問が投稿されました。

それに対し、ある愛好家はこう答えています。

私はSonny Angelが大好き。人形みたいに扱っていて、いろんな服や靴を買ってる。ドールハウスまで買ったから、この子には家もあるよ。

結局、何が好きかは人それぞれだと思う。

— u/Impossible-Ad4414

さらに「何がそんなに好きなの?」と聞かれると、

そう! どこへ行くにも連れて行ってる。来月はフィリピンのリゾート地・ボラカイ島へ旅行するから、この子用のビキニも買った(笑)。

私にとっては本当にストレス解消になるし、新しい服が増えると幸せな気持ちになる。

— u/Impossible-Ad4414

と答えていました。

小さなフィギュアを集めるだけではなく、人形遊び、ファッション、写真、旅行などと組み合わせて楽しんでいる人もいるようです。

そして、人と人をつなぐ道具にもなっています。

私はどのSonny Angelも好き。みんなが「かわいくない」と言う子も好きだよ。何が出るか分からないことも、それぞれに思い出ができることも好き。

ミートアップや交換を通じて友達もできた!

どこへ行くにも連れて行くし、レイブ(ダンス音楽イベント)に持って行ってもみんな喜んでくれる。

妹も集めていて、それを通してすごく仲良くなったよ。

— u/Mother-Quantity-8399

ブラインドボックス全般の研究にも、似た遊び方が見られます。

2025年に学術誌『Current Psychology』へ掲載された研究では、コレクション向け玩具を展開する中国企業POP MARTのロンドン店舗を訪れた49人に対し、質問項目を用意しつつ回答に応じて掘り下げる31組の聞き取り調査を行っています。なお49人のうち20人にはPOP MART商品の購入経験がなく、あくまで店舗を訪れ、ブラインドボックスに何らかの関心を持っていた人を対象にした研究です。

31組のうち17組は複数人で来店しており、デザインについて話したり、友人のフィギュア選びを手伝ったりしていました。また、TikTokやInstagramの開封動画を見た人も確認されています。

Sonny Angelを直接調べた研究ではありませんが、Redditに出てきた「開封」「交換」「友達と楽しむ」といった遊び方を考える際の参考にはなります。

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人気になったことで、今度は「見つけたら買わないと」に

人気が上がると、別の変化も起きました。

2023年5月には英国のコレクターが「いつもの店は全部売り切れで、オンラインでも見つからない」とRedditへ投稿。カナダからも、購入できる店自体が少ないうえ、その多くが品切れだというコメントが寄せられています。

7月には、「集めるのが以前ほど楽しくなくなった」というスレッドも立ちました。

投稿主は以前、数カ月に一度、あるいは誕生日やクリスマスに一つ買う程度だったそうです。それが品薄になると、「今見つけたときに買わなければ、次にいつ見つかるか分からない」と感じるようになったと書いています。

別の参加者も、

前は友達と、嫌なことがあった日や、ちょっとしたご褒美として一つ買ってた。

でも今は値段をつり上げる人や、欲しい一体のためにセットを全部買い占める人がいて、すごく競争みたいに感じる。

— u/pnacake

と振り返っています。

また、「Sonny Angelが今ほど人気ではなかったころが恋しい」という別の2023年7月のスレッドでは、7年間集めているという利用者が、

すごく分かる。7年間集めてる。簡単に買えたころが恋しい。

— u/secrethauntingclub

とコメントしています。

同じスレッドでは別の利用者が、猫をテーマにしたCat Life Seriesについて、地元の玩具店が入荷を告知するとその日のうちに売り切れ、さらに別の店でも入荷を知らせた翌日には売り切れていたと書いていました。

Cat Life Seriesがすごく欲しかったんだけど、Sonny Angel公式サイトの発売を逃しちゃった。それで地元の玩具店へ行こうと思ったら、入荷を告知したその日のうちに売り切れ。

別の地元店を確認したら、12箱中少なくとも10箱はあったはずなのに、それも売り切れてた。入荷を投稿したのは昨日だったのに……。

— u/teenytinykat

Fortuneが2024年に取材した米国販売元も供給不足を認めており、工場の生産能力が需要に追いつかず、正規販売店へ希望する数量を供給できない状況だと説明しています。

品薄そのものが、さらに「欲しい」を強めることはある?

「見つけたときに買わなければ」という感覚を考えるうえで、ブラインドボックス全般を対象にした研究も参考になります。

2025年、心理学の学術誌『BMC Psychology』に、中国のドール系ブラインドボックス消費者を調べた研究が掲載されました。

対象者は一般の中国人から無作為に選ばれたわけではありません。研究者は、中国のSNS「小紅書(Xiaohongshu)」と「微博(Weibo)」にあるブラインドボックス関連コミュニティから目的に合う参加者を募り、さらに研究上の参加条件を満たした人を対象として、有効回答434人を分析しています。

研究では、箱の中身が分からないという「不確実性」が、すぐに満足を得たいという感覚や「ギャンブラーの誤謬」と関連し、それらが不確実性と非合理的な購入行動との間を媒介していました。

ギャンブラーの誤謬とは、たとえば独立した抽選なのに「外れが何回も続いたから、次は当たりやすいはず」と考えてしまうような認知の偏りです。

さらに、商品が手に入りにくいと感じる「知覚された希少性」が高い人ほど、このギャンブラーの誤謬と非合理的な購入行動の結びつきが強くなっていました。一方、希少性が「すぐ満足したい」という感覚と非合理的購買との関係を強める効果は確認されていません。

この研究はSonny Angelそのものを調べたものではなく、中国の特定のオンラインコミュニティから募集し、さらに参加条件によるスクリーニングを行った対象者による調査です。

それでも、「以前は気が向いたときだけ一つ買っていたのに、品薄になると見つけたときに買いたくなる」というRedditの体験談を考える手がかりにはなります。

SNSで人気が高まる。品切れが起きる。手に入りにくいと感じる。見つけたときに買おうとする。

Sonny Angelでも、一部のファンにはこうした流れが起きていたように見えます。

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「これ、ギャンブルみたいでは?」とファン自身も話している

「なぜ集めるの?」という2024年のスレッドで、最も身も蓋もない回答の一つがこれでした。

わからない。単にギャンブルが好きなんだと思う。

— u/Traditional-List8623

さらに別の参加者は、

買い物とギャンブルへの依存に拍車をかけてる。

— u/FancyCut9828

と書いています。

2025年にはさらに、「みんなギャンブル依存みたいになっているのに認めていない」というかなり強いタイトルの投稿まで登場しました。投稿主は、欲しい一体が出るまで買い続けたり、短期間で大量購入したりする人を見て心配になったとしています。

では、本当にブラインドボックスはギャンブルと同じなのでしょうか。

ここは分けて考える必要があります。

2026年7月、心理学の学術誌『BMC Psychology』に、問題のあるブラインドボックス購入とギャンブル障害との関係を調べた研究が掲載されました。

研究では、ブラインドボックス購入経験のある中国の成人1,324人を使って「問題のあるブラインドボックス購入」を測る尺度を検証。そのうち、生涯にギャンブルを経験したことのある866人について、問題のあるブラインドボックス購入とギャンブル障害との関係を詳しく分析しました。研究では両者の間に正の関連が確認されています。

研究者は、これを問題のあるブラインドボックス購入とギャンブル障害との関係を調べた最初の探索的研究と位置づけています。

ただし、これもSonny Angel購入者だけを対象にした研究ではありません。また「ブラインドボックスを買う人はギャンブル依存である」という意味でもありません。

普通に一箱開けて楽しむ人もいれば、欲しい物だけ中古で買う人、交換を中心に楽しむ人もいます。

Sonny Angelが人気になった理由をすべて「ギャンブル性」で説明することはできませんが、「次は何が出るのか」という不確実性が一部の人にとって魅力になっていることは、ファン自身のコメントからも見えてきます。

ブームの副作用で、転売や偽物も

品薄が続くなか、中古・転売などの二次流通にも影響が出ました。

2023年のRedditには、店から大量に買ってレアな個体を探し、残りを高値で売る人への不満が相次いでいました。「コンサートのチケットみたいに買い占められて転売されている」と嘆く投稿もあります。

偽物についてはメーカー側も注意を呼びかけています。

2024年7月、Sonny Angel公式はHIPPERSの模倣品が市場に出回っていることを確認したと発表し、正規販売店や公式オンラインストアから購入するよう案内しました。

さらに2026年2月には、近年Sonny Angelの精巧な模倣品が流通しているとして、2025年10月に中国・義烏で大量の模倣品を製造・販売していた複数企業について警察へ刑事告訴したことも公表しています。

人気が大きくなったことで、昔からのファンには別の悩みも増えたようです。

そして2026年、「2022年の普通の売り場」が懐かしい光景に

ここで冒頭の写真に戻ります。

2026年4月、マレーシアの投稿者がRedditに載せたのは、わずか4年前、2022年の紀伊國屋書店の売り場でした。

当時そこに並んでいた複数のシリーズを見て、

この写真だけでも、2022年は本当に集め始めるには最高の年だったんだね。かわいいシリーズを全部逃したのが悲しい。

— u/Annoymehoy

というコメントが寄せられました。

別の利用者は、一言、

オタクっぽいニッチなコレクションだったころが恋しい……。

— u/NoEvening8369

と漏らしています。

一店舗の昔の写真だけで、世界全体の当時の在庫状況が分かるわけではありません。

それでも、2022年の売り場がわずか数年後には「こんなに選べた時代があったのか」と懐かしがられていること自体、この数年間の変化をよく表しています。

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結局、なぜSonny Angelは今、海外で人気なのか

今回確認した資料から、人気が大きく広がる入口として最もはっきり確認できるのはTikTokです。

2022年にはTikTok経由で知ったという新しいファンがRedditに現れ、2023年にはメーカー自身が開封動画による人気急上昇を説明しています。2024年には米国販売元が、需要に供給が追いつかない状況を認めました。

ただ、ファンのコメントを見ていくと、動画で一度見かけるだけでは終わらない遊び方もあります。

箱を開けるまで分からない。欲しい一体を探せる。スマートフォンなどに付けられる。旅行へ連れて行ける。服を着せたりカスタムしたりできる。重複したら交換できる。そして交換会では、同じ趣味の人と知り合うこともできます。

SNSがSonny Angelを大勢の目に触れさせ、その後も「集める」「見せる」「持ち歩く」「交換する」「人とつながる」といった遊びが続くことが、人気が続く背景の一つになっていると考えられます。

2004年からいた小さな天使に、SNS時代の遊び方が追いついた。

Sonny Angelのここ数年の広がりは、そんな現象だったのかもしれません。

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