海外「車がどんどん巨大化しているのに、なぜ日本の軽自動車みたいな規格がないの?」調べると、小さいだけでは成立しなかった

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(最終更新日:2026年9月15日)

日本では、街中でも地方でも当たり前のように走っている軽自動車。

ところが海外掲示板Redditの英国自動車コミュニティで、「車がどんどん巨大化しているのに、なぜ英国やヨーロッパには日本の軽自動車のようなクラスがないの?」という疑問が投稿されていました。

似た疑問は、アメリカ、ニュージーランド、オーストラリアについて話すRedditのスレッドでもたびたび話題になっています。

コメントを追っていくと、「安全規制のせい」「小さい車は売れない」「日本では税金が安いから」と、理由はさまざま。

では、日本の軽自動車はなぜ一つのカテゴリーとして成立し、ほかの国では同じような仕組みが広がっていないのでしょうか。

調べていくと、「小さな車を作ればいい」というだけではないことが見えてきました。

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軽自動車は「小さい車」ではなく、専用の規格

まず、日本の軽自動車は単に「小型の車」を指す名前ではありません。

現在の規格では、

・全長3.40m以下
・全幅1.48m以下
・全高2.00m以下
・排気量660cc以下

という条件が決められています。

軽自動車という区分そのものは1949年に始まり、現在の車体寸法になったのは1998年です。

日本では、この規格が独立した市場としてかなり大きな規模になっています。

2025年の軽四輪車の新車販売台数は166万7,360台でした。

軽自動車以外の普通車・小型車などの登録車を合わせた国内新車販売は456万5,777台なので、軽自動車は約36.5%を占めています。

保有状況にも地域差があります。

2025年末時点で100世帯あたりの軽四輪車保有台数を見ると、長野県は104.5台、鳥取県は102.3台、島根県は102.1台でした。

もちろん、この数字だけから「どんな用途で使われているか」までは分かりません。

ただ、日本の一部の愛好家だけが乗る特殊な車ではなく、各地に広く定着したカテゴリーであることは分かります。

では、同じような小さな車を海外で売れば、同じように普及するのでしょうか。

Redditでは、そこに疑問を持つ人がいました。

「こちらには軽を選ぶメリットがない」

英国のスレッドでは、日本の軽自動車をそのまま持ってきても、日本と同じメリットは得られないという指摘がありました。

英国の税区分では、660ccだからといって日本のように得になるわけじゃない。

日本向けに作られた軽自動車特有のメリットが、こちらには残らない。

— u/EpicFishFingers

日本では、軽自動車そのものに専用の税区分があります。

自家用の軽乗用車の場合、2015年4月以降に最初の新規検査を受けた車の軽自動車税は、年額1万800円です。

一方、2019年10月以降に初回登録された排気量1リットル以下の自家用乗用車では、自動車税は年額2万5,000円です。

一部の減税や、古い車で税額が上がる場合などを除けば、同じ乗用車でも税額にはこのような違いがあります。

また、「軽自動車なら駐車場所を用意しなくてもいい」と説明されることがありますが、これは正確ではありません。

軽自動車でも、道路以外の場所に保管する必要があります。

指定地域では保管場所の届け出も必要です。

ただし、普通車や小型車などの登録車で行われる「車庫証明」と、軽自動車の保管場所の届け出は別の手続きになっています。

ニュージーランドのスレッドでも、日本のような軽自動車制度を作ってはどうかという提案に対し、

こちらでは登録費用もそれほど高くないし、有料道路もほとんどない。

軽自動車を選ぶことで、実際にどれくらい得をするんだろう?

— Redditユーザー

という疑問が出ていました。

車だけを海外へ持っていっても、日本で軽を選ぶ理由まで一緒についてくるわけではなさそうです。

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ヨーロッパには「小さな四輪車」の制度がある

とはいえ、ヨーロッパに小型車専用の制度がまったくないわけではありません。

EUには、L6eの「軽四輪車」やL7eの「重四輪車」といった区分があります。

EUで二輪・三輪・小型四輪車などの車両区分を定める規則では、L6eは最高設計速度45km/h以下、走行可能状態での重量425kg以下とされています。

英国にもL6eの区分があり、英国の車検制度「MOT」の資料では、最高速度45km/h、空車重量425kg以下とされています。

電気自動車の場合、走行用バッテリーの重量はこの空車重量には含まれません。

シトロエン・アミ(Citroën Ami)/Photo: Txemari. (Navarra), Wikimedia Commons, CC0 1.0

英国のスレッドでは、L6eに分類されるシトロエンの2人乗り超小型EV「Ami(アミ)」も話題に出ていました。

Citroën Amiみたいな車はあるけど、市場はかなり限られている。

普通の小型車とも競争しないといけない。

— Redditユーザー

日本の軽自動車とは、ここが大きく違います。

軽自動車は高速道路を走れますが、L6eは最高速度そのものが45km/h以下に制限されたカテゴリーです。

「小さな四輪車」という点では似ていても、想定されている使い方は同じではありません。

その一方で、「車が大きくなりすぎている」という問題意識は実際にあります。

欧州で交通や環境政策について調査・提言を行う非営利団体「Transport & Environment(T&E)」が英国市場を調べたところ、新車の平均車幅は2018年の177.8cmから、2023年前半には180.3cmへ広がっていました。

5年ほどで約2.5cm広くなった計算です。

「もっと小さな車があってもいいのでは」という疑問が出てくる背景には、こうした変化もあるようです。

「安全規制のせい」はどこまで本当?

今回の各スレッドでは、安全性を理由に挙げるコメントが非常に多く見られました。

英国では、

Euro NCAPが事実上不可能にした。

— u/Steelhorse91

という意見まで出ています。

ただ、この説明はそのままでは正確ではありません。

欧州で新車の衝突安全性などを試験し、星の数などで評価する「Euro NCAP(欧州新車アセスメントプログラム)」は、自動車の販売を許可する行政機関ではありません。

試験は義務ではなく、法的な最低要件とは別に、より厳しい条件で安全性能を評価しています。

そのため、「Euro NCAPで高得点を取れないから販売できない」という仕組みではありません。

また、小さな車だから安全評価で高い評価を得られない、というわけでもありません。

ホンダN-BOXは2023年度、日本で新車の衝突安全性などを評価する「JNCAP」で総合評価91%、5つ星を獲得しています。

衝突安全性能もAランク、87%でした。

ただし、これはJNCAPという日本の評価制度の中での結果です。

国や地域によって試験方法や評価基準は異なりますし、5つ星を獲得したからといって、大型車と同じ条件で同じ安全性があることを意味するものでもありません。

ここで、「安全基準を満たせるか」という話とは別に考えなければならないのが、車体の大きさと重さです。

一般に、ほかの条件が同じなら、大きく重い車のほうが、小さく軽い車より衝突時に乗員を守りやすいとされています。

車体前部に衝撃を吸収できる空間を取りやすいうえ、重い車と軽い車が衝突した場合には、軽い側の速度がより大きく変化するためです。

一方で、「重ければ重いほど安全」というわけでもありません。

米国で自動車事故や車両の安全性を研究している非営利機関「IIHS」が2025年に公表した研究では、平均的な車重を超えると、さらに重くしてもその車の乗員を守る効果は小さくなる一方、衝突相手への危険は増えることが示されています。

安全基準や安全評価とは別に、実際に高速道路を走ったときの使い勝手を気にする声もありました。

オーストラリアのスレッドでは、日本で軽自動車を運転した経験がある人が、

街中や近所の用事なら最高。

でも日本で高速道路を走ったときは、それほど良くなかった。パワーが少なくて100km/hを維持するのに苦労したし、大きな車が横を通ると落ち着かなかった。

— u/malak_oz

と話しています。

ここまでを整理すると、「海外の安全基準に適合できるか」「安全評価でどのような結果になるか」「大きさや重量の違う車と衝突した場合にどうなるか」は、それぞれ別の問題です。

スレッドではこれらが一緒に語られていましたが、「軽自動車は危険だから海外では売れない」と一言で片づけられるほど単純ではなさそうです。

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アメリカでは、乗用の軽と軽トラで反応が少し違う

ここまで英国やヨーロッパを中心に見てきましたが、アメリカでは少し違った形で軽自動車が話題になっています。

乗用タイプの軽自動車については、

長距離や高速走行には向かない。

あれだけ大きな車が走っている中では、安全性が心配。

といった声がありました。

さらに、米国で過去に販売された超小型車「スマート・フォーツー」や、トヨタ系の米国ブランドから販売された「サイオンiQ」が定着しなかったことを挙げる人もいました。

Smartはアメリカでも売っていたけど、結局販売をやめた。

トヨタもiQを売っていたけど、やめてしまった。

ほかのメーカーも一番小さな車を次々と販売しなくなっている。

— Redditユーザー

ところが、軽トラックになると少し反応が変わります。

ある軽トラ所有者は、

庭に敷くマルチ材を1立方ヤード積めるし、4×8フィートの板も荷台に平らに載せられる。

ごみ捨てにも使える。

しかも、とにかく安かった。

— u/FesteringNeonDistrac

と話していました。

ここでいうマルチ材は、庭の地面などに敷くウッドチップなどのことです。

1立方ヤードは約0.76立方メートル、4×8フィートは約1.2×2.4メートルになります。

別の人は、軽トラの立ち位置をさらに分かりやすく表現していました。

Super Duty(フォードの大型ピックアップ)の代わりというより、Kawasaki Mule(カワサキのオフロード四輪車)の代わりだね。

— u/Yummy_Crayons91

大型ピックアップで重いトレーラーを引く代わりではなく、農場や敷地内で人や道具を運ぶ小型のオフロード作業車の代わりとして見ると、軽トラの小ささが欠点ではなくなる場合があります。

別の所有者も、

軽作業や街中で使うならいい。

重いものをけん引する用途には向かないけど、自分たちがやっている仕事の7割くらいならこれで足りる。

— Redditユーザー

と話していました。

もちろん、これらはアメリカ全体の市場を示す統計ではなく、個々の所有者や利用者の経験です。

今回確認した声の範囲では、農場内の移動や軽作業など、用途がはっきりしているところで軽トラを評価している人がいる、と見るのがよさそうです。

25年以上なら輸入できる。でも「どこでも走れる」ではない

軽トラについて調べていると、アメリカでは「25年ルール」という言葉がよく出てきます。

ただし、ここも少し注意が必要です。

米運輸省で自動車の安全基準を所管するNHTSA(道路交通安全局)のルールでは、製造から25年以上経過した車は、米国で新車などに求められる連邦自動車安全基準「FMVSS」に適合しているかどうかにかかわらず輸入できます。

これが一般に「25年ルール」と呼ばれているものです。

一方、排出ガスについては別の制度があります。

米国の排出ガス規制などを担当するEPA(環境保護庁)では、製造から21年以上経過した車について、元のエンジンと同一モデル・構成であることなど一定の条件を満たせば、排出ガス規制上の免除を受けられる場合があります。

エンジンが載せ替えられている場合などは、扱いが変わることがあります。

さらに、輸入できることと、公道を走れることも同じではありません。

実際に登録して走行できるかどうかは、州ごとの制度も関係します。

Redditでも、州によって扱いが違うという話が何度も出ていました。

軽トラがアメリカに存在していることと、「25年経てば全米のどこでも自由に走れる」ことは同じではありません。

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アメリカでも「小さな車を作る」話が出てきた

そして、この話には2025年以降、新しい動きも出ています。

2025年12月、トランプ大統領は日本などで見た小さな車に触れ、アメリカでも小型で手頃な車を作れるようにしたいという趣旨の発言をしました。

このニュースを扱ったRedditスレッドでは、

見出しはちょっと楽観的すぎる。

現職大統領が「こういう車をアメリカでも売れるようにしたい」と言っただけに見える。

しかもメーカーがアメリカで生産ラインを用意しないといけないなら、予想される販売台数を考えると金銭的なハードルが大きすぎる。

— u/willpc14

という反応も出ています。

日本側でも、すぐに「軽自動車がアメリカへ」という話になったわけではありません。

2025年12月5日の記者会見で経済産業省は、この件について米国側との協議は行っておらず、発言の意図や詳細についても把握していないと説明しました。

その後、2026年7月にもトランプ大統領は、アメリカの自動車メーカーが「小さな車」を生産できるようにする考えに言及しています。

ただ、ここで話されているのは、日本の660cc規格をそのままアメリカへ導入することとは限りません。

アメリカ向けに新しい小型車の枠組みが作られるとしても、高速道路事情や安全基準、市場の違いに合わせた別の車になる可能性があります。

日本の「軽」という名前だけを持ってくる話ではなさそうです。

「軽を持ってくる」だけでは同じものにならない

今回、英国、アメリカ、ニュージーランド、オーストラリアのスレッドを見ていると、「もっと小さな車が欲しい」という声そのものは各地にありました。

ただ、その理由は少しずつ違います。

英国では大きくなる車への不満があり、ヨーロッパには低速の超小型四輪車という別カテゴリーがあります。

アメリカでは乗用の軽自動車には懐疑的な声が多い一方、軽トラは農場や軽作業という別の用途で評価する人がいます。

日本では、660ccというエンジンだけではなく、寸法、税、手続き、そして年間160万台以上が売れる市場まで含めて「軽自動車」というカテゴリーが成り立っています。

海外に同じ大きさの車を持っていくだけでは、日本の軽自動車と同じ存在にはならないのでしょう。

小さい車が必要かどうかだけではなく、「小さいことにどんな意味があるのか」。

各国の反応を追っていくと、その違いのほうが見えてきますね。

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