海外「こんなの見たことがない」フィンランドの“洗った皿をそのまましまえる棚”

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洗った皿を水切りかごに置き、乾いたら食器棚へ戻す。

日本では見慣れた流れですが、フィンランドのキッチンには、この「乾かしてからしまう」という一手間そのものをなくしてしまう棚があります。

What do you think of Finnish dish drying cabinets?
by u/Repulsive_Lecture_66 in AskTheWorld

海外掲示板Redditで話題になったのは、シンクの上に取り付けられた食器棚。棚板が金属製の網になっていて、洗った皿を濡れたまま入れると、その場で水切りと乾燥ができます。

アメリカからの投稿者は、フィンランドを何度も訪れるうちにこの設備を知ったそうです。

「アメリカ人だけど、これは100%賛成。いつか自分の家にも取り入れたい。フィンランドには何度も行ったけど、本当に実用的なんだよね。」
— u/Repulsive_Lecture_66(アメリカ)

フィンランド語では「astiankuivauskaappi」と呼ばれます。日本語にすれば「食器乾燥棚」や「水切り食器棚」といったところですが、電気で温風を出す食器乾燥機ではありません。洗った食器を自然乾燥させるための棚です。

しかも、乾いた後にわざわざ別の棚へ移さず、そのまま食器置き場として使うこともできます。

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「乾かしてからしまう」をやめてしまう

この棚の仕組み自体は驚くほど単純です。

シンクの上の吊り戸棚に水切り用の棚を入れ、底を開放するか、水を受けるトレーを付ける。洗った食器を置けば水が下へ落ち、空気に触れながら自然に乾いていきます。

フィンランドからの参加者は、その利点をとても簡潔に説明していました。

「別に乾かす工程を丸ごと飛ばせる食器棚だと思えばいいよ。」
— u/JumpyOne5907(フィンランド)

なるほどと思います。

水切りかごと食器棚を別々に用意するのではなく、最初から一つにしてしまう。

実際、別のコメントでは「そのまま置いておけばいい」「誰も別の棚へ移せとは言っていない」といった反応も出ていました。

アメリカからは、

「こんなの今まで見たことがない。」
— u/L8dTigress(アメリカ)

という反応もありましたが、コメント欄を読み進めると、ここで少し話が変わります。

「フィンランドのものだと思ってなかった」

イタリアからは、まったく逆の反応が返ってきました。

「こっちではほとんどの家にあるし、すごく便利だよ。他の国では一般的じゃないなんて知らなかった。」
— u/typhoonclvb(イタリア)

スペインからも「うちにもある」、ロシアからは「フィンランドのものだとは知らなかった。ロシアや旧ソ連では標準的な設備」という声があり、ベトナムやエジプトなどからも似た設備を見たというコメントが寄せられています。

ここまで来ると、「フィンランド人が発明した便利な棚が、ほかの国には存在しない」という話ではなさそうです。

実際、歴史を調べてみると、もう少し複雑でした。

フィンランドでは、家事の効率化を研究していたマイユ・ゲプハート(Maiju Gebhard)が1940年代にこの食器乾燥棚を改良・普及させた人物として知られています。家事や作業の効率化を研究するフィンランドの団体Työtehoseuraによると、ゲプハートは家事にかかる時間を調べ、食器を一枚ずつ布巾で拭く作業を減らす方法として、シンク上の空間を利用する乾燥棚を発展させました。

ただし、「世界で最初に考案した人物」とまで言い切ることはできません。

フィンランドの公共放送Yleは以前、この棚をフィンランドの発明として紹介していましたが、その後、アメリカやドイツにさらに古い類似例があったことを確認し、記事を訂正しています。

つまり、現在の情報から見ると、似た発想自体は別の国にも以前から存在していたものの、フィンランドで日常のキッチン設備として発展し、広く定着したと見るのが近そうです。

「フィンランドの棚だと思っていたら、イタリア人から『うちにも昔からあるよ』と言われる」というRedditの展開も、意外と歴史そのものを表していました。

目的は「食器」より、家事の時間を減らすことだった

この棚について調べていて印象的なのは、もともとの目的が格好いいキッチンを作ることではなかった点です。

Työtehoseuraでは、当時の家事を「仕事」として測り、どうすれば負担を減らせるかを研究していました。

ゲプハートたちが注目したのも、食器を洗ったあと、一枚ずつ拭いて棚へ戻す作業でした。棚の中で勝手に乾いてくれれば、その作業を省くことができます。

1945年には設計図や製品の販売が始まり、1948年には工業生産も始まりました。

**フィンランド外務省の広報サイト「ThisisFINLAND」**も、この食器乾燥棚をフィンランドを代表するデザインの一つとして紹介し、シンクの上という使われていなかった空間を活用しながら、手で食器を拭く作業をなくすために発展したものだと説明しています。

見た目はただの食器棚ですが、発想の中心にあったのは「どうすれば家事を一工程減らせるか」だったわけです。

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食洗機がある今でも必要?

ただ、1940年代と現在ではキッチン事情が違います。

スレッドでも「食洗機があるなら必要ないのでは?」という疑問が何度も出ていました。

実際、食洗機を使うようになって、この棚をほとんど使わなくなったという人もいます。一方、フィンランドからはこんな声がありました。

「幅50〜60センチくらいの細いタイプが、シンクのすぐ上にある。95%くらいは食洗機を使ってるけど、それでも時々、食洗機に入れられないものがあるから、これがあるのは気に入ってる。上の棚は普通の収納として使っていて、水切り用なのは50〜60センチ幅の棚が2段だけ。」
— u/Many-Gas-9376(フィンランド)

鍋や木製の調理器具、食洗機に向かないものだけ手洗いする家庭なら、大きな水切りかごを常に作業台へ出しておく必要がありません。

ただ、全員が便利だと思っているわけでもありません。

「棚一つを丸ごと使うのはもったいない」「湿った場所に食器を入れるのはカビが心配」「硬水の地域なら水垢が残りそう」といった反対意見も出ています。

フィンランド側からは、底が開いていて空気が通る構造になっていることや、タイプによっては水受けトレーがあることが説明されていました。Työtehoseuraの解説でも、開放された下部は通気を確保するための設計だったとされています。

便利さは、キッチンの広さや食洗機の有無、収納量によっても変わりそうです。

「当たり前の設備」は国が変わると発明に見える

今回のコメント欄では、アメリカから「欲しい」という声が続く一方、イタリアやロシアなどからは「これって珍しかったの?」という反応が返ってきました。

フィンランドからも、

「現実では独立した水切りかごを見たことがない。フィンランドではみんなこの棚を持ってるから。」
— u/UnstableUnicorn666(フィンランド)

という声があります。

もちろん、これは一人の経験なので、フィンランドの全家庭を表すものではありません。ただ、Työtehoseuraも2024年の記事で、食器乾燥棚をフィンランド人にはよく知られた設備として紹介しており、現在でも使われ続けています。

ある国では「こんな便利なものを初めて見た」と驚かれ、別の国では「これなしでどうやって食器を乾かすの?」となる。

しかも調べてみると、「フィンランドだけの発明」という単純な話でもありませんでした。

ただ、食器を洗ったあとに「拭いて、しまう」という作業を見て、「そもそも、その作業は必要なのか」と考えたところには、この棚の面白さがありそうです。

(最終更新日:2026年9年9日)

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