海外でラーメンはどう身近になったのか? インスタント麺・豚骨チェーン・アニメから見えた背景

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(最終更新日:2026年10月7日)

2026年6月、日本旅行の情報交換をするRedditコミュニティ「r/JapanTravelTips」に、こんな疑問が投稿されました。「なぜ外国人旅行者は豚骨ラーメン、特に一蘭を選ぶ人が多いのか?」というものです。

What is your favorite type of ramen in Japan, and why?
by u/JapanBookingGuy in JapanTravelTips

実際、観光庁の「2024年インバウンド消費動向調査」では、訪日客が「訪日中に一番満足した飲食」として挙げたもののうち、ラーメンは18.9%で、肉料理の32.3%に次ぐ2位。米国からの旅行者に限ると21.6%で、すしの18.6%を上回っています。

もちろん、これは世界全体の好みを測った調査ではありませんが、訪日旅行者にとってラーメンがかなり大きな存在になっていることは分かります。

では、海外の人たちは、どこでラーメンと出会い、日本で食べる一杯へ興味を持つようになったのでしょうか。

先ほどのRedditスレッドには、こんなコメントがありました。

たぶん、海外でもよく見かけるから「安心できる範囲」なんだと思う。それに、自分の地元で食べる豚骨と、日本の豚骨を比べられるから。

— u/AthosArmand

調べていくと、この「すでに知っている」という感覚が、海外でラーメンが身近になっていった背景を考える一つの手がかりになっていました。

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米国では、専門店ブームより前からインスタント麺が身近だった

海外でラーメンを知った人が、最初から専門店の一杯を食べていたとは限りません。

ベトナムの麺料理フォーについて語るRedditコミュニティ「r/pho」で、「なぜ米国ではラーメンのほうが人気なのか?」という話題が出た際には、こんなコメントがありました。

少なくともここ40年くらい、多くの人がインスタントラーメンを食べて育ってきたから、ラーメンにはすでに馴染みがあるんだと思う。

— u/ShakeWeightMyDick

これに対して、別の参加者はすぐにこう返しています。

インスタントラーメンは、店のラーメンとは実質的にまったく別物の味だよ。それに、多くのアメリカ人がラーメンとして思い浮かべるのは豚骨で、インスタントラーメンとは大きく違う。

— u/MG42Turtle

確かに、インスタント麺と専門店のラーメンを同じ料理として扱うことはできません。

ただ、「ラーメン」という名前に接する入口として、インスタント麺の存在は無視できない規模になっています。

即席麺メーカーなどが参加する世界ラーメン協会(WINA)の統計によると、2025年に世界で消費されたインスタント麺は約1242億食。米国だけでも約52億2700万食が消費されました。ここには日本式ラーメン以外の即席麺も含まれるため、「1242億食すべてが日本のラーメン」という意味ではありません。それでも、インスタント麺が世界各地の日常に入り込んでいる規模はよく分かります。

米国での歴史を見ると、店のラーメン自体も古くから存在していました。

ニューヨーク市における日本料理レストランの歴史を調べた研究によると、1974年には「どさん子ラーメン」が進出しています。ただ、当時はまだ米国人にとってラーメンは馴染みの薄い料理でした。

一方、1980年ごろには日清食品や東洋水産などのインスタントラーメンがすでに普及し、「ラーメン=安価な食品」というイメージも形成されていたといいます。本格的な日本料理としてラーメンが注目されるようになったのは、2000年代に入ってからでした。

少なくとも米国では、現在のようなラーメン専門店ブームが起こるより前から、インスタント麺を通じて「ramen」という名前に親しんでいた人たちがいたわけです。

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専門店ブームの中で、豚骨チェーンも海外へ広がった

2000年代に入ると、ニューヨークでは店で食べるラーメンの立ち位置にも変化が起きます。

先ほどの研究では、2004年にニューヨークで開業したラーメン店「モモフク・ヌードル・バー」、2008年にニューヨークへ進出した一風堂などの登場によって、それまでの「安い食べ物」というラーメンのイメージが変化していったとされています。やがてラーメンは、すしと並ぶ日本食の新しいアイコンの一つとして定着していきました。

この流れの中には、豚骨ラーメンのチェーンも含まれています。

福岡発の豚骨ラーメン店「一風堂」は1985年に創業し、2008年にニューヨークへ海外1号店をオープン。その後、さまざまな国や地域へ出店していきました。

一蘭も2013年に香港・銅鑼湾へ出店し、2015年には香港・尖沙咀(チムサーチョイ)、2016年にはニューヨーク・ブルックリンへ進出しています。

こうした背景を知ると、r/JapanTravelTipsにあった次のやり取りも分かりやすくなります。

ニューヨーク市には一蘭が何店舗かある。ニューヨークの友人は、日本でも同じチェーンに行っていた。たぶん、安心できるんじゃないかな。

— u/ujanmas

知っている店に行くのっていいよね。一蘭は、おいしい博多ラーメンをいろいろな場所で食べやすくした点は評価したい。

— u/snobordir

博多ラーメンは、福岡・博多を代表する豚骨系ラーメンです。

もちろん、「海外へ進出した店があるから、外国人はみんな豚骨好きになった」とまでは言えません。

ただ、今回のコメントを見る限り、日本へ来る前から一風堂や一蘭などを知っている人にとっては、豚骨ラーメンの選びやすさにつながる場合もあるようです。

アニメも「食べてみたい」への入口になっていた

海外コメントでもう一つ繰り返し出てきたのが、アニメです。

日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)が2023年12月から2024年1月にかけて、アニメファンサイト内の1,783人を対象に行った調査では、「アニメを見て食べたくなり、実際に日本食を食べたことがある」と答えた人が51%でした。

そのきっかけとなった作品では『NARUTO -ナルト-』が289票で最多。そして「アニメをきっかけに実際に食べた日本食」では、ラーメンが531票でトップでした。

これはアニメファンを対象にした調査なので、一般の海外消費者全体へそのまま広げることはできません。それでも、アニメから日本食への興味や実食につながる可能性は、JFOODOの調査でも示されています。

2026年2月には、『NARUTO』ファンのRedditコミュニティ「r/Naruto」でも、「『NARUTO』を見てラーメンを食べてみた人はどのくらいいる?」というスレッドが立ちました。

そこで目を引いたのが、こんな体験です。

もともと安い袋麺は好きだった。それでナルトが食べているラーメンを見て、「なんであっちは、あんなにおいしそうな具が入ってるんだ?」って思った。

だから『NARUTO』がきっかけでラーメンを食べ始めたわけじゃないけど、『NARUTO』を見てから、自分のラーメンに具を足すようにはなった(笑)。

— u/Keefyfingaz

これは、インスタント麺とアニメという二つの入口が重なった例です。

もともと「ramen」という食べ物自体は知っている。そこへアニメで、チャーシューや卵などがのった大きなどんぶりのラーメンが登場し、「あれは何だろう」「食べてみたい」と興味を持つ人もいるようです。

ただし、アニメを見れば必ずラーメン好きになるわけでもありません。

このr/Narutoのスレッドを立てた本人は、おいしそうに見えたので実際に家族で店へ食べに行ったものの、店のラーメンは好みに合わなかったと話しています。

「食べてみたい」と思うことと、実際に好きになることは別、というわけです。

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日本旅行で出会うラーメンは「豚骨だけ」ではない

そして、日本旅行に来てから初めて知るラーメンもあります。

日本政府観光局(JNTO)のラーメン案内では、代表的なものだけでも塩、醤油、味噌、豚骨があり、さらに各地にさまざまな地域ラーメンがあると説明されています。札幌なら味噌、九州なら豚骨というように、土地によっても特色があります。

最初に紹介したr/JapanTravelTipsのスレッドでも、豚骨以外に味噌、塩、つけ麺、担々麺、鶏白湯(鶏を煮込んだ白濁スープ)、煮干し、油そばなど、かなり幅広い好みが挙がっていました。

最近、初めて日本へ行ったとき、つけ麺には驚かされた。

— u/Bingo31

さらに2026年3月には、料理や食べ物の投稿を扱うRedditコミュニティ「r/food」に、「日本で1か月に19杯のラーメンを食べた」という旅行者が登場しました。

投稿主が気に入ったものとして挙げたのは、久留米で食べた豚骨、東京で食べた醤油系の一杯、そして油そばなどの汁なし系。店を選ぶ際には口コミだけでなく、食べログやGoogleマップを使い、気になる一杯のためにわざわざ足を延ばしたこともあったそうです。

「どれがトップ3?」と聞かれると、答えはこうでした。

17番、Goodle、それから汁なし系はほぼ全部。

— u/Emotional-Bag1398

Goodleは、東京のラーメン店「Edo Noodles Goodle」のこと。17番は、投稿主が久留米で食べて「今までで一番の豚骨」と評した一杯です。

豚骨を高く評価する一方で、東京の醤油系やスープのない麺料理もお気に入りに入っています。

今回確認した旅行者のコメントを見ると、海外で最初に知ったラーメンと、日本で気に入るラーメンが同じとは限らないようです。

海外でラーメンが身近になった背景

今回確認した資料から見えてくるのは、海外からラーメンへたどり着く入口が一つではないことです。

インスタント麺として子どもの頃から「ramen」という名前に親しんできた人がいる。その後、日本の専門店や海外へ進出したチェーンで店のラーメンに出会う人もいる。『NARUTO』などのアニメを見て、日本で食べるような一杯に興味を持つ人もいます。そして実際に日本へ来ると、豚骨だけでなく、味噌や塩、つけ麺、地域ごとのラーメンを知る機会があります。

どの要因が世界のラーメン人気に何%寄与したのかを示す統計はありません。また、インスタント麺、海外のラーメン店、アニメ、日本旅行のそれぞれが、すべての人に同じ順序で影響しているわけでもありません。

それでも、こうした複数の入口が重なっていることは、海外でラーメンが身近になっていった背景を考える大きな手がかりになりそうです。

日本人にとっては昔から身近な一杯ですが、海外では何度も違う形で「初めてのラーメン」に出会える料理なのかもしれません。

参考情報と翻訳元

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