(最終更新日:2026年9月28日)
海外を旅行していると、ときどき「1か月かけてヨーロッパを回っている」「夏は数週間ずっと旅行している」という人に出会います。
海外掲示板Redditの旅行コミュニティ「r/travel」でも、1か月ほど家を空ける長期旅行をめぐって議論が起こりました。費用だけでなく、仕事や請求書、病院の予定、ペットの世話まで考えると、そんなに長く旅行できるものなのでしょうか。
コメントを読んでみると、「海外では普通」と一括りにできる話ではないようです。
ヨーロッパでも「1か月」より2〜3週間?
まず目立ったのが、ヨーロッパでは数週間のまとまった休暇を取るという声です。
ヨーロッパでは、年に一度2週間半〜3週間くらい休暇を取るのはかなり普通だよ。それとは別に、3〜7日くらいの短い休暇を1、2回取ったりもする。
文句なし!
— u/Kaizen-_
ただし、「ヨーロッパなら丸1か月が普通」という意見ばかりではありません。
ヨーロッパでも、丸1か月休むのはちょっと珍しいと思う。少なくとも自分の周りでは。
でも、特に夏に2〜3週間休む人はいるね。
— u/Salzhio
背景としてまず押さえておきたいのが、そもそもの年次休暇です。
EUの「労働時間指令」では、加盟国は労働者に少なくとも年4週間の有給年次休暇を確保することが求められています。もちろん、これは「4週間すべてを一度に休む」「4週間海外旅行をする」という意味ではありません。国の制度や職場、本人の休み方によっても変わります。
実際、スレッドでも「全部まとめて使う」という人と、「夏に2〜3週間、残りは春や冬に分ける」という人が混在していました。
スウェーデンでは「夏に4週間」が制度上かなり身近
そんな中でも、長い夏休みの話が繰り返し出てきた国の一つがスウェーデンです。
ここスウェーデンでは、丸1か月休むのはかなり普通だよ。
— u/fabstr1
その返信には、こんな話もありました。
ものすごく普通。うちのオフィスなんて、ほとんどゴーストタウンになるよ。
ただ、みんながその間ずっと外国へ行っているというより、サマーコテージ(夏を過ごす別荘)で過ごしている人のほうが多い気がする。国外へ行くとしても1週間くらいだったり。
まあ、うちの職場だけかもしれないけど。
— u/Alinoshka
スウェーデンの年次休暇法では、原則として年25日の休暇を取る権利があり、別の取り決めがない場合、6月から8月の間に少なくとも4週間を連続して取れるよう休暇を設定することになっています。
つまり「夏に1か月近く仕事を離れる」という生活自体は、制度上それほど不思議ではありません。
一方で、コメントにあるように、その4週間を丸ごと海外旅行に使うとは限りません。別荘で過ごしたり、国内でのんびりしたり、そのうち一部だけ旅行したりする人もいるということですね。
アメリカでは、そもそも有給休暇の出発点が違う
対照的だったのが、アメリカからの反応です。
米国では、一般の民間雇用について、有給の年次休暇を与えることを連邦法が一律に義務づけているわけではありません。有給休暇は勤務先の制度や雇用条件によって大きく変わります。
米労働統計局(BLS)がまとめた2026年3月時点のデータでは、民間労働者の80%が有給の年次休暇を利用できる環境にありました。
さらに、休暇や病気休暇などを一つにまとめた「統合型休暇制度」を除いて日数を見ると、民間部門では勤続1年で平均11日、5年で16日、10年で18日、20年で20日です。
1か月近い休暇を一度に使うとなると、年間の休暇をかなりまとめて投入することになります。
スレッドには、比較的休暇の多い仕事をしているアメリカ人からも、こんな声がありました。
特に企業勤めなら、年4週間以上のPTOがあること自体は珍しくないと思う。
その時間をどう使うかは別の話だけどね。自分は年5週間、それに有給の祝日が12日ある。先月は16日間フランスへ行ってきた。
— u/philsfly22(アメリカ・ペンシルベニア州)
PTOは「Paid Time Off」の略で、休暇や私用などに使える有給の休みをまとめて管理する仕組みです。
休める日数を持っていても、それを丸ごと一度に使うとは限らない。ここは長期旅行を考えるうえで大きなポイントのようです。
実際に1か月休んだ人もいました。
PTOを全部一度に使って、1か月休んだことがあるよ。ただ、職場には許可を取らなきゃいけなかったし、ほかのみんなもあちこちで休みを取る時期に合わせた。
投稿者が挙げていた病院の予約とか請求書なんかは、特に問題じゃなかったけどね。休んでいる間も普通に給料は出ていたし、旅行で余計にかかるお金は少し貯めておいた。
— u/futoikaba
「年間に何日休みがあるか」と「何週間連続で職場を離れられるか」は、同じではないということなのでしょう。
オーストラリアでは「遠いから長く行く」という声も
オーストラリアからは、また少し違った理由が出てきました。
オーストラリアでは、1か月以上旅行するのはかなり普通だよ。
何しろどこへ行くにも遠いから、「せっかく行くなら元を取りたい」って感じるんだ。
そういう意味では単なる「休暇」というより、もっと大きな旅行だったり、長めの休業期間だったり、海外でひとシーズン過ごすような感覚に近い。
— u/sirachaswoon
これは一人の参加者による説明ですが、休暇制度にも長期旅行を可能にしやすい違いがあります。
オーストラリアでは、原則としてフルタイムとパートタイムの従業員に年4週間の有給年次休暇が認められています。休暇を一度に取れる期間に一律の最短・最長はなく、時期や長さは雇用主との調整になります。雇用主は合理的な理由なしに休暇申請を拒否できません。
別の参加者も、
うん、オーストラリアでは普通だよ。
ただ、その期間ずっと海外で暮らすというより、4〜5週間旅行しているというパターンのほうが一般的だと思う。
— u/milkyjoewithawig
と話していました。
ただし、これもReddit参加者の体験談です。オーストラリア人全体が毎年4〜5週間旅行しているという統計を示すものではありません。
「1か月休める」からといって、1か月旅行するわけではない
今回のスレッドで面白かったのは、休暇日数の話だけでなく、「長く休めるとして、その間どうするの?」という生活面の話まで出てきたことです。
7週間の休暇があるという参加者は、こう説明しています。
私の住んでいるところでは普通だよ。私は毎年7週間の休暇がある。たとえば夏に4週間、春に1週間、クリスマスに2週間という取り方ができる。
でも、丸1か月ずっと外国へ行くわけじゃない。子どもも猫もいるし、旅行は面倒なこともあるし、かなりお金もかかるからね。たいていは2週間旅行して、そのあとは親戚や友人と過ごす。
ただ、カナダやアメリカを4週間かけてロードトリップする人もたくさん知っているよ。
幸い今は病院の予約はないけど、休暇に合わせて予定を組むのは普通。仕事がたまらないのは、みんなが休暇を取るし、私はチームで働いていて、お互いの仕事を引き継ぐから。
請求書も今はほとんどメールで送られてくるから、旅行中でもそのまま払える。
— u/Ok-Aide2605
ほかにもスレッドでは、ペットを家族やペットシッターに預ける、請求書は自動引き落としにする、病院の予定は旅行を避けて入れる、休暇中の仕事は同僚が引き継ぐ、といった話が出ていました。
逆に、配偶者や子どもの予定が合わない、ペットを長く預けたくない、仕事へ戻ったあとの負担が大きいといった理由から、「休めるけれど1か月は行かない」という人もいます。
こんなコメントもありました。
2週間、長くても2週間半くらいで、自分のベッドが恋しくなる。
休む時間もお金もある。ただ30日間も旅行したくないだけ。
— u/notthegoatseguy(アメリカ)
休暇制度だけでは説明できないところも、かなり大きそうです。
では、海外では1か月旅行が普通なのか?
今回のコメントと各国の制度を合わせて見ると、「海外では1か月旅行が普通」とまでは言えません。
ただ、EU諸国のように年4週間以上の有給年次休暇が制度上確保されている地域や、夏に4週間連続で休める仕組みがあるスウェーデン、年4週間の年次休暇があるオーストラリアなどでは、数週間単位で仕事を離れるための土台があります。
一方、アメリカでは、有給の年次休暇について連邦レベルの一律の最低保障がなく、実際の休暇日数も勤務先による差が大きいため、同じ「1か月旅行」でもハードルはかなり違います。
そして今回のスレッドでは、休暇を2〜3週間ずつに分けたり、家やサマーコテージで過ごしたりする人もいました。旅行先で1か月旅をしている人を見かけても、それがその国の「普通の会社員の休み方」とは限らない、ということなのかもしれません。
参考情報と翻訳元
- Reddit「r/travel」の元スレッド — 旅行の計画や体験談を扱うRedditコミュニティのスレッド。2025年9月19日に投稿され、元投稿本文は現在削除されていますが、長期旅行についてのコメントは確認できます。
- Directive 2003/88/EC concerning certain aspects of the organisation of working time — EUの労働時間指令。第7条で少なくとも4週間の有給年次休暇を定めています。
- Semesterlag (1977:480) — スウェーデン議会が掲載する年次休暇法。年25日の休暇と、原則として6〜8月に4週間連続で休暇を設定する規定を確認。
- U.S. Department of Labor「Vacation Leave」 — 米労働省の資料。一般の民間雇用で、有給の年次休暇を連邦法が一律に義務づけているわけではないことを確認。
- U.S. Bureau of Labor Statistics「Employee Benefits in the United States, March 2026」 — 米労働統計局による2026年3月時点の福利厚生データ。有給年次休暇を利用できる民間労働者の割合を確認。
- U.S. Bureau of Labor Statistics「Paid leave benefits: Average number of sick and vacation days by length of service requirement」 — 統合型休暇制度を除いた、勤続年数別の平均有給休暇日数を確認。
- Fair Work Ombudsman「Annual leave」 — オーストラリアの労働条件を扱う公的機関の資料。年次休暇の日数や取得時の基本ルールを確認。


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