(最終更新日:2026年9月26日)
モンゴルを何度も訪れ、すっかりこの国が好きになったという日本人旅行者。ただ、現地で過ごしていると、ロシア、中国、韓国の影響に比べて「日本は少し存在感が薄いのでは?」と感じることがあったそうです。
How do Mongolians actually view Japan/Japanese culture/Japanese?
by u/pearl-1225 in mongolia
アニメを見たり、ラーメンや寿司が好きだったりする人には出会う一方、実際に日本人と話した経験がない人も多そうに見える。そこでRedditのモンゴルコミュニティ「r/mongolia」で、「モンゴルの人は日本、日本文化、日本人を実際どう見ているの?」と尋ねました。
「日本の印象は良い」という声
まず多かったのが、日本そのものには好印象を持っているという声です。
モンゴルの国旗マークを付けた参加者は、こんな印象を書いていました。
日本は大半の人から好意的に見られているよ。旅行したい、働きたい、留学したいと言う人も多い。日本製品は品質が良いと思われているし、日本人は勤勉でプロフェッショナルだと見られてる。
毎年8月には、たしか大使館が関わっているジャパンフェスティバルがあって、すごく人気でたくさんの人が来る。日本語も、英語や韓国語に次いで人気のある外国語の一つだと思う。
— u/Erhm_e(モンゴル)
もちろん、これは一人の参加者の印象であり、モンゴル人全体を対象にした調査ではありません。
少し古い資料ですが、日本の外務省が2019年11月にモンゴルの18~59歳300人を対象として行った面接調査では、87%が日本とモンゴルの関係を「友好的」、76%が日本を「信頼できる」と回答していました。
また、G20諸国の中で「自分が留学したい国、または身近な人に留学を勧めたい国」を尋ねた質問では、27%が日本を選び、対象となったG20諸国の中で最も高い割合でした。
日本政府が委託した調査であり、2026年現在の意識をそのまま示すものではありませんが、当時の対日評価を知る一つの手がかりになります。
「ジャパンフェスティバルに人が集まる」というコメントにも、具体的な裏付けがあります。2026年8月に首都ウランバートルのスフバートル広場で開かれた「ジャパンフェスティバル・イン・モンゴリア2026」には、日本大使館によると5万7000人を超える来場者がありました。日本文化の紹介や日本製品を扱う企業の出展、日本料理の販売、コスプレや日本の歌のコンテストなどが行われています。
日本語教育にも長い歴史があります。モンゴル国立大学に日本語コースが開かれたのは1975年で、2025年にはモンゴルでの日本語教育50周年を記念する行事が開かれました。1990年の民主化以降、日本語学習者が増えたと日本大使館は説明しています。
少なくとも、日本や日本文化への関心がほとんど存在しないというわけではなさそうです。
それでも「日本人と実際に接する機会は少ない」という声
一方、スレッドを読んでいると、「日本への印象」と「日本との距離」は少し別の話として語られていました。
ある参加者は、モンゴルでは海外へ行った人が現地で触れた文化や料理、店のアイデアを持ち帰ることが多いと説明。そのうえで、日本については「多くの人はSNS以上には接点がなく、実際の日本人と交流したこともあまりない」と感じているそうです。
別の参加者も、少し違った角度から似たことを書いていました。
日本自体が文化的にかなり閉じていて、モンゴルに自国の文化を積極的に広めようとしてこなかったから、一般の人への影響はあまりないと思う。
でも、日本そのものの評価はかなり高いよ。国内インフラへの投資や、とても強い外交関係のおかげだと思う。大使もいい人だし👍
— u/Reasonable-Radish-27
「日本が文化を積極的に広めてこなかった」という部分は、この投稿者個人の見方です。
それでも興味深いのは、スレッドの中で「日本を高く評価していること」と「日本文化が日常生活の奥深くまで入り込んでいること」が、必ずしも同じものとして語られていない点でしょう。
道路や空港にも、日本との接点があった
日本との関係については、アニメや食べ物とはまったく違う話も出てきました。
かなり短いコメントですが、こんな一言があります。
プリウスと、ナルニー・ザムと橋をありがとう!
— u/starlight-odgerel
「ナルニー・ザム」は、日本の支援で整備されたウランバートルの「太陽道路」を指します。
日本はウランバートルの道路整備を政府開発援助(ODA)で支援しており、太陽道路の改修もその一つです。さらに2012年には、市内を走る鉄道をまたぐ太陽橋が日本の無償資金協力で完成しました。
日本の対モンゴルODAは1977年、ゴビ・カシミヤ工場建設への無償資金協力から始まりました。当初は限られた分野の支援でしたが、モンゴルが1990年に社会主義体制から市場経済体制へ移行したことを機に、一般無償資金協力が再開され、円借款も初めて供与されるなど、支援が本格化しました。
スレッドにも、
日本が新しい空港の建設に資金を出して、造ったんだしね……。
— u/InfamousInstance3296
というコメントがあります。
ここでいうのは、2021年に開港したチンギスハーン国際空港です。日本の円借款(低利・長期で資金を貸し付ける政府開発援助)によって建設が支援され、日本企業が工事を担当しました。
現在の運営会社には、三菱商事、成田国際空港、日本空港ビルデング、JALUXの4社が出資する日本側の会社と、モンゴル政府側の会社が出資しています。
通信分野にも日本とのつながりがあります。KDDI、住友商事、モンゴル企業Newcomは1995年に共同で通信事業へ参入し、翌1996年にMobiComが携帯電話サービスを開始しました。2026年現在、MobiComはKDDIの連結子会社となっています。
日本の存在感というと、ついアニメや日本食を考えてしまいますが、道路、橋、空港、通信といった分野にも日本との接点がありました。
実際に日本へ行くと「人との距離」に驚くことも
一方、実際に日本へ来てみると、文化の違いに戸惑ったという人もいました。
2024年に日本を旅行したというモンゴルの参加者は、東京の電車で大勢の人がほとんど話さず移動している様子や、知らない人同士があまり干渉しないことが印象に残ったそうです。
モンゴルでは、他人のリュックが開いていたら教えることが普通だといい、日本で同じことをしたところ、相手の反応に戸惑ったというエピソードも書いていました。本人も「良いとも悪いとも言うつもりはない。ただ、ここ(モンゴル)とはすごく違う」としています。
これに対して、日本在住だという別の参加者も、人付き合いの違いを挙げています。
日本に住んでる。
「知らない人から突然声をかけられたり、何かを申し出られたりすること」――これは日本で自分が好きじゃなくて、モンゴルでは好きなことの一つだね。
日本では、同じ職場や学校、クラブにいるとか、何かしらの枠組みがないと、人とつながるのがものすごく難しい。そういうものがなければ、知らない人同士でつながるのはほとんど無理だと思う。特に東京や関東ではそうだと思う。
モンゴルは逆で、そこが好き。日本では、人間関係が閉じていて細かく区切られすぎているせいで、いろいろなものを逃していると思う。
— u/khfans
「知らない人にはあまり干渉しない」という日本での振る舞いは、モンゴルでの人間関係に慣れた人には、かなり距離のあるものに映ることがあるようです。
1939年のハルハ河戦争(ノモンハン事件)を挙げるコメントも
すべてが好意的な意見だったわけではありません。
元スレッドには、1939年のハルハ河での戦闘を理由に、日本に複雑な感情を持つ人がいるというコメントも複数ありました。
日本では一般に「ノモンハン事件」と呼ばれ、日本軍・満洲国軍とソ連軍・モンゴル人民共和国軍が国境線をめぐって衝突した大規模な国境紛争です。1939年5月に始まり、9月の停戦協定まで戦闘が続きました。
実際、21歳だという参加者からも、当時の日本の行為への評価を理由に「日本を好きになれない」という意見が出ています。
今回のスレッドを見る限り、こうした歴史認識が全員に共有されているわけではありません。ただ、「日本への印象は良い」という一言だけでは拾えない見方があることも分かります。
「好印象」と「身近」は、同じではないのかもしれない
今回のスレッドでは、日本製品の品質、アニメや音楽、日本による支援などを好意的に挙げる声がある一方、「実際の日本人との接点は少ない」という意見もありました。
そして、日本を訪れた経験のある人からは、人との距離感の違いに驚いたという体験談も出ています。
2019年の対日世論調査では日本との関係を友好的と見る回答が多く、2026年のジャパンフェスティバルには5万7000人以上が来場しました。一方で、今回のRedditスレッドでは、日本に好印象を持っているという声がある一方、実際の日本人と接する機会はあまりないという意見も見られました。
日本への評価と、普段どれほど日本を身近に感じているか。その二つは、必ずしも同じではないのかもしれません。
参考情報と翻訳元
- Reddit「How do Mongolians actually view Japan/Japanese culture/Japanese?」 — 今回翻訳・紹介した元スレッド。
- 「令和元年度海外対日世論調査」外務省 — 2019年のモンゴルにおける対日世論調査。
- 「ジャパンフェスティバル・イン・モンゴリア2026の開催」在モンゴル日本国大使館 — 2026年の開催内容と来場者数を確認。
- 「モンゴルにおける日本語教育50周年記念事業の開催」在モンゴル日本国大使館 — 日本語教育が1975年に始まったことを確認。
- 「日本の対モンゴル政府開発援助(ODA)」在モンゴル日本国大使館 — ODAが1977年に始まり、1990年に一般無償資金協力が再開、円借款が初めて供与された経緯を確認。
- 「モンゴルで新しい国際空港が開港:日本とモンゴルの企業が共同運営」JICA — チンギスハーン国際空港の建設・運営への日本の協力を確認。
- 「社会インフラグループ」三菱商事 — チンギスハーン国際空港の現在の運営体制を確認。
- 「モビコムCEO 來留島恒司がモンゴル国北極星勲章を受章」KDDI — 2026年現在、MobiComがKDDIの連結子会社であることを確認。
- 「ノモンハン事件」アジア歴史資料センター — 1939年の国境紛争の時期と概要を確認。


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