「映画の海賊版は、君たちの国ではどのように受け止められているの?」
そんな疑問をロシアのRedditユーザーが海外掲示板「AskTheWorld」に投稿しました。
How film piracy is seen in your country?
by u/Dangerous-Fix7974 in AskTheWorld
投稿者によると、ロシアでは映画の海賊版がかなり普及しており、違法サイトから映画を見たり、ダウンロードしたりする人も多いとのこと。
そこで「ほかの国では映画の海賊版はどのように見られているのか」と質問したところ、さまざまな国のユーザーから反応が寄せられました。
「誰も気にしない」という声がある一方で、「昔はもっと盛んだった」という人もいます。さらに、ストリーミングによって海賊版が減ったものの、そのサービス自体への不満を語るコメントも。
ところが、そのストリーミングサービスも、作品の分散や料金、ラインナップ、使い勝手などをめぐって不満を持たれているようです。
今回は、各国のユーザーが映画の海賊版をどのように受け止めているのかを見ながら、ストリーミングで何が変わったのかを追っていきます。
※以下で紹介するコメントは、あくまでReddit上の個人の意見であり、その国の人々や社会全体の意見を代表するものではありません。
「映画の海賊版を誰も気にしない」
今回のスレッドでは、映画の海賊版をそれほど深刻な問題として考えていないという反応も目立ちました。
スウェーデンの方からは、
「誰も気にしない」
という短いコメントがありました。
別のユーザーからも、
「普通のこと」
という反応が出ています。
オーストラリアについても、
「誰も気にしない」
というコメントが投稿されています。
一方で、すべての国で同じような受け止め方をされているわけではありません。
ドイツについては、海賊版をめぐって警告を受けた経験を語るユーザーが複数おり、取り締まりに対する印象にも違いが見られました。
同じ海賊版でも、どの程度問題視されるのかは、国や個人によって違うようです。
そして今回のスレッドでは、現在の状況だけでなく、「昔はどうだったのか」を振り返るコメントも目立っていました。
「昔はもっと盛んだった」そしてストリーミングが変えた
現在の海賊版についてだけでなく、過去との違いを語るコメントもありました。
あるユーザーは、
「20年前のほうがずっと大きかった」
と振り返っています。
また別のユーザーも、ストリーミングサービスが普及する前は海賊版が主要な手段だったものの、現在はかなり減ったと説明しています。
ポーランドの方からも、以前より海賊版が減り、多くの人がストリーミングへ移行したという声がありました。
アルゼンチンの方は、以前は海賊版が一般的だったものの、ストリーミングサービスのほうが、
「映画をダウンロードして字幕を探すより、ずっと便利で手頃だった」
と説明しています。
海賊版を使う場合、作品を探し、ファイルを入手し、字幕などを用意する必要があります。
一方、ストリーミングならサービスに登録して、作品を選ぶだけで見られる。
この手軽さが、海賊版から正規サービスへ移る理由になったようです。
こうした「正規サービスが便利になったことで海賊版が減った」という体験談を、別の角度から見ることができる研究もあります。
2023年に『Journal of Economic Behavior & Organization』で発表された研究では、Netflixから映画が配信対象から外れたケースを利用して、合法的な視聴手段が減ったときに海賊版への関心がどう変化するかが調査されました。
その結果、Netflixから作品が外れた映画では、残った映画と比べて「無料で見る」といった海賊版視聴につながる検索が20~22%増加しました。特に古い作品では影響が大きかったとされています。
なお、研究で確認されたのは実際の海賊版利用者数ではなく、海賊版で見る方法を探すGoogle検索の増加です。そのため、「海賊版を利用した人が20~22%増えた」という意味ではありません。
ただ、正規の視聴手段がなくなったときに、海賊版を探す動きが強まったことを示す結果ではあります。
「でも、今はストリーミングが多すぎる」
ところが、ストリーミングサービスの普及によって一度減った海賊版が、再び増えているという意見もあります。
カナダの方は、2000年代後半から2010年代初頭に海賊版が減ったものの、その後再び増えていると説明しています。
別のユーザーは、Netflixなどによって海賊版が一度大きく減ったものの、現在はストリーミングサービスの「分断」が進んだことで、再び利用する人が増える可能性があると指摘しています。
さらに、
「5つのストリーミングサービスに払うより、海賊版を使ったほうが簡単」
という趣旨のコメントもありました。
かつては、一つのサービスに加入すれば、ある程度まとまった作品を見ることができました。
ところが現在は、作品によって配信サービスが異なります。見たい作品が複数のサービスに分散すれば、その分だけ契約数も料金も増えていきます。
ウクライナの方からは、海賊版を利用する理由について「お金が最大の問題ではない」という趣旨の意見も出ています。
このユーザーが不満として挙げているのは、作品の分散やサービスの使い勝手です。
そして、
「いいサービスがあれば、月20ドル払う」
とコメントしています。
無料で見たいというより、お金を払ってもいいから、見たい作品を一つの使いやすいサービスで見たいという考え方です。
今回のスレッドでは、料金だけでなく、作品のラインナップや配信地域、サービスの使いやすさについて不満を述べるコメントも見られました。
海賊版を「悪い」と思いながら使う人も
もちろん、今回のスレッドには海賊版を肯定する意見だけが並んでいるわけではありません。
ポーランドの方からは、海賊版を道徳的に悪いことだと考えている人も多いものの、それでも利用する人がいるという説明がありました。
また、別のコメントでは、
「作品を作るために努力した人たちがいて、その対価が支払われない」
という趣旨の反論も出ています。
一方で、
「買っても所有できないのなら、海賊版は盗みではない」
という考え方も投稿されています。
海賊版をめぐる議論は、違法かどうかだけでなく、制作者への対価やデータに対して「盗み」と呼べるのかどうかまで広がっていました。
日本は「海賊版に厳しい国」という印象
今回のスレッドでは、日本について直接言及するコメントもありました。
ベネズエラの方は、
「海賊版を嫌っている国として知っているのは日本くらい」
とコメントしています。
また、日本に住んでいるというイギリス人の方も、日本では海賊版が一般的に嫌われているという印象を語っています。
もちろん、これはRedditユーザーが持っている日本への印象であって、日本社会全体の実態を示すものではありません。
一方、法律面を見ると、日本では海賊版への規制が明確になっています。
文化庁によると、違法にアップロードされた著作物だと知りながらダウンロードする行為は、私的使用目的であっても違法となります。
2021年1月からは、この規制の対象が音楽・映像だけでなく、すべての著作物へ拡大されました。
海賊版を減らすのは、取り締まりだけなのか
日本でも海賊版問題は現在進行形です。

CODAが2026年1月に公表した調査では、2025年の日本発デジタルコンテンツについて、オンライン上の海賊版被害額を5.7兆円と推計しています。このうち映像は2.3兆円でした。
この数字は日本国内だけの被害額ではありません。日本、中国、ベトナム、フランス、アメリカ、ブラジルの消費者への調査をもとに、日本発コンテンツのオンライン海賊版被害額を推計したものです。
海賊版について考えるとき、「無料だから使う」という理由だけではなく、見たい作品をどこで、いくらで、どれだけ簡単に見られるのかという点も無視できません。
今回のスレッドでは、正規サービスが便利になったことで海賊版が減ったという意見がある一方、そのサービスに不満を感じ、再び海賊版に目を向ける人も語られていました。
海賊版と正規サービスの関係は、単純な「無料か有料か」だけでは語れないようです。
参考情報と翻訳元
- Reddit「How film piracy is seen in your country?」 — 本記事で紹介している海外の反応・議論の翻訳元。
- ScienceDirect「Pirate and chill: The effect of Netflix on illegal streaming」 — Netflixから作品が配信対象から外れた際の、海賊版視聴につながる検索行動を分析した2023年の研究
- 文化庁「令和2年通常国会 著作権法改正について」 — 2021年1月から施行された著作権法改正と違法ダウンロード規制について
- 文化庁「侵害コンテンツのダウンロード違法化について」 — 違法にアップロードされた著作物のダウンロード規制について
- CODA「2025年・オンラインで流通する日本発コンテンツの海賊版被害額を調査」 — 2025年の日本発デジタルコンテンツにおけるオンライン海賊版被害額の推計について


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