海外「誰も法律より上にいるべきじゃない」各国で問題視されている法律や制度とは?

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What do you find legally problematic in your country or any other country?
by u/Puzzleheaded_irl in AskTheWorld

(最終更新:2026年9月15日)

「君たちの国や、ほかの国の法律で問題だと思うものは何?」

そんな質問が、世界各国のユーザーに質問するRedditコミュニティ「r/AskTheWorld」に投稿され、さまざまな国から意見が寄せられていました。

内容を見てみると、単に「変わった法律」を紹介するスレッドではないようです。

刑務所や政治家の立候補資格、国会議員の免責、憲法上の権利、都市計画など、自分たちが暮らしている社会の制度そのものに対する疑問がいくつも出ています。

もちろん、Redditユーザーの説明がそのまま法律上の事実とは限りません。

そこで今回は、特に印象的だった意見を取り上げながら、実際の制度ではどうなっているのかも一緒に見ていきます。

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アメリカ「お金のある犯罪者は刑務所にいる時間が短い」

アメリカから寄せられたコメントでは、刑務所についての意見が出ていました。

投稿者は刑務所でボランティアをしているそうで、そこで出会う人の多くが貧しいとしたうえで、経済的に余裕のある犯罪者のほうが刑務所にいる期間が短くなるように感じると話しています。

これはあくまで、このユーザー自身の経験にもとづく評価です。

一方、そのコメントでは、アメリカの刑務所労働についても触れられていました。

ここで話題になっているのが、アメリカ合衆国憲法修正第13条です。

修正第13条は奴隷制と本人の意思に反する労働を禁止していますが、

「正式に有罪判決を受けた犯罪への刑罰」

については例外が置かれています。

つまり、「アメリカでは現在も奴隷制が一般的に合法」という意味ではありません。

犯罪について有罪判決を受けた人への刑罰として行われる労働については、修正第13条の禁止規定そのものに例外が設けられているということです。

今回のコメントでは、こうした制度と刑務所での経験を重ねながら、経済的な余裕によって刑事司法制度から受ける影響に違いが生まれているのではないか、という問題意識が語られていました。

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「犯罪を犯しても政治家になれるのはおかしい」

政治家についても、気になる制度が挙げられていました。

イギリスやアメリカを例に、犯罪で有罪になった人が政治家になれることを問題視する意見です。

ところが、これには反論もありました。

犯罪歴を理由に一律で立候補できなくすると、権力を握っている側が対立候補を刑事事件で訴追し、政治から排除するために制度を悪用する可能性もあるのではないか、というものです。

では、実際の制度はどうなっているのでしょうか。

アメリカ合衆国憲法では、大統領について、生まれながらのアメリカ市民であること、35歳以上であること、14年以上アメリカに居住していることなどが基本的な資格として定められています。

連邦議会議員についても、年齢、市民権を持っていた期間、選出される州への居住などが基本的な要件です。

一般的な犯罪歴そのものは、これらの資格要件に一律の失格条件として含まれていません。

ただし、憲法修正第14条3節には、過去に憲法を支持する宣誓をした一定の公職者が反乱などに関与した場合についての規定もあります。

つまり、「犯罪歴があっても何の資格制限も存在しない」という意味ではありません。

イギリスでも、犯罪歴があれば必ず下院議員に立候補できなくなるわけではありません。

英国選挙管理委員会によると、1年以上の拘禁刑を言い渡され、実際に拘禁されている場合などには立候補資格を失います。

さらに、選挙に関する一定の違法行為や威迫犯罪などによる失格規定もあります。

一口に「犯罪者を政治から排除すべきか」と言っても、

「どんな犯罪なのか」

「刑を終えたあとも排除するのか」

「政治的な訴追に悪用されないか」

と考えていくと、かなり難しい問題になってきます。

ポーランド「国会議員には法的免責がある」

ポーランドからは、国会議員の免責制度に疑問を持つコメントが出ていました。

この制度は実際にポーランド憲法に定められています。

ただし、「国会議員なら何をしても罪に問われない」という意味ではありません。

ポーランド憲法第105条では、まず下院議員が議員としての職務の範囲内で行った活動について、一定の免責が定められています。

さらに、選挙結果の公表から任期終了までのあいだ、下院議員を刑事責任に問うには原則として下院の同意が必要です。

一方で、議員本人が刑事責任を問われることに同意することもできます。

逮捕や拘束についても原則として下院の同意が必要ですが、犯罪の現行犯で、手続きを確保するため拘束が必要な場合には例外があります。

また、憲法第108条によって、こうした規定は上院議員にも対応して適用されます。

そのため、「議員に免責がある」というRedditの指摘自体は間違いではありません。

ただ、その免責は無条件ではなく、議員活動に関する責任や刑事手続き、逮捕・拘束についてそれぞれ条件が設けられています。

こうした制度には、政治家が議員活動を理由に不当に訴追されることを防ぐという考え方があります。

一方で、今回のスレッドでは「誰であっても法律より上にいるべきではない」と考える人もいました。

政治家の独立した活動を守る制度なのか、それとも特別扱いにつながる制度なのか。

同じ免責制度でも、どこまで保護するべきかによって評価は変わりそうです。

カナダ「憲法で保障された権利を制限できる?」

カナダからは、少し特殊な制度が挙げられていました。

「ノットウィズスタンディング条項(Notwithstanding Clause)」と呼ばれる、カナダの「権利と自由の憲章」第33条です。

カナダ憲章では、さまざまな権利や自由が保障されています。

一方、第33条を使うと、連邦議会や州議会は、一部の憲章上の権利にかかわらず法律を適用すると明示することができます。

対象となるのは、第2条と第7~15条に定められた基本的自由、法的権利、平等権などです。

すべての憲法上の権利に使えるわけではありません。

たとえば選挙権などの民主的権利や移動の権利、言語に関する権利などは対象外です。

また、第33条にもとづく宣言は最長5年間で効力を失います。

必要であれば、議会が再び宣言することはできます。

今回のRedditでは、立法府が憲章上の権利に例外を設けられること自体に疑問を持つ意見が出ていました。

ただ、実際の制度は「政府が必要だと思えば、好きな権利を自由に無効にできる」というものではありません。

対象となる条文と期間が決められたうえで、議会が法律の中で明示的に宣言する仕組みです。

憲法上の権利を裁判所が守ることと、選挙で選ばれた議会の判断をどこまで認めるのか。

ノットウィズスタンディング条項は、その関係をめぐって議論が続いている制度の一つです。

アイルランド「必要なインフラまで手続きに巻き込まれる」

アイルランドからは、都市計画やインフラ整備についての不満も出ていました。

投稿者によれば、建物やインフラを作ろうとすると異議申し立てや法的手続きが入り、必要なものを整備するまでに長い時間がかかる場合があるそうです。

行政機関同士の判断がぶつかることもある、というのはこのユーザー自身の見方です。

一方、アイルランドには実際に、計画許可の決定へ不服を申し立てる仕組みがあります。

地方の計画当局へ開発を申請した本人だけでなく、一定の条件を満たして事前に意見を提出していた第三者も、国の計画審査機関へ不服申し立てを行うことができます。

現在この機関は「An Coimisiún Pleanála」と呼ばれています。2025年6月までは「An Bord Pleanála」という名称でした。

さらに、この機関による決定の有効性について法律上の問題がある場合には、裁判所による司法審査の対象になることもあります。

つまり、Redditユーザーが話していた「異議申し立てや法的手続き」には、実際の制度上の仕組みがあります。

もちろん、こうした手続きが存在するのには理由があります。

周辺住民や第三者が計画について意見を述べたり、行政の決定が法律に沿っているか確認したりする機会を確保できるからです。

一方で、手続きが重なれば、住宅や交通などの整備に時間がかかる場合もあります。

「周辺住民や当事者の権利を守ること」と「必要なインフラを早く整備すること」。

そのバランスをどこに置くのかという問題が、このコメントの背景にはあるようです。

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同じ制度でも「問題」に見える理由は違う

このスレッドでは、ほかにもさまざまな制度への疑問が出ていました。

フランスからは政治や環境政策。

アメリカからは医療や政治制度。

カナダからは憲法上の権利。

アイルランドからは都市計画やインフラ整備。

さらに、政治家の免責、ロビー活動と汚職の境界、医療保険、移民や難民、インターネット上の規制など、話題はかなり広がっています。

もちろん、Redditのコメントだけを読んで、その国の法律が本当にそのとおりだと判断することはできません。

今回見てきたものだけでも、

「議員に免責がある」

「憲法上の権利に例外を設けられる」

「犯罪歴があっても政治家になれる」

といった一文だけでは、制度の全体像は分かりませんでした。

実際には、どの制度にも対象や例外、手続きがあります。

そして興味深いのは、その仕組みが作られた理由と、現在それを問題だと感じる人の理由が、必ずしも同じではないことです。

政治家を不当な訴追から守るための免責が、「政治家だけ特別扱いされている」と見える。

住民が行政決定へ異議を申し立てられる制度が、「必要なインフラを作れない」と見える。

議会に一定の裁量を残した憲法制度が、「権利を無効にできる仕組み」に見える。

今回のRedditで出ていたのは、「変な法律」というより、そうした制度のバランスそのものへの疑問だったのかもしれません。

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