空き家問題は日本だけ? 世界で「家が余るのに住む家がない」理由と各国の対策を調査

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(最終更新日:2026年10月20日)

日本では2023年の調査で空き家が900万戸を超え、過去最多となりました。実は海外でも、誰も住んでいない住宅の扱いをめぐって、さまざまな議論が起きています。

スペインでは空き家が約384万戸ある一方、地方に移住したくても住める家が見つからないという声があり、カナダやフランスでは空き家への課税が進められています。なぜ家が余っているのに住宅不足が起きるのでしょうか。各国の統計や対策、現地の人々の声から、その事情を調べてみました。

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空き家は日本だけの問題ではない

日本の総務省統計局が実施した「2023年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家は約900万2,000戸。2018年の約848万9,000戸から増加し、住宅全体に占める割合は13.8%となりました。

ただし、この900万戸には入居者を募集している賃貸住宅や売却中の住宅、別荘なども含まれています。それらを除いた空き家は約385万6,000戸で、住宅全体の5.9%です。

海外にも大規模な空き家問題があります。

スペイン国立統計局が公表した2021年の住宅国勢調査では、国内の空き家は約383万7,000戸で、全住宅の14.4%を占めていました。

ニュージーランドでも2023年の国勢調査で、調査時点に住民が一時的に不在だった住宅とは別に、約11万2,000戸が空き家として記録されています。

もっとも、空き家の数え方は国によって異なります。スペインでは行政記録や電力消費量などを利用して住宅の利用状況を把握しており、ニュージーランドでは調査時点に空いていた別荘や改修中の住宅なども、空き家に分類しています。

そのため、これらの数字を並べて「日本のほうが深刻」「スペインのほうが空き家が多い」と単純には判断できません。また、日本で確認されたような空き家数の増加が、すべての国で同時に進んでいるわけでもありません。

では、それぞれの国ではどのような住宅が空き家になっているのでしょうか。

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スペイン:空き家が多いのに、移住者が住める家がない

スペインでは、人口流出が進んだ地方を「España vaciada(空洞化したスペイン)」と呼ぶことがあります。仕事や生活サービスが都市部に集中し、地方の住宅や集落が使われなくなっている状況を指す言葉です。

Tasa de vacantes en España
by u/Possible-Balance-932 in Spanish_Real_Estate

2026年3月、スペインの不動産事情を議論するRedditコミュニティ「r/Spanish_Real_Estate」では、住宅の空き家率を示した地図が話題になりました。

そこで議論になったのが、統計上の空き家と、実際に人が住める住宅との違いです。

第二の住まい、つまり田舎にある家だからかもしれないし、もう住めない状態なのに、まだ住宅として数えられているだけなのかもしれない。

こういうことは中小都市でもよくある。仕事がある場所へ引っ越さざるを得なくなって、以前の家を売ろうとしても買い手がいないことが多い。需要がないから売れなかったり、貸し出すのを怖がったりする人もいる。

— u/Goncat22

さらに別の参加者は、もっと厄介な状況を指摘しています。

何十年も前に放置された住宅が、すでに廃屋になっていたり、相続によって所有者が大勢に分かれ、誰も処分に同意できなくなっていたりするというのです。

この参加者は、地方に移り住んで仕事を始めた人が、住める住宅を見つけられずに仕事を辞めてしまう例も見てきたと語っていました。

空き家の数が多くても、屋根や壁を修理しなければ住めない家や、所有者同士が合意できず売買できない家では、住宅不足の解消には直接つながりません。

一方、地方の集落を衰退した場所と決めつけることにも、異論がありました。

私の村も、そういう「衰退した村」の一つだけど、このままでいい。都会から来た人に、犬や猫をどう飼うべきだとか、家畜の臭いや鳴き声がうるさいとか、説教されたくないからね。

— u/Corsario_54

この方は続く返信で、大都市のようなサービスがないことは認めつつ、自分たちにとっては魅力のある場所なのだと説明しています。

地方に住む人が減っているからといって、そこにある暮らしがすべて失敗だったというわけではありません。ただ、住みたい人を呼び込もうとしても、仕事・住宅の状態・所有関係という問題が残ります。

イタリア:1ユーロの家は、本当にお買い得なのか

人口減少に悩む地方の住宅を再利用する方法として、海外でも話題になったのがイタリアの「1ユーロ住宅」です。

地方自治体などが、放置された住宅を象徴的な価格で売却し、購入者による改修を通じて地域の再生につなげようとする取り組みです。

ただし、1ユーロで購入できることと、1ユーロで住める家を手に入れられることは違います。

米国のアウトドア・旅行メディア『Outside』が紹介した事例では、ブラジル出身で米国に暮らすルビア・ダニエルズさんが2019年、イタリア南部シチリア島のムッソメーリで3軒の住宅をそれぞれ1ユーロで購入しました。

ところが、購入に伴う手数料などに約4,000ユーロ、改修工事に約3万8,000ユーロが必要になりました。取材時点では最初の住宅がおおむね完成に近づいた段階で、完成までにはさらに約1万2,000ユーロかかる見込みだと本人が語っています。残る2軒は別の施設として活用する計画でした。

What It’s Really Like to Buy a 1 Euro Home in Italy
by u/Jojuj in europe

2024年12月、この事例がRedditの欧州コミュニティ「r/europe」で紹介されると、費用についてこんなやり取りがありました。

3軒で4万2,001ユーロなら、衰退した町だとしても、そこまで悪い買い物には思えないな。この取り組みがうまくいけば、海外から退職者や旅行者が来て、町も再び発展するかもしれない。不動産市場も活気を取り戻すだろうし。

— u/lupif93

これに対する返信です。

3軒で4万2,003ユーロだよ。そこは甘く見積もっちゃいけないね☝🏼

— u/New-Me5632

さらに、その返信にはこんな指摘が続きました。

それも「ほぼ完成した1軒」と、「これから改修する予定の2軒」で、だけどね……。

— u/unexpectedemptiness

購入価格の安さよりも、その後に必要な工事や費用を気にする人が少なくありません。

1ユーロ住宅の条件は自治体によって異なりますが、一定期間内の改修が求められる場合もあります。老朽化した住宅では、工事費だけでなく、専門業者の確保や行政手続きも課題になります。

そして、家を修理できたとしても、その町で生活していけるかどうかは別の問題です。

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夏はにぎわうのに、冬は誰もいない村

2025年3月、イタリアのコミュニティ「r/italy」では、人口の高齢化が進む小さな村が、30〜40年後にどうなるのかという疑問が投稿されました。

ma i paesini che fine faranno?
by u/edo5545elp in italy

その中で、南部カラブリア州の山間部に義理の両親の家があるという人が、村の暮らしを詳しく紹介しています。

コメントに登場するアペカーは、イタリアで使われる小型の三輪車です。

義理の両親がカラブリアの山あいに家を持っている。

冬は人っ子一人いない。海岸沿いへ引っ越さず、山間の集落で暮らし続けているお年寄りが何人かいるだけ。

バーと交流施設と小さな食料品店があるけど、それだけ。タバコ屋の店主は数年前に亡くなって、誰も店を引き継がなかった。

学校は夏の観光シーズン向けのホテルに改装された。

車が通れる道は村に2本しかなく、あとはアペカーでさえ通るのがやっとの細い路地ばかり。

でも春から夏になると人が増える。北部へ移住した人たちや、その子どもたちが戻ってきて、村が再びにぎわうんだ。

すでに退職した人の中には、5月にやってきて10月まで滞在する人もいる。

決して悪い場所じゃない。足りないものが一つだけある。仕事だ。

もちろん、整備士や畜産農家、農家、商店、職人はいる。でも、地域を支えるような本格的な生産活動が足りない。

仕事がなくなれば、ミラノだって少しずつ人がいなくなるだろう。

— u/itamau87

住んでいない住宅が必ずしも一年中放置されているわけではなく、夏だけ帰ってくる人たちの拠点になっている場合もあります。

こうした村では、住宅の購入価格を下げるだけで定住者が増えるとは限りません。仕事や交通、医療なども含めて、そこで暮らし続けられる環境を整える必要があります。

カナダ:住宅不足の都市では、空き家に税金をかける

人口減少による地方の空き家とは異なり、住宅価格が高く、多くの人が住む場所を探している都市でも空き家が問題になっています。

カナダ西部の都市バンクーバーでは、2017年に空き家税が導入されました。

一定の条件で使われていない住宅に課税し、所有者に賃貸や売却などを促す制度です。

2026年10月時点で、市の空き家税率は対象住宅の固定資産評価額の3%。例えば評価額が100万カナダドルの住宅なら、年間3万カナダドルの税額になります。

一時は税率を5%に引き上げる案もありましたが、2023年に方針が変更されました。

Whatever happened to the supposed increase in the Empty Homes Tax?
by u/GuqJ in vancouver

2025年1月、Redditのバンクーバーコミュニティ「r/vancouver」では、税率が5%になるはずではなかったのかという疑問が投稿されています。

その議論では、そもそも空き家税が住宅不足の対策として有効なのかをめぐって意見が分かれました。

それは関係ないよ。住宅の空室率は記録的な低水準なんだから。空き家は住宅危機や価格高騰の原因ではまったくない。ある程度空いている住宅があるのは、経済的には健全なことだ。住宅危機の原因は、新しい住宅を建てることへの規制や、開発許可の遅れだよ。

— u/firstmanonearth

すると、別の参加者が反論しました。

売りに出されてもいない空き家があるのは、健全とは言えないよ。

— u/EdgyReggie89

空き家を減らすことと、新しい住宅を増やすこと。どちらを重視するかが議論の中心になっています。

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空き家税で実際に空き家は減ったのか

バンクーバー市が2025年に公表した年次報告書によると、課税制度の対象となる住宅について、空き家と申告・判定された割合は2017年の1.18%から、2024年には0.49%に低下しました。

2024年の該当住宅は979件でした。ただし、その中には必要な申告が行われなかったために空き家とみなされた住宅も含まれています。

市は空き家税が住宅利用を促していると評価していますが、住宅市場には新築供給や経済状況など、ほかの要因も影響します。この減少をすべて税の効果だと断定することはできません。

なお、市の0.49%という数字は課税制度に基づく対象住宅の割合であり、日本の住宅・土地統計調査の空き家率13.8%と同じ基準ではありません。

フランス・パリ:2027年から空き家税を引き上げへ

フランスの首都パリでも、住宅を使わずに保有することへの課税が強化されています。

パリ市が2026年7月に発表した方針では、2027年から一定の空き家に対する税率を引き上げます。

対象は、住宅需要が高い地域で、一定期間使われていない住宅などです。税率は1年目が30%、2年目以降が60%になります。

ここでいう30%や60%は、住宅の売買価格にかける税率ではありません。行政が税金の計算用に定めた、住宅を貸し出した場合の年間賃料に相当する評価額を基準としています。

市は、この取り組みによって約2万戸を賃貸・売買市場へ戻すことを目標に掲げています。

“Un signal à tous les propriétaires de logements vides: louez-les ou vendez-les !”: la Ville de Paris va doubler la taxe sur les logements vacants en 2027
by u/BananaTomboy in paris

2026年4月、パリのRedditコミュニティ「r/paris」で空き家への課税強化が話題になると、かつてパリのアパートに住んでいたという人が、周囲の住宅の状況を紹介しました。

オスマン様式とは、19世紀のパリの都市改造で広まった、装飾的な外観を持つ集合住宅などの建築様式です。

何年も前にやるべきだった。

私はパリのセーヌ川右岸にある、美しいオスマン様式のアパートを借りていた。同じ5階建ての建物の中で、3つの住戸が誰も住んでいないか、年に数週間しか使われていなかった。

2軒は相続された住宅で、もう1軒はニースから年に3週間だけ戻ってくる高齢の女性の家だった。

向かいの建物では、400平方メートルの住宅が5年間も空いていた。複数の高齢の所有者が、もう来なくなっていたからだ。

住宅需要が逼迫している地域で、こんな状況を放置し続けるわけにはいかない。

不満がある人は税金を払うか、貸し出すか、売ればいい。強制労働収容所に送られるわけでもないんだから。売却益を考えればなおさらだよ。

— u/WaveOfMut1lation

ただし、このコメントに登場する住宅が、すべて新しい空き家税の対象になるとは限りません。

フランスでは、家具付きの別荘や年に数週間使う住宅と、長期間使われていない住宅は、税制上区別されています。

また、相続手続きや大規模な改修、適正な条件で募集しても入居者が見つからない場合などには、課税の例外も設けられています。

パリの取り組みは2027年からの制度であるため、住宅が何戸市場に戻ったかという実績は、今後確認する必要があります。

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オーストラリア:空き家を通報できる制度と、その難しさ

オーストラリア南東部のビクトリア州でも、一定期間使われていない住宅に追加の税金をかけています。

州の制度では、原則として前年のうち6か月を超えて使用されていない住宅が対象となります。2025年からは適用地域が州全域に拡大されました。

2026年時点の税率は、課税対象となる年が連続するにつれて1%、2%、3%と上がる仕組みです。税額は、土地と建物を合わせた不動産の課税評価額を基準に計算されます。

また、所有者による申告だけでなく、第三者から課税対象と思われる住宅について情報提供する窓口も設けられています。

Empty houses are taxed— tip them off!
by u/No_Income9358 in melbourne

2024年6月、メルボルンのRedditコミュニティ「r/melbourne」では、近所に空き家があれば当局へ知らせようという投稿が注目を集めました。

コメント欄では、水道や電気の使用量から空き家を発見できないかという意見が出る一方、実際に生活しているかどうかを使用量だけで判断する難しさも議論されています。

さらに、空き家税を考えるうえで気になる体験談もありました。

亡くなった祖母の家を片付けて、売却するための管理をしているところなんだ。祖母は12月に亡くなった。

おそらく9月になるまで売りに出せそうにないんだけど、この場合、遺産にはどれくらい税金がかかるんだろう?

— u/Choc83x

ビクトリア州には、亡くなった所有者が直前まで主な住居として使用していた住宅について、一定の条件で最長3年間の免税措置があります。

相続した住宅を整理したり、修理して売却したりするには時間がかかります。そのため、空き家に課税する制度では、意図的に使わない住宅と、事情があってすぐに使えない住宅をどう区別するかが重要になります。

アイルランド:空き家の修繕に最大7万ユーロを補助

住宅不足が問題になっているアイルランドでは、空き家を再び使える状態にするための補助制度も設けられています。

政府の「Vacant Property Refurbishment Grant(空き家改修補助金)」では、条件を満たす空き家の改修に最大5万ユーロ、荒廃した住宅の改修には最大7万ユーロを支援します。

対象になるには、原則として一定年以上使われていないことや建築時期、改修後の利用方法などの条件があります。

ただし、補助金があるからといって、誰でも簡単に改修できるとは限りません。

More than 100,000 properties in total listed as vacant and derelict
by u/Storyboys in ireland

2024年8月、アイルランドのコミュニティ「r/ireland」で空き家と荒廃した建物が話題になった際には、補助制度を利用できなかったという人が次のように語っています。

こういう取り組みは、結局お金持ちだけが得をするように作られている気がして、すごく腹立たしい。

私は改修工事をしている間、別の場所を借りて住むだけのお金がなかったから、補助金を利用できなかった。

物件に住み始めた途端に対象外になったんだ。築80年で、10年間も空き家だったのに。

— u/Hettie-Archie

これは2024年当時の本人の申告であり、現在の補助要件がすべて同じという意味ではありません。

改修する住宅を購入できても、工事が終わるまでの住居費や修繕資金を用意できなければ、制度を利用するハードルは高くなります。

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荒廃した建物への課税も見直し

アイルランドでは、単に人が住んでいない住宅だけでなく、危険な状態になった建物や土地への対応も議論されています。

従来、荒廃した土地・建物には自治体が登録・課税する制度がありましたが、実際の登録や徴収が十分に行われていないという批判がありました。

政府は2026年、荒廃した不動産に対する新しい「Derelict Property Tax(荒廃不動産税)」の導入方針を示しました。従来の課徴金制度を置き換え、自治体が対象物件を登録し、税務当局が徴収する仕組みです。

新税制は全国一律ではなく、初年度は人口4,000人以上の107の市・町を対象とし、翌年には人口2,000人以上の地域へ拡大する計画です。

2026年10月13日の議会答弁によると、2027年に対象物件の調査・登録を進め、最初の納付申告期限は2028年6月23日とされています。2026年10月時点では、まだ新税制による徴収実績はありません。

Govt to introduce new Derelict Property Tax
by u/qwerty_1965 in ireland

この税制の導入をめぐって、Redditでは自治体の従来の対応に厳しい意見が寄せられました。

アイルランドの公共放送RTÉの記事は、何年も前から明らかだったことを証明しているだけだよ。各地方自治体は、荒廃した不動産に関する法律をまったく適切に執行できていない。

全国で建物が崩れかけているのに、自治体はまともな登録簿さえ維持できていない。まして課徴金を請求することなんてできていない。

ここまで来たら、徴収を税務当局に任せることだけが、実際に何かを動かす方法だと思う。そうなれば、不動産所有者もようやく逃げ場がなくなるかもしれない。

— u/PoppedCork

新制度で徴収を税務当局に移しても、荒廃した物件を特定して登録する作業は引き続き自治体が担います。登録と徴収の仕組みを変えることが、実際にどれほど建物の再利用や整備につながるのか、今後の運用が問われることになります。

イギリス:自治体が空き家の管理を引き受ける制度

イングランドでは、長期間放置された住宅について、自治体が管理を引き受け、再び居住用として利用できるようにする「Empty Dwelling Management Order(空き家管理命令)」という制度があります。

これは、所有者から住宅そのものを没収する制度ではありません。

行政が所定の手続きを経て住宅の管理を引き受け、必要な修繕や賃貸などを行う仕組みで、所有権は原則として元の所有者に残ります。

2026年9月27日、イギリス政府はこの制度の対象となる空き家期間を、従来の2年以上から6か月以上へ短縮すると発表しました。

10月14日には改正命令が成立し、11月5日に施行される予定です。対象はイギリス全土ではなく、イングランドです。

Councils to be given powers to take control of empty homes after six months
by u/kiyomoris in unitedkingdom

9月の改革発表を受けて、Redditの「r/unitedkingdom」では、制度の強化によって事情のある所有者が困るのではないかという懸念も寄せられました。

この法律を施行する前に、どういう事情で家が空いているのか、考えられるあらゆる場合をきちんと検討してほしい。

政府の政策のことだから、何かを見落とすだろうね。

5年後には、7か月の入院から帰ってきた人が、自分の家の鍵を替えられていて、自治体の入居者が住んでいるなんてことになっている方に10ポンド賭けてもいい。

一方で、海外の裕福な所有者たちは、5か月ごとに誰かを1週間住まわせれば住宅を取り上げられない、といった法律の抜け道を見つけるだろう。

— u/69RandomFacts

このコメントは、制度の運用についての懸念を述べたもので、実際に入院患者の住宅が取り上げられたという報告ではありません。

制度上、自治体が自由に他人の住宅へ入れるわけではなく、審判機関による承認などが必要です。また、所有者の事情に応じた例外もあります。

同じスレッドでは、仕組みを説明する返信も寄せられました。

自治体が管理を引き受けた場合、報道で言われているような意味で住宅を差し押さえるわけじゃないよ。

家賃収入はまず住宅を居住可能な状態に戻すための費用に充てられ、その後は管理費に使われる。残った分は所有者に渡されるんだ。

— u/Nervous-History8631

課税によって所有者の行動を促す方法とは違い、行政自身が住宅を再利用する道筋を用意する制度です。ただし、修繕費用や利用できる物件の条件によって、実際に再生できる住宅は変わってきます。

アメリカ・デトロイト:空き家を取り壊した後にも課題が残る

空き家を活用するのではなく、取り壊すことに力を入れてきた都市もあります。

アメリカ中西部のデトロイトです。

自動車産業の中心地として発展したデトロイトでは、長年の人口減少や産業の変化によって、放置された住宅が大きな問題となりました。

市が2025年12月に公表した報告によると、土地銀行と呼ばれる公的な不動産管理組織が保有していた放置住宅は、2014年には約4万7,000戸ありましたが、2025年末には942戸まで減少しました。

ただし、これはデトロイト市内の空き家がすべて942戸になったという意味ではありません。

土地銀行が保有していた放置住宅について、約2万7,000戸が取り壊され、約1万9,000戸が改修などに向けて売却された結果です。

建物の撤去が進んだことで、危険な廃屋を減らすことにはつながりました。しかし、撤去後の土地を何に使うかという新しい課題も生まれています。

Detroit’s blight removal program reduces abandoned homes from 47,000 to under 1,000
by u/eddytony96 in Detroit

2026年1月、デトロイトのRedditコミュニティ「r/Detroit」では、この取り組みについて住民同士の議論がありました。

次のコメントに登場するインディアンビレッジは、デトロイトにある歴史的な住宅地区の名称です。

市が放置住宅を減らしたことは評価しているよ。多くの住宅は住める状態ではなかったし、購入して再生するにも採算が合わなかったからね。でも、それによって新しい問題も生まれた。市はその問題について、ほとんど語っていないように思う。

市内で新しい住宅を建てるには費用がかかる。もっと密度の高い集合住宅を建てる絶好の機会なのに、採算が取れそうにないんだ。だから、一時期は既存住宅の改修市場が活発だった。

じゃあ、空いた土地をどうするのか?

今の解決策は、隣接する土地を住民に提供する制度だ。でも、それで増えるのは車の駐車スペースか、ピクニックや家庭菜園に使う場所くらいだよ。

インディアンビレッジの近くで行われていた、都市農業の取り組みはどうなったんだろう?

— u/J2quared

このコメントが指摘しているように、建物を撤去しても、すぐに新しい住宅や商店が建つとは限りません。

一方、空き地が増えたことを歓迎する住民もいます。

隣にもう一つ土地があるのは最高だよ。自分の家を売るときにも魅力が増すからね。

広い場所があるのは気に入っている。自分できれいに片付けて、でこぼこを埋めて、毎年芝の種をまいた。

今ではすごくきれいな、家の庭が広がったような場所になったよ。見た目もとてもいい。

— u/uprightsalmon

廃屋を取り壊した土地は、必ずしも再び住宅地として埋め尽くされるわけではありません。

庭や緑地として近隣住民が使う例もありますが、住宅や商業施設を新築しようとすれば、建設費、税負担、需要などの問題があります。

デトロイトは、空き家を撤去した後の地域をどう作り直すかという課題に取り組んでいる都市でもあります。

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日本の空き家対策は、海外と何が違う?

日本でも、空き家への対応は変わりつつあります。

2023年12月に施行された改正空家等対策特別措置法では、すでに危険な状態となった「特定空家等」だけでなく、そのまま放置すると特定空家等になるおそれがある「管理不全空家等」に対しても、自治体が指導や勧告を行えるようになりました。

勧告を受けた土地は、住宅用地に対する固定資産税などの軽減措置の対象から外れる場合があります。

また、自治体によっては、空き家バンクによる売買・賃貸の仲介、改修費の補助、解体費用への支援なども行っています。

こうして各国を見比べると、取り組みの方向が異なる理由が分かります。

人口が減る地方では、改修しても住む人が見つからない場合があります。一方、住宅需要の高い都市では、使われていない住宅を賃貸市場へ戻すことが課題になります。老朽化が進んだ建物では、活用するより撤去した方がよい場合もあるでしょう。

空き家を減らすには、まずその住宅がどこにあり、誰が所有し、どの程度の修繕が必要で、実際に住みたい人がいるのかを把握する必要があります。

日本の空き家900万戸という数字を見ても、そのすべてが同じ理由で空いているわけではありません。

空き家を安く売れば解決するのか、税金をかければ貸し出されるのか、それとも取り壊すべきなのか。海外で試されている方法を見ると、住宅の状態や地域の事情によって、必要な対策が変わってくることが分かります。

イタリアの村で夏だけ人が戻ってくる家と、パリで長年使われていないアパート。同じように人のいない住宅でも、その地域で求められているものはずいぶん違いますね。

参考情報と翻訳元

公的統計・制度・報道

Redditの翻訳元

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