日本はクマ、世界では何が問題に?ゾウから野鳥まで、各国の野生動物被害と対策を調べてみた

0コメント
世界の話題
このページは広告が含まれています。

(最終更新日:2026年10月17日)

「ココナッツの木が200本ある。売りたくない」

2025年9月、スリランカの住民が、野生のゾウに土地を荒らされて困っていると海外掲示板Redditに投稿しました。

日本ではクマの出没や人身被害が問題になっていますが、海外でもさまざまな野生動物が住宅街や農地に現れ、住民の暮らしに影響を与えています。

各国のRedditに寄せられた体験談を手がかりに、現地で起きている被害と、その対応をめぐる事情を調べてみました。

広告下に海外の反応が続いています
広告下に海外の反応が続いています

スリランカ:ゾウに農地を荒らされても、簡単には追い払えない

スリランカ東部、バティカロア近郊のクルッカマダムという地域。

2025年9月、ある住民が、野生のゾウによって土地に大きな被害が出ていると、スリランカのRedditコミュニティ「r/srilanka」に助けを求めました。

In my area, recently, elephants have damaged a lot of our property. We informed every department, but now we are hopeless. What we do now
by u/lk2load in srilanka

関係する行政機関にはすべて連絡したものの、解決の見通しが立たないといいます。

ココナッツの木が200本あるし、バナナの木もある。売りたくないんだ。

— u/lk2load(スリランカ東部)

野生動物保護局に連絡したら何て言われたの?

— u/onca32(スリランカ南部)

夜はそこにいられないと言われて、父にゾウを追い払うための爆竹を2つ渡してくれた。

— u/lk2load(スリランカ東部)

スリランカの野生ゾウによる被害は、農作物の損失だけではありません。

2026年10月14日のロイター通信の報道によると、2019年以降、スリランカではゾウとの衝突によって年間平均138人が死亡し、ゾウも年間平均402頭が命を落としています。人間側だけでなく、銃撃、毒、感電などでゾウも犠牲になっているのです。

同報道によれば、国内の野生ゾウ7,451頭の約7割は保護区の外で生活しています。保護区だけを管理しても、農地や集落での衝突を防ぎきれない事情があります。

現地では電気柵が重要な対策ですが、その設置方法も問題になっています。

適切な装置で電流を制御し、ゾウを殺さずに遠ざける柵と、家庭用電源などから違法に電気を引いた危険な柵は別物です。後者はゾウだけでなく、人間の感電死にもつながります。

スリランカの公益事業委員会は2026年、こうした違法な電気柵による感電事故を減らすための意見公募を行いました。

一方、ゾウの保護研究者プリティヴィラジ・フェルナンド氏らは、農家が共同で管理し、作物を育てる期間に設置する季節限定の電気柵を研究しています。農地を囲って作物を守り、収穫後は柵を撤去することで、ゾウの移動を必要以上に妨げない方法です。

Redditでは、電気柵以外の案も出ていました。

ハチだよ! ゾウはハチに近づかない。動物にも優しいし、とても効果的なんだ。それに、ハチミツもたくさん採れるかもしれない。

— u/LordLemuel

実際、アフリカなどでは巣箱をロープでつないだ「ミツバチの柵」が研究・導入されています。ゾウが巣箱を揺らすとハチが出てくる仕組みですが、効果は地域や巣箱の管理状態に左右されるため、どこでも使える万能な方法ではありません。

スリランカで進められている季節限定の電気柵も、農家や地域住民が協力して設置場所を決め、維持管理を担うことを前提としています。

広告下に記事が続いています
広告下に記事が続いています

インド:マンションに侵入し、冷蔵庫まで開けるサル

2026年7月、インド南部の都市ベンガルールでは、集合住宅にサルが侵入した動画が話題になりました。

Monkey visited our flat today
by u/MillenialPerson92 in BangaloreSocial

投稿者によると、仕事中にサルが鍵の掛かっていない窓を開けて入り込み、台所でバナナとマンゴーを発見。バナナを持ち去ろうとしたものの、一度に運べなかったため、目の前で何本か食べ始めたそうです。

私がものすごい勢いで叫んでも、こっちを見ただけでバナナを食べ続けていた。だからもう、どうすることもできず、食べ終わって出ていくまで見ているしかなかったよ。😄

— u/MillenialPerson92

別の参加者も、サルに食料を荒らされた経験を披露しています。

あまり友好的に接しないほうがいいよ。危険なこともあるからね。以前は何度も私の部屋に来て、冷蔵庫を開けて、カシューナッツ、アーモンド、ジュース、クルクレ、ポテトチップス、輸入物のデーツなんかを食べられたよ……。

— u/Appropriate-Card-305

クルクレはインドで親しまれているスナック菓子、デーツはナツメヤシの実です。

具体的すぎる食べ物のリストに笑いが止まらない😭 「輸入物のデーツ」って、いやいや😭😭 でも、それはそうだよね。自分だったらめちゃくちゃ腹が立つと思う。

— u/InterestingDark6501

一見すると笑い話ですが、ベンガルールでは以前から集合住宅へのサルの侵入が問題になっています。

2024年11月の現地紙『The Times of India』は、約1,800戸が入る集合住宅でサルが室内に侵入し、果物だけでなくスマートフォンまで持ち去っていると報じました。住民からは子どもや女性に向かってくるとの訴えもあり、行政による対応が求められていました。

取材に応じた州の森林当局者は、市街地周辺の果樹園や樹木が開発によって減り、サルが人間の食べ物に頼るようになっていると説明しています。

今回の投稿でも、住宅の管理組合が問題を把握し、森林当局から注意を促されたことが報告されていました。ただ、投稿者によれば、サルを捕獲するのは難しいとのことです。

そして後日、そのサルは再び現れたそうです。

あいつ、また来たんだよ。でも今度は窓にちゃんと鍵を掛けていたから、外に座って「開けてみろよ」とでも言いたげにこっちを見ていた(笑)。

— u/MillenialPerson92

シンガポール:バス停でイノシシに襲われ、国の機関を提訴

都市化が進んだシンガポールにも、野生のイノシシが暮らしています。

2026年8月、ある女性が2023年にバス停でイノシシに襲われた事故をめぐり、国立公園局(NParks)を相手取って訴訟を起こしていたことが報じられました。

女性の主張によると、事故は2023年5月1日午後11時50分ごろ、ブキ・パンジャン地区のバス停で発生。イノシシにかまれ、繰り返し体を投げ飛ばされるなどして負傷し、手や脚などの手術を受けました。

2026年4月に提起した訴訟では、イノシシの管理や住民の安全確保に国立公園局の過失があったと主張しています。

一方、国立公園局は過失を否定しました。事故の約5分前に近くでイノシシが車にはねられたとの記録があり、負傷した動物が女性に接触したという事情を示しています。

また、女性自身が周囲への注意や安全確保を十分に行わなかった可能性も主張しました。

Woman reportedly attacked by wild boar sues NParks, alleging negligence
by u/Im_scrub in singapore

この説明に対し、Redditでは疑問の声が上がっています。

バス停でバスを待っている人のうち、どれだけの人が「周囲をきちんと警戒」しているんだろう。自分なら探しているのはバスだけだよ。

— u/No-Problem-4228

でも、もしその人がすでにバス停にいて、後からイノシシがやって来たとしたら?

— u/Instantly-Regretted

もちろん、事故当時の状況や責任の有無は裁判で判断される問題です。

シンガポールの国立公園局は、野生動物の個体数調査、餌付けの取り締まり、生息環境の管理、必要に応じた移送や駆除などを実施しています。

国立公園局は、イノシシが森林だけでなく住宅地や道路にも現れることを説明し、餌付けによって人間への警戒心が薄れ、接触が増えることも問題視しています。

事故が起きた2023年には、同じ地域で別のイノシシ襲撃事件も発生しており、当局は付近のイノシシを捕獲・除去する対応を取っていました。

今回の訴訟では、そうした管理措置が十分だったのか、行政がどこまで責任を負うのかが争われています。

広告下に記事が続いています
広告下に記事が続いています

南アフリカ:住宅街に現れるヒヒを「収容施設に入れる」計画

南アフリカのケープタウンでは、チャクマヒヒと呼ばれる大型のヒヒが住宅地や商業施設に現れています。

食べ物を求めてごみ箱をあさったり、建物に入り込んだりするため、住民との衝突が続いてきました。

2026年9月、ケープタウン当局がサイモンズタウン地区の約60頭を施設に恒久的に収容する計画を進めているとロイター通信が報じ、論争になりました。

市当局は殺処分に代わる措置として収容施設を整備する方針ですが、一部の住民や自然保護関係者は、野生動物を長期にわたって閉じ込めることに反対しています。

Cape Town’s plan to cage baboons sparks outcry
by u/Mysterious_badger76 in capetown

Redditでも意見が分かれました。

野生動物を「保護」という名目で撃ったり、檻に入れたりするなんて、見た目にもひどい話だし、そう受け取られて当然だと思う。

ケープ半島でこんな問題が起きているのはおかしい。関係当局の管理があまりにもずさんで、残された解決策がヒヒを撃つか、檻に入れるかの二択だって?

サイモンズタウンを通っても、ヒヒが道路に出てこないようにする取り組みが一つも見当たらない。まずはごみ箱からだろうに。

— u/flabsoftheworld2016

もうその時期だと思う。餌が足りなくて、家や店に押し入っているんだ。移送するか安楽死させるか、その二つしかない。

— u/Ok_Acadia_1525

ケープタウン市の実際の計画を確認すると、地域によって対策が異なっていました。

2026年9月3日の市などの共同発表によると、住宅地での被害を減らすため、ヒヒが開けにくい鍵付きごみ箱を計6,000個配布する計画が進められています。ただし、収容計画の対象となったサイモンズタウンは、この配布対象に含まれていません。

同地区のヒヒは、専用の野生動物収容施設へ移す方針になっているためです。

一方、ケープ半島南部のほかの対象地域では、まず鍵付きごみ箱2,200個を配布する計画です。また、市の北部では、自然区域と住宅・農地を隔てるフェンスの整備も進められています。

市などの関係機関は、自然の中で暮らす群れについては人間の生活圏へ入り込むのを防ぎながら維持する一方、都市部での生活に強く適応したサイモンズタウンの群れについては収容を選んでいます。

そのサイモンズタウンで、野生のヒヒを檻に閉じ込めることの是非が争われているのです。

カナダ:犬の散歩中にコヨーテが襲撃

カナダのカルガリーでは、住宅街に現れるコヨーテがペットの安全を脅かしています。

コヨーテは北米に生息するイヌ科の野生動物で、都市部でも暮らしています。

2026年3月、ある住民が小型犬のアーチーを散歩させようとしたところ、家の私道を出る前にコヨーテが犬をくわえたとRedditに投稿しました。

Coyote Attack inside the SW near glenmore reservoir
by u/IceHawk1212 in Calgary

投稿者はすぐに駆け寄り、犬を取り戻しましたが、別のコヨーテも接近。少なくとも4頭を確認し、家に逃げ込んだ後もコヨーテたちは網戸の向こうに立っていたそうです。

アーチーは獣医師の診察を受け、幸いけがは軽傷で済みました。

この話を受け、ほかの飼い主からも被害が報告されました。

数か月前、カルガリー北西部の自宅の裏庭で、うちの犬がコヨーテに襲われて死んだ。こういう遭遇は311に通報してほしい。あの悲劇の後に対応してくれた市の公園担当部署は、本当によくしてくれたよ。

— u/butwinenottho

311はカルガリー市の緊急性の低い行政相談や通報を受け付ける窓口です。

市はコヨーテを都市の生態系に必要な動物と位置づけ、原則として共存を目指しています。

その一環として行われているのが「ヘイジング」と呼ばれる非致死的な追い払いです。大きな音などの不快な刺激を使い、人間に近づかないよう学習させる方法で、殺処分は最終手段とされています。

一方、飼い主には犬を短いリードにつなぐことや、夜間にペットを庭へ放置しないこと、外に餌を残さないことなどを求めています。

先ほどのコメントを書いた住民も、その後、市から連絡を受け、事故が起きた地域でヘイジングを強化していると説明されたそうです。

広告下に記事が続いています
広告下に記事が続いています

オーストラリア:春になると頭を狙ってくるカササギフエガラス

大型の動物ばかりが問題になるわけではありません。

オーストラリアでは春になると、繁殖期のカササギフエガラスが人間に急降下してくる「スウーピング」と呼ばれる行動が話題になります。

カササギフエガラスは、英語で「Australian magpie」と呼ばれるオーストラリアに生息する鳥で、日本でカササギと呼ばれる鳥とは別種です。

2026年9月、ある投稿者が学校へ向かう子どもがカササギフエガラスに襲われそうになっている場面を目撃し、注意を呼びかけました。

It’s that time of year again
by u/spacehodler in aussie

投稿者自身も、6歳のときに学校へ向かう途中で頭皮の一部を傷つけられ、今でもその経験がトラウマになっているといいます。

数日前、自転車で交通量の多い住宅街の道路を走っていたら襲われた。あのカササギフエガラスは本当にしつこくて、何度も襲いかかってきたよ。

— u/Fun-Intention-232

被害を防ぐため、現地では自転車用ヘルメットに結束バンドを立てたり、後頭部に目の模様を付けたりする人もいます。

オーストラリア首都特別地域政府は2026年9月、繁殖期の鳥による襲撃への注意を発表しました。危険な場所を迂回する、傘やヘルメットで頭を守る、眼鏡で目を保護するなどの対策を勧めています。

カササギフエガラスが人間を襲うのは主に巣やひなを守るためで、すべての個体が襲ってくるわけではありません。

ニューサウスウェールズ州の国立公園当局によれば、ヘルメットの後ろに目を付ける方法は効く個体と効かない個体があり、結束バンドも自転車利用者の間で使われている対策です。

Redditでは、鳥によって人間への態度がまったく違うという話も出ていました。

連中は人間の顔を見分けて覚えるんだよ。

— u/HeathenAF

そうなんだ。昔、自転車で林の中の道を通るたびに襲ってくるカササギフエガラスがいたけど、一方で餌をもらいに家へ来るカササギフエガラスもいた。

みんな同じじゃないんだよね。

— u/spacehodler

こうした被害に対しては、襲撃が起きる場所を知らせる注意標識も使われています。

首都特別地域政府は、鳥のいる場所で自転車に乗り続けず、降りて押して通ることも勧めています。

オーストラリア:農作物だけでなく子羊まで襲う野生化したブタ

オーストラリアの農村部では、野生化したブタによる被害が問題になっています。

ニューサウスウェールズ州政府によると、これらは家畜として持ち込まれたブタが野生化した外来種です。畑を掘り返して種や作物を食べ、牧草地や柵を荒らすだけでなく、子羊などの家畜を襲うこともあります。

Feral pigs are on the march, destroying crops and even attacking lambs
by u/Ardeet in aussie

2026年9月のRedditでは、農家が多額の費用を掛けてブタを駆除しているにもかかわらず、隣接する土地から次々に戻ってくるという問題が取り上げられました。

数は本当に信じられないくらいだ。最近、友人とある土地に行って、3日間で42頭を仕留めた。しかも徒歩で回っただけなのに。もっとたくさん見かけたよ。今も圧力をかけ続けるために、囲いや罠を作り始めている。個人的には毒や毒餌を使うのには抵抗がある。

不在地主の話が出ているのはいいことだね。近くの州有林では自治体がヘリコプターから駆除しているし、私たちもこの土地で少しずつ数を減らしている。でも、隣の約2,000エーカーの土地に所有者がまったく来ず、何も対策しないせいで、ブタが全部そこに隠れられるなら、こちらの努力もほとんど無駄になってしまう。

— u/ElkShot5082

約2,000エーカーは、およそ810ヘクタールに相当します。

こうした問題に対し、州政府は2026年、ウォルゲット周辺で土地所有者の駆除対策への参加を義務づける試験的な制度を打ち出しました。

対象となるのは、積極的に対策している農家だけではありません。普段その土地に住んでいない所有者や、公有地の管理者なども含めて協力させようというものです。

制度に従わない場合、個人に最大22万豪ドル、法人に最大44万豪ドルの罰金を科すことが可能とされ、農業関係者の間でも議論になりました。

ニューサウスウェールズ州農業者団体は、協調した対策の必要性は認めながらも、巨額の罰金で参加を迫る方法に懸念を示しています。

一方、州の農業大臣は、対策への参加を意図的に拒む土地所有者がいれば、努力している周辺の農家に負担を押し付けることになると説明しました。

2026年8月のオーストラリア公共放送ABCの報道では、試験制度は同年11月に開始する予定とされていました。

個々の農家が自分の土地で何頭駆除したかだけでなく、地域全体の土地所有者が足並みをそろえられるかが、対策の成否を左右するという問題です。

広告下に記事が続いています
広告下に記事が続いています

オーストラリア:カンガルーも保護のために駆除される

オーストラリアの首都キャンベラ周辺では、カンガルーの個体数を調整するため、毎年一部の自然保護区で駆除が行われています。

首都特別地域政府の公表によると、2026年6月9日から7月31日にかけて15か所の保護区で管理作業が実施され、カンガルー3,562頭とワラビー344頭が駆除されました。ワラビーはカンガルーの仲間で、この数字は自力で移動できる個体の集計です。

理由の一つは、草地の生態系を守ることです。

カンガルーによる草の採食は自然な働きですが、特定の地域で個体数が多すぎると、植物が過度に食べられ、草地に依存する希少な生物の生息環境が失われると首都特別地域政府は説明しています。

管理には駆除だけでなく、繁殖を抑えるワクチンも使われています。

Parks around Australia’s capital will be closed to the public, as shooters move in to controversially cull kangaroos
by u/Wallace_B in australianwildlife

一方、2025年の駆除を扱ったRedditでは、別の対策を求める意見もありました。

駆除に反対する人々からは、道路をまたぐ橋や地下道など、野生動物が移動できる通路を整備し、保護区にカンガルーが集中するのを防ぐべきだという提案が出ていました。

これに対し、ほかの参加者からは疑問の声が上がります。

野生動物が移動できる通り道を作ることには大賛成だけど、それで問題が解決するわけじゃない。

— u/IntravenousNutella

カンガルーの過剰な増加は地方でも起きているんだ。野生動物用の通路や道路をまたぐ橋には賛成だけど、これは都市だけの問題じゃないし、オーストラリア中に橋を架ければ解決するわけでもない。

— u/SigkHunt

野生動物が道路を安全に横断できる通路を作れば、交通事故の防止や生息地のつながりを保つ効果が期待できます。しかし、過度な採食による草地への影響まで解消できるかは、別に考えなければなりません。

この駆除には、同じ地域に生息するほかの野生動物や植物の生息環境を守るという目的があります。

アイルランド:シカの駆除で子ジカも対象になり、論争に

アイルランド西部のポータムナ森林公園では、2024年初めから2026年3月初旬までに179頭のシカが駆除されたことが、2026年10月の地元報道で明らかになりました。

内訳は2024年が25頭、2025年が92頭、2026年の最初の約9週間が62頭です。

その中には生後数か月とみられる子ジカも含まれており、動物愛護団体が批判しました。

駆除を実施したのは、アイルランドの国有林などを管理する企業Coillte(コイルチャ)です。若い樹木がシカに食べられ、森林の成長が妨げられていることを理由に挙げています。

‘Appalling’ – Months-old fawns among 179 deer shot in Galway forest park
by u/PlantNerdxo in ireland

この問題を取り上げたRedditでも、駆除の必要性をめぐる議論が続きました。

アイルランド東部のウィックローに住む人からは、別の地域でもシカによる被害が深刻だという体験談が寄せられています。

子ジカが死んだとなればニュースの見出しになるし、誰だって悲しいと思う。でも、シカの数は手に負えなくなっていて、生物多様性にものすごく大きな影響を与えているんだ。在来の木は数十センチほどに育つ前にシカに食べられてしまう。シカが届く高さより下にあるものは、何も生き残れない。

ウィックローに住んでいるけど、この時期は餌が少なくなり始めるから、毎晩庭に来てめちゃくちゃにしていく。追い払うのは本当に難しいし、ほとんど不可能だよ。

近所の人は去年、果樹を20本ほど植えたのに、残っているのは2本だけ。1月までにはそれもなくなっていると思う。

残念だけど、シカの数を大幅に減らす必要がある。気持ちのいいことではないけど、やらなければならないんだ。

— u/Relation_Familiar

一方、駆除のやり方そのものに疑問を持つ人もいます。

昨年ポータムナで行われた4回の駆除では、92頭のダマジカが撃たれて、そのうち20頭が子ジカだった。

「子ジカが1頭死んだ」という話じゃないんだよ。

無差別に駆除しているように聞こえるけど、それは誰も望んでいないことだと思う。

— u/BackInATracksuit

ダマジカは、ヨーロッパなどに生息するシカの一種です。

アイルランド政府は以前からシカの管理を課題としており、農業、林業、自然保護の関係機関で構成する戦略グループが、持続可能な個体数管理の方針を検討してきました。

今回のポータムナ森林公園の駆除では、シカによる森林への被害だけでなく、子ジカを含む駆除の対象と方法も議論になっています。

広告下に記事が続いています
広告下に記事が続いています

ヨーロッパ:オオカミが戻ってきたことも、新たな対立に

シカの増加を抑える方法として、ヨーロッパではオオカミの存在も議論されています。

かつて多くの地域で減少したオオカミは、保護政策などを背景に生息域を回復してきました。しかし、家畜への被害や人間の生活圏との接近が、別の問題を生んでいます。

The wolf is back. Europe is no longer sure it wants it.
by u/kindermaxi123 in europe

2026年8月、ヨーロッパのRedditコミュニティ「r/europe」では、オオカミの復活とその是非をめぐって大きな議論が起きました。

シカが主に人の住む場所の周辺に集まっているなら、個体数を減らすためにオオカミがいてほしいとは思わないな。

シカを管理してくれるハンターはいないの? 私の地元にはハンターがたくさんいて、余分な獲物なら何でも喜んで狩ってくれるよ。

— u/Dry-Bread9131

別の参加者は、ヨーロッパとアフリカの野生動物保護を比較して、こんな意見を書いています。

オオカミは、あらゆる意味で犬と同じようなものだ。訓練することもできるし、そうすべきだと思う。大昔、私たちはオオカミの祖先を訓練して人間を助けるようにした。今度は人間に近づかないよう教える必要がある。必要なのは自然の獲物と、人間の生活圏に入り込んだときの毅然とした対応だ。

それにしても、ヨーロッパの私たちが数頭のオオカミとうまく付き合えないのに、アフリカにはゾウやライオン、ゴリラ、チンパンジーの保護と共存を期待しているのは、かなり偽善的に思える。どれもオオカミよりずっと対応が難しい動物なのに。

私たちは本当に二重基準だし、先進国ならではの悩みを抱えているんだと思う。

— u/Albedo101

欧州連合(EU)は2025年7月、オオカミの保護区分を「厳格な保護」から「保護」へ変更しました。これは、各国が地域の事情に合わせて個体数管理を行いやすくするための措置です。

ただし、オオカミが保護対象から外れたわけではありません。各国には引き続き良好な保全状態を維持する義務があり、国内法でより厳しい保護を続けることもできます。

オオカミが戻ることでシカなどの動物の行動や生態系に影響を与える可能性がある一方、羊などの家畜を守るためには柵や、オオカミから家畜を守る役割を持つ犬も必要になります。

2025年のEUの法改正は、こうした家畜被害や地域の事情に応じて、加盟国が管理方法を選べる余地を広げるものでした。

アルゼンチン:住宅地に現れるカピバラ、住民同士が対立

アルゼンチンの首都ブエノスアイレス近郊には、ノルデルタという大規模な住宅開発地区があります。

ここではカピバラ(現地名カルピンチョ)が住宅地に現れ、住民の間で長く議論になってきました。

カピバラは南米原産の大型のネズミの仲間で、水辺の草地などで暮らす動物です。ノルデルタでは庭の植物を食べたり、道路に現れたりすることが問題になっています。

2026年9月17日には、地区内の住民が庭先にいたカピバラの群れに向けて発砲する様子が撮影され、10月に報じられました。

近隣住民の通報を受け、警察は住宅を捜索し、空気銃を押収。動物虐待の疑いで捜査が進められています。

地区の管理組織も発砲を非難し、野生動物の保護と住民の安全を両立させる姿勢を示しました。

Conmoción en Nordelta: filmaron a un vecino mientras disparaba a un grupo de carpinchos
by u/Sebazo in argentina

Redditでは怒りの声が上がる一方、こんな冗談も飛び出しました。

こうなったらカピバラにも武器を持たせるしかないな。

— u/FruitSaladYumyYumy

カピバラたちがこっちに侵攻してきたらどうするんだ?

— u/Polaris_404

そのときはカイマンにも武器を持たせるんだよ。

— u/yo00ooo00004

カイマンは中南米に生息するワニの仲間です。

行政や住宅地の管理組織は、カピバラの個体数を抑えながら共存する方法を模索しています。

ノルデルタの住民管理組織が公表した2026年の取り組みには、オスの精管切除10件、6頭の保護区域への移送、交通事故を防ぐための警告標識70枚の追加などが含まれています。

また、水辺の移動経路や柵の管理、住民への環境教育も行われています。

ただし、追加の移送は司法判断で停止されました。また、繁殖を抑えるワクチンについても、2026年前半の発表時点では国内での承認に向けた手続きが進められている段階でした。

発砲事件をめぐっては住民自身が通報する一方、カピバラの個体数を管理する方法も、行政の許可や司法判断に左右されています。

広告下に記事が続いています
広告下に記事が続いています

コロンビア:麻薬王が持ち込んだカバが生態系の問題に

コロンビアでは、アフリカ原産のカバが野生化しています。

その起源は、かつて麻薬組織を率いたパブロ・エスコバルが私有地で飼育していたカバです。飼育されていた個体の子孫が増え、現在ではマグダレナ川流域などで生息しています。

問題は、カバが人間にとって危険な大型動物であることだけではありません。

コロンビア環境省は、カバがマナティーやカワウソなどの在来動物の生息環境に影響を与え、川岸の土壌や植生、水域を変化させることを問題視しています。

2026年4月13日、コロンビア環境省は、カバの個体数と生息域の拡大を抑える新たな対策を発表しました。

政府は個体数を減らす主な方法として、ほかの施設などへの移送と安楽死を挙げています。移送が難しい場合に安楽死を実施するための技術的な手順も、今回正式に定められました。

ただし、移送にも受け入れ先の確保や法規制、費用といった課題があります。政府は複数の国と協議を進めてきましたが、2026年4月の発表時点では実現していませんでした。

また、一定の区域への囲い込みや不妊化も検討されましたが、すべての個体を不妊化するには多額の費用が掛かり、大型のカバを飼育するための施設整備も必要になると説明しています。

こうした対策の初期段階には、72億コロンビア・ペソを投じる方針です。

Hipopotamos corruptos.
by u/Ricardocrono_27 in Colombia

Redditでは、駆除を求める声も見られました。

話を混同しないでほしい。カバは外来種で、生態系をめちゃくちゃにしている。駆除が解決策だ。

— u/L4z3rH4wk

一方、政府が公表した安楽死の手順には、薬剤を使う方法や、それが難しい場合の別の方法が定められており、いずれも動物福祉や安全性に配慮することが前提とされています。

ニュージーランド:外来種ポッサムを15年以上かけて排除

ニュージーランド南島のオタゴ半島では、2026年3月、ポッサムの根絶が公式に宣言されました。

ポッサムはオーストラリア原産の有袋類で、19世紀に毛皮産業のためニュージーランドへ持ち込まれました。

しかし、ニュージーランドでは在来の樹木の葉や芽を食べ、野鳥の卵やひなも捕食するため、自然環境を脅かす外来種として管理されています。

オタゴ半島では2008年に地域住民が生物多様性を守るための団体を結成し、ポッサムなどの外来哺乳類の排除に取り組み始めました。

その後、自治体や自然保護団体などと連携して活動を拡大。現地団体によると、2011年以降に除去されたポッサムは24,792頭に上ります。

Otago Peninsula officially declared possum free
by u/Mountain_Tui_Reload in NewZealandWildlife

Redditにも喜びの声が寄せられています。

よくやった、ダニーデン! 本当にすばらしい成果だね! オタゴ半島が大好きだし……いや、ダニーデンも大好きだよ。

— u/elgigantedelsur

ダニーデンは、オタゴ半島に隣接するニュージーランド南島の都市です。

この活動が特徴的なのは、住民の庭から切り立った崖まで、地形に合わせて駆除方法を変えてきたことです。

住宅の庭ではペットが誤って罠にかかるのを避けるため、生け捕り用の罠も使用。人が入りにくい場所では、ドローンやヘリコプターも活用しました。

現地団体は、ポッサムが減ったことで在来の鳥が増え、森の再生が進んでいると報告しています。

15年以上にわたる住民やボランティアの取り組みによって達成された根絶ですが、活動が完全に終わったわけではありません。

外部からポッサムが再び侵入する可能性があるため、現在も監視と発見のための体制が維持されています。

参考情報と翻訳元

コメント

タイトルとURLをコピーしました