日本人が一番好きな国はどこ? 海外で飛び交う「うちの国説」を調べてみた

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(最終更新日:2026年9月19日)

「日本はメキシコが大好き」「いや、ドイツやイタリアだ」「アメリカ文化こそ一番人気では?」

2025年12月、海外掲示板Redditの「r/AskTheWorld(世界各国の人に質問するコミュニティ)」に、そんな疑問が投稿されました。

There’s a lot of countries that claim Japan loves them the most. Who does Japan actually love the most?
by u/Pale_Field4584 in AskTheWorld

投稿者が不思議に思ったのは、いろいろな国の人が「日本はうちの国を特別に好きだ」と話していることです。メキシコならビザ制度、アメリカなら西部劇やカウボーイ文化――それぞれに“根拠”まであります。

では、実際の日本人はどの国・地域を一番好んでいるのでしょうか。

ただ、「好き」そのものを世界中の国・地域について同じ条件で比較した最新調査は、今回確認した範囲では見つかりませんでした。そこで、比較できる資料が比較的多い「親しみ」などの関連指標を中心に、スレッドで挙げられた根拠を一つずつ見ていきます。

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「本当の答えは台湾」――でも、貼られた調査は逆向きだった

スレッドでは、台湾を挙げる人が何人かいました。

「Japan」と表示されたユーザーは、記事へのリンクとともにこう書いています。なお、r/AskTheWorldの国・地域表示はユーザー自身が設定するフレアで、国籍を証明するものではありません。

本当の答えは台湾。
台湾人と日本人ほど近い関係はないと思う。

— u/No-Efficiency7055(Japanフレア)

別のJapanフレアのユーザーからは、2011年の東日本大震災で台湾から大きな支援が寄せられたことを理由に挙げる声もありました。

外務省が毎年まとめている日本外交の年次報告「外交青書」によると、台湾からは震災直後に28人の緊急援助隊が派遣され、各界から約200億円の義援金や救援物資などが寄せられています。

ところが、「本当の答えは台湾」の根拠としてスレッドに貼られていた調査を見ると、質問の向きが逆でした。

日台間の実務交流を担う日本側の窓口機関「日本台湾交流協会」が、台湾に住む20~80歳の1,520人を対象に2024年12月から2025年1月に行ったインターネット調査では、「台湾を除いて最も好きな国・地域」として日本を選んだ人が76%でした。

つまり、この調査で分かるのは、台湾の回答者の76%が、日本を「最も好きな国・地域」として選んだということです。

「日本人は台湾が一番好き」という元の疑問への直接の答えにはなりません。

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では、日本人から台湾を見ると?

逆方向の調査もあります。

2026年版の外交青書では、台北駐日経済文化代表処――台湾の日本における実務上の窓口で、大使館に相当する機関――が2025年10月24~28日に行った調査を紹介しています。

調査は20~89歳の日本人1,000人を対象にインターネットで行われ、回答者の**74.5%**が、台湾に「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」と答えました。

スレッドで使われていた“証拠”は質問の向きが逆でしたが、別の日本側調査を探しても、台湾への親近感そのものはかなり高いことが分かります。

ただし、これで「台湾が世界1位」と決まるわけではありません。

比較するなら、ほかの国も同じ調査、同じ質問、同じ方法で聞かれている必要があります。

アメリカも76.9%――でも、74.5%と直接競わせてはいけない

アメリカについては、内閣府の「外交に関する世論調査」があります。

2025年9月25日から11月2日にかけて、全国の18歳以上の日本国籍を持つ3,000人を無作為抽出し、郵送で調査。1,772人から有効回答を得ました。

アメリカに「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」と回答した割合は、合わせて**76.9%**でした。

台湾の74.5%より2.4ポイント高いので、

「ではアメリカが1位なのでは?」

と思いたくなります。

ただし、この二つは別の調査です。

台湾については1,000人を対象としたインターネット調査、アメリカについては全国から無作為抽出した人を対象とする郵送調査です。回答者の集め方や質問票などが同じではありません。

2.4ポイントの差だけを使って「アメリカの方が上」と順位を付けることはできません。

しかも内閣府の調査は、世界中の国・地域をすべて並べて比較しているわけでもありません。

結局ここでも、「日本人が世界で最も好きなのは○○」という答えには届きません。

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同じ調査でも、「親しみ」と「関心」で順番が変わった

では、同じ人たちに複数の国・地域を聞いた調査ならどうでしょうか。

国際問題の調査などを行う公益財団法人・笹川平和財団が2024年8月、日本国内の15~89歳3,000人を対象にインターネットで行った調査では、中国、韓国、台湾、アメリカの4つについて同じ質問をしています。

「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」の合計は、

台湾が63.5%、アメリカが49.3%、韓国が26.4%、中国が7.3%でした。

ところが、「関心がある」「どちらかというと関心がある」になると、

アメリカ61.5%、台湾56.1%となります。

同じ調査の同じ4つの国・地域でさえ、

「親しみを感じる」

と、

「関心がある」

では順番が変わりました。

「文化が好き」「旅行したい」「外交上重要だと思う」「親しみを感じる」「信頼している」。

どれも日常会話なら「好き」にまとめられそうですが、調査では別のものです。

ネット上の「日本は○○が大好き」という話では、この違いがかなり混ざっているように見えます。

メキシコの「最長6か月ビザなし」は本当に特別扱い?

最初の投稿でもう一つ根拠として挙げられていたのが、メキシコ人は日本に「6か月ビザなし」で滞在できる、という話でした。

制度そのものは存在します。

外務省によると、メキシコ国民には、短期滞在のビザを免除する国同士の取り決めによって6か月以内の滞在が認められています。

ただし、入国時に与えられる在留期間は90日です。90日を超えて滞在したい場合には、期間が切れる前に日本国内で在留期間の更新手続きをする必要があります。

そして、この扱いはメキシコだけではありません。

同じ扱いがあるのは、アイルランド、オーストリア、スイス、ドイツ、メキシコ、リヒテンシュタイン、英国の7か国です。

したがって、

「メキシコだけ特別に6か月だから、日本がメキシコを一番好き」

という根拠にはなりません。

スレッドには、Mexicoフレアのユーザーからもっと辛辣な反応もありました。

このユーザーは「日本がメキシコを特別に好き」という話そのものを、特にメキシコのオタク層などの間で広まったオンライン上の話だという見方を示しています。さらに別のコメントでは、「みんなが自分たちを好きだ」という、ネット上で繰り返される定番ネタについても触れていました。

また別のユーザーは、外国人が「メキシコ文化が好きだ」と語り、その視聴者を主にメキシコ人が占めるYouTubeのジャンルがある、と指摘しています。

もちろん、これは個々のRedditユーザーの見方であり、メキシコ人全体の意識を示すものではありません。

ただ、「外国から自国がどう見られているか」自体がネット上のコンテンツになる、という点は、このスレッドの疑問とよく重なっています。

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では、なぜ各国から「日本はうちが好き」に見えるのか

ここまで調べても、日本の“本命”は一つに決まりませんでした。

では、なぜスレッドには「日本はうちの国が好き」という話がいくつも出てくるのでしょうか。

コメントを追うと、それぞれ違う文化の接点が根拠になっています。

アメリカについては、野球やジーンズのブランド、1950年代風のアメリカ音楽・ファッション文化などが例に挙げられていました。

フランスのフレアを付けたユーザーからは、

日本ではパリが理想化されている、と言いに来ただけ。

— u/Special_Attorney_403(Franceフレア)

というコメントもあります。

ドイツについては、日本在住だと述べるドイツ人ユーザーから、かなり冷静な反応がありました。

そのユーザーは、日本で知られているドイツ像について「ソーセージ、ビール、高級車、サッカー」といった一般的なイメージを挙げています。

さらに、バウムクーヘン、シュトーレン(ドイツの伝統的なクリスマス菓子)、クリスマスマーケットなど、ドイツ由来のものでも、日本ではドイツとのつながりをあまり意識されていないのではないか、と書いていました。

ある国から伝わった食べ物、音楽、ファッション、スポーツが日本の一部で強く定着していること。

そして、日本人全体がその国を「一番好き」であること。

この二つは同じではありません。

けれど、自分の国から来たものが日本で大切にされているのを見れば、「日本って、うちの国を結構好きなのでは」と感じるのも不思議ではありません。

最後に出てきたのは「人による」という答えだった

スレッドには、Japanフレアのユーザーからこんな回答もありました。

日本という国の外交上の話ではなく、ここにいる人たちの個人的な好みの話なら、本当に人によるので、日本の“本命”がどこなのかを決めるのは難しいと思う(笑)。

アメリカや韓国の文化は広く浸透しているけど、好きな国や文化がある人は、それぞれ自分の好みや興味を持っている。

私自身が一番魅了されて興味をひかれるのは、現在は存在しないある国。友人は中国が大好きで、上司はいつもメキシコが好きだと言うし、姉妹はイタリア音楽が大好き、みたいな感じ(笑)。

— u/Positive_Opposite549(Japanフレア)

調査を追ったあとで読むと、この答えがかなりしっくりきます。

台湾への親近感は複数の調査で高く、アメリカへの親近感も内閣府調査で76.9%でした。一方、同じ4つの国・地域を調べた調査では、台湾は「親しみ」でアメリカを上回り、アメリカは「関心」で台湾を上回りました。

「日本が世界で一番好きな国」を一つ決める数字は、今回確認した範囲では見つかりませんでした。

その代わり今回のスレッドでは、いくつもの国の利用者が、日本の中にある自分たちの国との文化的な接点を挙げていました。

「どこが日本の本命か」より、なぜそれぞれの国からそう見えるのかを追う方が、この疑問には合っているのかもしれませんね。

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今回の記事では、「日本人はどの国に親しみを感じているのか」を台湾やアメリカへの世論調査から見てきました。しかし、国と国との距離は数字だけでは分かりません。

台湾から日本はどう見えるのか。近いようで異なる二つの土地の間で、一人の台湾人が何を感じるのか。今回の記事を読んで、日台のつながりをもう少し違った角度から見てみたい方におすすめの一冊です。

参考情報と翻訳元

  1. Reddit「There’s a lot of countries that claim Japan loves them the most. Who does Japan actually love the most?」
    r/AskTheWorld(世界各国の人に質問するコミュニティ)、2025年12月。各国から挙げられた「日本はうちの国が好き」という反応を確認。
  2. 内閣府「外交に関する世論調査(令和7年9月調査)」
    アメリカに対する親近感76.9%、調査対象、抽出方法、実施時期などを確認。
  3. 外務省「令和8年版外交青書 第2節 アジア・大洋州」
    2025年10月の台北駐日経済文化代表処の調査で、回答者の74.5%が台湾に親しみを感じると回答したことを確認。
  4. 日本台湾交流協会「台湾における対日世論調査」
    2024年12月27日~2025年1月5日に台湾で行われた調査を確認。「台湾を除いて最も好きな国・地域」で日本が76%。
  5. 笹川平和財団「2022年度~2024年度の調査結果比較」
    中国・韓国・台湾・アメリカへの親近感と関心度を確認。
  6. 外務省「査証免除国・地域(短期滞在)」
    メキシコを含む7か国について、6か月以内の滞在が認められ、90日を超える場合には在留期間の更新手続きが必要であることを確認。
  7. 外務省「外交青書2012」台湾
    東日本大震災時、台湾から28人の緊急援助隊と約200億円の義援金、救援物資などが寄せられたことを確認。

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