(最終更新日:2026年10月28日)
2026年10月、GMOインターネットの「お名前.com デスクトップクラウド」がサイバー攻撃を受け、顧客情報が持ち出されました。
攻撃者とみられる者は金銭を要求しましたが、GMOは10月28日時点で支払いを拒否しています。27日には顧客情報と称するデータが公開され、内容の確認が続いています。
海外でも同じような脅迫を受け、身代金を拒否した企業と支払った企業があります。
その後、何が起きたのか。
Redditに寄せられたコメントとともに紹介します。
身代金を拒否したオランダの通信会社では
オランダの通信会社Odido(オディド)は、2026年2月にサイバー攻撃を受けました。
影響を受けたのは、系列ブランドの利用者や、すでに解約した人も含めて約639万人です。氏名や住所、電話番号、銀行口座番号、身分証に関する情報などが対象でした。
ただし、ログイン用のパスワードや身分証の画像は、流出した情報に含まれていないと同社は説明しています。
Odidoは身代金を支払わないと決め、2月26日には攻撃者が盗んだ情報の一部を公開し、その後、残りのデータも公開されたと現地で報じられています。
Odido betaalt geen losgeld, criminelen publiceren deel gestolen klantgegevens
by u/ALollef in thenetherlands
このニュースを扱ったRedditのオランダのコミュニティには、こんなコメントが寄せられました。
Odidoについて顧客として本当に腹が立つのは、自分のどのデータが流出したのか、正確に教えてもらえないことだよ。X、Y、Zという情報が漏れた「可能性があります」と言われてもね。実際に何が外に出たのか知りたいんだ。
— u/ThaDestiny
このコメントには、どうやって自分の情報を守ればよいのかという返信が続きました。
Odidoが自分について持っている個人情報を、全部開示してもらったらどうだろう。そうすれば、最悪の場合に何が公開されるのか分かる。
もう同じような投稿があるかもしれないけど、私が特に知りたいのは、なりすましによる被害の危険を減らすために、自分で何ができるかということ。たとえ100~200ユーロかかるとしても。
— u/reigorius
本当に、どこまでやればいいんだろう。別の銀行口座を作る必要まであるのか。それとも、その情報も流出していた場合、新しいパスポートやIDカードを作るだけで十分なのか。
無料のウイルス対策・フィッシング対策ソフトを提供して、まるで流出の原因が顧客側にあるかのようにするより、Odidoがそういうことを案内してくれたらよかったのに。
— u/Snakemastr805
すでに解約していた人からも、こんな投稿がありました。
Odidoが送ってきたメールも、ひどいものだった。「私たちはサイバー攻撃の被害者になりました」だって。いや、あなたたちは被害者じゃない。怠慢だったんだ。それを結論にするべきだろう。
ちなみに私はもう2年以上前に解約しているのに、私の情報はまだどこかに保存されていて、今ではネット上で見つかる。
— u/Strontrammel
一方、身代金を拒否した判断を支持する声も。
身代金を払っていたとしても、結果は変わらなかったと思う。ハッカーがデータをそのまま持ち続けない保証なんて、まったくない。
それどころか、また同じことをするための資金を与えることになる。
でも、そもそもOdidoのデータ保護がきちんとしていなかった。この失態の主な責任はOdidoにあるよ。
— u/Undernown
Odidoは、当局などの助言に従って身代金を支払わないと決めたと説明しています。情報が公開される危険も理解していたといいます。
その後、Odidoは顧客からの問い合わせに応じ、どの情報が影響を受けたのか確認する手助けをしています。
希望する人には電話番号を変える選択肢を用意し、Odidoからの連絡が本物かどうかを確かめられる仕組みも提供しています。
身代金を払ったPowerSchoolでは何が起きたか
身代金を支払った企業もあります。
米国のPowerSchoolは、北米の学校で生徒などの情報を管理するサービスを提供しています。
2024年末、PowerSchoolのシステムから生徒や教職員の情報が盗まれました。カナダ・カルガリーの教育委員会によると、生徒の氏名や住所、成績のほか、一部ではアレルギーや服薬に関する情報も含まれていました。
PowerSchoolは盗まれたデータを削除してもらうために身代金を支払い、学校側にはデータは削除されたと説明していました。
PowerSchool breach worse than thought, company says “all” student and teacher data accessed
by u/Snowfish52 in cybersecurity
翌2025年1月、サイバーセキュリティを話題にするRedditコミュニティには、その説明を疑うコメントが寄せられました。
身代金を払ったあと、ビデオ会議で犯罪者がデータを消すところを見届けたんだから、よかったよね。犯罪者が嘘をついたり、コピーを取っておいたりするはずがない。これでもう安心だ。
— u/RaNdomMSPPro
一方、犯罪者にも約束を守る動機があるという意見もありました。
信じられないかもしれないけど、こういうハッカーにも守るべき評判があるんだ。
結局データを公開するなら、次の被害者が身代金を払うわけがないだろう?
データを公開する理由は一つもないし、公開しない理由ならたくさんある。まだデータを持っていると仮定すれば、だけど。
— u/Tech88Tron
データが本当に削除されたのか、疑う人もいました。
みんな、これはランサムウェアじゃないよ。データにアクセスできなくなったわけじゃなくて、誰かがコピーしただけだから。
昔ながらの、ただの脅迫だ。
それはそうと、本当にファイルを消したとは思えない。最初に攻撃の話を聞いて「データは削除された」と知ったときから疑わしかった。友好的な二者の間でさえ、お互いを信用するだけで何かを保証するのはぎりぎりなんだから。
せいぜい、犯人たちはほかの被害者に「約束を守る連中だ」と思わせるために、盗んだデータをすぐには公開せず、後から出すんじゃないかと思う。
— u/AdventurousTime
PowerSchoolを使う学校の関係者からは、何をすればよいのかという相談もありました。
私はPowerSchoolを使っている学区で、小学生の子どもを持つ親でもあり、小学校の教師でもあります。この件を知ったのですが、PowerSchoolのウェブサイトや学区から共有された情報はとても曖昧に感じました。私はこの話題やサイバーセキュリティの知識がまったくなく、聞きたいことがたくさんあるので、かえって不安が大きくなっています。
いったい何が起きたのでしょうか。情報が流出した生徒の保護者や教師は、自分自身とプライバシーを守るために何をしたり、何を問い合わせたりするべきなのでしょうか。
考え方や説明、意見など、何でも教えてもらえると助かります。
— u/This-Bodybuilder-992
ところが同年5月、カナダの学校当局に、2024年末に盗まれたデータを使った脅迫が届きました。
トロントの教育委員会は、PowerSchoolが身代金を払ってデータを削除させようとしたにもかかわらず、実際には破棄されていなかったと公表しました。
新たに情報が盗まれたのではなく、以前持ち出されたデータが再び脅迫に使われたのです。
PowerSchoolは、影響を受けた生徒や教職員に2年間の個人情報保護サービスを無料で提供し、対象となる成人には、不正な借り入れなどを見つけるための信用情報監視サービスも案内しました。
身代金を払った後も、学校や家族には情報流出への対応が残りました。
医療保険や暗号資産のサービスでも
同じような事件は、通信会社や学校以外でも起きています。
オーストラリアの医療保険会社Medibankでは、2022年に顧客の個人情報や医療情報が盗まれました。同社は身代金の支払いを拒否しましたが、その後、盗まれた情報の一部がネット上に公開されました。
米国の暗号資産取引サービスCoinbaseでは、2025年に顧客対応の担当者が金銭で買収され、顧客情報が盗まれました。攻撃者は盗んだ情報を使って利用者をだまし、暗号資産を送金させようとしていました。
また、Coinbaseにも2,000万ドルを要求しました。Coinbaseは要求を拒否し、この事件に関わる詐欺で送金してしまった利用者には、被害を確認したうえで補償する方針を示しています。
身代金を拒んだOdidoでは、盗まれた情報が公開されました。支払ったPowerSchoolでも、後になって以前盗まれたデータが再び脅迫に使われました。
身代金を払うかどうかは、企業にとって大きな決断です。
ただ、情報を預けた人にとっては、その後、自分の情報がどうなるのかも気がかりです。
GMOの事件でも、攻撃者が顧客情報と称して公開したデータについて、10月28日時点で確認が続いています
これから利用者に、自分の情報についてどこまで具体的な説明が届くのかも気になるところですね。
参考情報と翻訳元
- GMOインターネット「お名前.com デスクトップクラウド」への不正アクセス(第4報):不正アクセスと情報の外部持ち出し。
- GMOインターネット「現在の対応について(第10報)」:10月27日の攻撃者側による情報公開と、内容を確認中であること。
- GMOインターネット「現在の対応について(第12報)」:攻撃者からの要求と、支払いを拒否した方針。
- Odido「Update about cyberattack」:影響を受けた人数と情報の種類、身代金拒否と顧客支援。
- NOS「Odido ontdekte pas na bericht van hackers dat klantgegevens waren gestolen」:データ公開の経緯と、その後の取材。
- Reddit・r/thenetherlands「Odido betaalt geen losgeld, criminelen publiceren deel gestolen klantgegevens」:Odido事件に関するコメントの翻訳元。
- トロント教育委員会「PowerSchool Cyber Incident」:身代金の支払いと、データが破棄されていなかったことの説明。
- カルガリー教育委員会「PowerSchool Data Breach」:流出した生徒情報の種類、2025年5月の再脅迫、個人情報保護サービスの案内。
- Reddit・r/cybersecurity「PowerSchool breach worse than thought, company says ‘all’ student and teacher data accessed」:PowerSchool事件に関するコメントの翻訳元。
- オーストラリア政府「Further cyber sanctions in response to Medibank Private cyberattack」:Medibankの情報流出と、盗まれた情報の公開。
- Medibank「Medibank cybercrime update」(2022年11月7日、オーストラリア証券取引所公表資料):盗まれた情報の種類と、身代金を支払わないとの発表。
- Coinbase「Protecting Our Customers – Standing Up to Extortionists」:2025年の顧客情報窃取、金銭要求、詐欺被害に対する補償方針。


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