「日本では人気なのに海外では不人気」なアニメはある? 実際に調べてみた

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「日本でヒットしたアニメなら、海外でもだいたいヒットするのでは?」

2026年4月、海外掲示板Redditのアニメコミュニティ「r/anime」に、そんな疑問が投稿されました。

What’s an anime that MAINLY performed well in Japan compared to other countries?
by u/CusYN0t1210 in anime

コメント欄には『プリキュア』『キングダム』『サザエさん』、アイドルアニメなど、さまざまな作品が挙がります。

ところが読み進めると、別の疑問が出てきました。

そもそも、ここで言う「海外」はどこのことで、「人気」は何を指しているのでしょうか。

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真っ先に挙がった『プリキュア』

特に目立ったのが『プリキュア』シリーズです。

あるユーザーは、

『プリキュア』。主な理由は、東映が最近まで西側市場へ本格的に広げようとしてこなかったことだと思う。以前『Glitter Force』の吹替版はあったけど。

— u/AdagioExtra1332

と答えていました。

これはあくまで投稿者の見方ですが、「作品が海外で受けるか」以前に、そもそも海外でどれだけ触れられる状態だったのか、という論点が出てきます。

現在の状況を見ると、『プリキュア』はすでに日本だけで展開されているシリーズではありません。

東映アニメーションの海外向け公式ページには、フランスのアニメ配信サービス「ADN」や、世界各地で展開する大手アニメ配信サービス「Crunchyroll」などが配信先として掲載されています。

2026年2月に始まったシリーズ第23作『名探偵プリキュア!』も、Crunchyrollでは北中南米、オーストラリア、ニュージーランド、欧州、アフリカ、中東など広い地域へ配信されています。2026年秋の配信ラインアップにも継続作品として掲載されています。

ただ、現在配信されていることと、過去20年以上にわたって日本と同じ条件で知られてきたことは別です。

海外での知名度だけを見て「海外の人には刺さらない作品」と結論づけるには、少し早そうです。

「それ、海外じゃなくて西側や英語圏の話では?」

スレッドの流れを大きく変えていたのが、こんなコメントでした。

挙がっている作品の多くは、西側や英語圏で振るわなかっただけで、日本以外のどこでも振るわなかった作品ではないと思う。コナン、ドラえもん、クレヨンしんちゃん、多くのロボットアニメやアイドルアニメは東アジアでも人気がある。

— u/xithebun

2023年の別のスレッドでは、もっと短く、

「アメリカ=世界」みたいなスレだな。

— u/PhantomFav

という反応までありました。

実際、公式資料を確認すると、「日本以外ではほぼ知られていない」と一括りにするのが難しい作品があります。

テレビ朝日の海外向け資料によると、『ドラえもん』は60以上の国で放送。『クレヨンしんちゃん』も、アジアだけでなくスペイン、ドイツ、インドなどを含む45か国で放送された実績があります。

『名探偵コナン』も同様です。

2020年には初期42話がCrunchyrollで、アジアや一部欧州地域などを除く広い地域に配信されました。

さらに2021年の映画『名探偵コナン 緋色の弾丸』は、日本での公開日だった4月16日に、台湾、香港、韓国、タイ、フランス、ドイツ、サウジアラビアなど22の国・地域でも同時公開されました。劇場版『名探偵コナン』では初の試みでした。

もちろん、「放送・配信された国が多い=どの国でも日本と同じくらい人気」という意味ではありません。

ただ少なくとも、『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』『コナン』をひとまとめにして「日本では有名だが、海外ではほぼ知られていない」とするのも正確ではなさそうです。

英語で行われているRedditの議論だけでは、ほかの地域で長年放送されてきた作品の存在が見えにくくなることがあります。

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もう一つややこしいのが、「人気」の意味だった

2023年のスレッドでは、アイドルアニメをめぐってかなり長い議論が続いていました。

発端は、

基本的にアイドルアニメ全部。

— u/Delisches

という回答です。

すると別のユーザーが、「日本でのアイドルアニメ人気は、アニメファンの間で少し大きく見積もられているのでは」と反論しました。

一方、別のユーザーは、

アニメは、アニメ系アイドルの世界では氷山の一角だよ。

人気って、DVDの売上やテレビの視聴者数だけじゃない。

— u/ttrw38

と返しています。

さらに、

日本での「オタク人気」と「一般的な人気」は別だと思う。西側のアニメファンが把握しやすいのは前者のほうだ。

— u/Tarhalindur

という指摘もありました。

2026年のスレッドにも似た意見があります。

あるユーザーは、アイドルアニメは日本でも必ずしも一般層まで広く浸透しているわけではなく、むしろ特徴的なのは「コアファンの熱量」ではないかと書いていました。

視聴者の絶対数が巨大でなくても、グッズやコンサートなどを支える熱心なファンがいれば、視聴者数だけでは見えない大きな存在感を持つことがあります。

ここで「人気」という言葉が急に難しくなります。

テレビで多くの人が見ている。

配信ランキングが高い。

グッズが売れている。

ライブ会場が埋まる。

熱心なファンが長く支えている。

どれも「人気」と呼べますが、同じものではありません。

アイドルアニメとは別の例ですが、視聴者数以外の規模が見える数字もあります。

バンダイナムコホールディングスの2026年3月期資料では、グループ主要会社における作品・キャラクターなどのIP(知的財産)別売上高として、『プリキュア』が93億円、『アンパンマン』が121億円となっています。

これは『プリキュア』や『アンパンマン』というIP全体の市場規模ではありません。あくまでバンダイナムコグループ主要会社の売上です。

それでも少なくとも同グループ内では、アニメの視聴者数だけでは見えない規模のビジネスが存在することが分かります。

『キングダム』を見ると、さらに別の事情があった

二つのスレッドで何度も名前が出ていたのが『キングダム』です。

日本では2006年1月に『週刊ヤングジャンプ』で連載が始まり、2026年にはコミックス累計発行部数が1億2000万部を突破しています。

ところが、北米で日本漫画を刊行するVIZ Mediaから英語版コミックス第1巻が発売されたのは、2025年11月11日。

連載開始から約20年後でした。

VIZ自身も発表時に、「英語で初めて登場する」と案内しています。

Redditでも、

『キングダム』は漫画ならいつも上位の売れ行きなのに、長い間、英語の公式版がなかった。

— u/zennok

という趣旨のコメントがあり、その後には、

フランスでは人気だよ。単行本もかなりの巻数まで刊行されている。

— u/Medical_Complaint998

という反応も出ていました。

ここでも「海外」という一括りが崩れます。

少なくとも英語圏では、公式漫画版が読めるようになるまで非常に長い時間がかかりました。一方、スレッドにはフランスではそれより前から刊行されていたという利用者の声があります。

『キングダム』が英語圏で日本ほど大きな存在にならなかった理由を、「中国史の題材が受けにくいから」と文化だけで説明すると、この流通の差を飛ばしてしまいます。

もちろん、公式英語版が早く出ていれば日本と同じ人気になった、とまでは言えません。

分かるのは、少なくとも最初から同じ条件で作品に触れられたわけではない、ということです。

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では、本当に「日本だけで巨大なアニメ」はあるのか

スレッドでは候補として『サザエさん』や『アンパンマン』も何度も挙がっていました。

『サザエさん』は1969年に放送が始まり、2024年10月6日時点で初回放送から55年1日。「最も長く放映されているテレビアニメ番組」としてギネス世界記録を更新しています。

一方の『アンパンマン』も、日本国内で非常に大きなキャラクター作品です。

制作会社TMS Entertainmentの海外向け公式ページでは、『アンパンマン』を海外ライセンス作品として掲載し、「アジアで特に愛されている子ども向けキャラクターの一つ」と紹介しています。

これはTMS自身による作品紹介であり、国ごとの人気を比較した統計ではありません。

そのため、「アジアでも日本と同じくらい人気」とまでは言えません。

ただ、「日本以外ではほとんど知られていない」と言い切る材料にもなりません。

今回確認した範囲では、『サザエさん』について、日本と各国の人気を同じ指標で比較できる資料までは見つかりませんでした。

つまり、「本当に日本だけで巨大なアニメ」を厳密に探そうとすると、思った以上に証明が難しいのです。

「海外のどこで?」と聞くだけで、見え方が変わる

二つのRedditスレッドを最初に読むと、『プリキュア』『キングダム』『ドラえもん』『コナン』など、「日本では人気なのに海外では弱い作品」の一覧が作れそうに見えます。

ところが少し調べると、それだけでは収まりませんでした。

英語で行われる議論では目立たなくても、ほかの地域では長年放送されている作品がある。

視聴者数では目立たなくても、商品やライブなど別の形で大きな支持を受けている作品もある。

そして『キングダム』のように、そもそも英語で公式に読めるようになるまで約20年かかった作品もあります。

「日本では人気なのに海外では人気がない」と聞いたら、その前に一つ確認した方がよさそうです。

海外の「どこ」で、どんな「人気」を比べているのでしょうか。

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