世界でも「お客様は神様」なのか? 日本でカスハラ対策が義務化、海外の接客事情を調べてみた

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(最終更新日:2026年10月12日)

台湾に関する海外掲示板サイトRedditのコミュニティに、飲食店で働く人が客から怒鳴られて泣いてしまったという体験を投稿し、「店員だって人間じゃないの?」と訴えました。

日本でも2026年10月1日から、企業などの事業主にカスタマーハラスメント(カスハラ)を防ぐための対策が義務付けられています。

日本には「お客様は神様」という言葉がありますが、海外では客と店員の関係をどのように考えているのでしょうか。

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日本で義務化されたカスハラ対策、何が変わった?

2026年10月1日、改正労働施策総合推進法により、企業などの事業主にカスタマーハラスメント対策が義務付けられました。

カスハラとは、顧客などによる社会通念上許容される範囲を超えた言動によって、従業員の就業環境が害されることを指します。暴言や威圧、不当な要求、執拗なクレームなどがその例です。

事業主には、従業員を守る方針の明確化、相談窓口の整備、被害が起きた場合の対応、悪質な行為への対処方針の策定などが求められます。

背景にあるのは、顧客とのトラブルを現場の従業員だけに任せてきた問題です。

厚生労働省の2023年度の調査では、回答した全国約8,000の企業・団体(従業員30人以上)のうち、過去3年間に従業員から顧客などの著しい迷惑行為について相談があったと回答した割合は27.9%でした。

なお、今回義務化されたのは事業主による防止措置であり、客からの正当な苦情まで禁止する制度ではありません。

ここで少し触れておきたいのが、日本でよく知られる「お客様は神様です」という言葉です。

この言葉を広めた歌手の三波春夫さんは、もともと観客を神様とみなし、神前で祈るような澄んだ心で歌うという、自身の芸に対する心構えを表現していました。

三波春夫オフィシャルブログによれば、客が何をしても我慢して従うべきだという意味ではなかったそうです。

では、海外の人々は客と店員の関係をどう考えているのでしょうか。

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台湾の投稿「お金を払えば偉いと思っている人がいる」

2026年5月、台湾に関するRedditコミュニティ「r/Taiwanese」に、長く飲食業に携わってきた人が、初めて客に泣かされたという投稿をしました。

工作
by u/InsideAncient4467 in Taiwanese

ある女性客が、注文と会計を済ませた後、ほかのキャンペーンを案内されなかったことに腹を立て、投稿者を激しく叱り始めたそうです。

投稿者は丁寧に謝り、相手をなだめ、代金を返して料理を無料にすることまで申し出ました。それでも客は怒り続け、客を帰らせた後、投稿者はこらえきれずに泣いてしまったといいます。

コメント欄には、同じような経験を持つ人や、接客業で働く人を励ます声が集まりました。

単にストレスを発散したいだけの人に出会うことは、どうしてもあるものだよ。相手の感情を自分の中に持ち込まないようにして、冷ややかな礼儀正しさで対応してみるといい。

仕事は結局、あれだけの給料のためにしているんだから、自分の調子まで崩してしまうのは代償が大きすぎる。

— u/Atanos_7941

それに対して、投稿者はこう返しています。

もっと冷たくなる必要がありそうですね。そのほうが自分にはいいのかもしれません🫡🫡

— u/InsideAncient4467

お金を払ったんだから自分が一番偉いと思っている人って、必ずいるんだよね。私も出会ったことがある。

話を聞く限り、あなたは自分の機嫌が悪いのを誰かにぶつけたいだけの人に当たってしまったんだと思う。

— u/Pharah_is_my_waIfu

なかには、少しユーモアを交えた提案もありました。

こんなふうに言ってみたらどうかな。

「お客様、気分がよくないのは分かりますが、ここは心理カウンセリングをする場所じゃなくて、飲食店なんです。誰かに愚痴を聞いてほしいのでしたら、ここではちょっと難しいです。でも、ハグならしてあげましょうか?」

(最後のひと言は省いてもいいかもしれない)

— u/Much_Editor7898

謝罪や返金をしても収まらない客に、従業員はどこまで付き合うべきなのか。投稿者の体験は、まさに日本でも議論されている問題と重なります。

ヨーロッパでは「客は王様、ただし……」

海外にも、日本の「お客様は神様」に似た言い回しがあります。

2021年、欧州各国の人々が質問に答えるRedditコミュニティ「r/AskEurope」で、フランスの投稿者が「あなたの国でも客は王様なのか?」と質問しました。

Is the customer “the king” in your country ? How is this mentality perceived ?
by u/Raphelm in AskEurope

きっかけは、アメリカで店員に激怒する客の動画を見たことでした。動画では、怒鳴られても店員が丁寧な言葉遣いを続けていたといいます。

投稿者は、フランスでは失礼な客にそこまで丁寧に接しないだろうと考え、ほかの国ではどうなのかと尋ねました。

そこで寄せられたのが、こんなコメントです。

ええ、オランダではお客様は王様です。でも、うちのウェイターたちは革命派の共和主義者で、王族なんて知ったことじゃありません。

— u/Slobberinho(オランダ)

「お客様は王様。ただし、皇帝にふさわしい振る舞いをするならね」と、私はいつも教わってきました。

— u/FieryWhistle(オランダ)

客を王様にたとえながらも、それにふさわしい態度が求められるという考え方が、皮肉たっぷりに表現されています。

一方、ドイツからは、正当な苦情には対応するが、暴言まで受け入れる必要はないという意見がありました。

普通、レストランでは客に対して仕事としての敬意と適度な距離を持って接するし、妥当な苦情なら客の側に立って対応する。

でも、怒鳴ったり、あからさまに失礼な態度を取ったりする客にまで、従業員が耐えることは求められない。

とはいえ、客に怒鳴り返した場合、上司からどれほど叱られるかは、その上司次第というところも大きいね。

— u/SirVictoryPants(ドイツ)

私の限られた経験では、上司が従業員を守るために間に入り、必要なら客を出入り禁止にすることもあるよ。

— u/JonnyPerk(ドイツ)

ノルウェーで電話による顧客対応をしていた人は、次のように振り返っています。

2年間、電話で顧客対応の仕事をしていました。

いつも何とか助けようとしていましたが、相手が怒鳴ったり悪態をついたりし続けて、話がまったく進まないときは、落ち着いてからかけ直すよう伝えて電話を切りました。

その後、同じ人から電話が来たときに次の担当者が分かるよう、顧客情報にメモを残していました。

言葉による虐待を受け入れなければならない人なんていません。可能なら、そこで対応を打ち切ってもまったく問題ないと思います。

— u/HelenEk7(ノルウェー)

ポーランドでは、実際に客を追い返した経験も紹介されました。

ポーランドでは、そんな振る舞いは通用しないと思う。

小さな店で働いていたことがあるけど、一度、客が大騒ぎしたとき、店長はその人に「とっとと出ていけ」と言った。

チェーン店やスーパーなら、警備員を呼んで追い出してもらうだろうね。

考え方としては、店のサービスを必要としているのは客のほうなんだから、きちんと振る舞うか、帰るかのどちらかだということ。

礼儀正しくサービスを受けようとする客はほかにもたくさんいるし、一人帰ったところで店は困らない。

— u/jan04pl(ポーランド)

もちろん、これらは各国の投稿者が語った経験や考えであり、欧州全体の統一したルールではありません。

それでも、コメントからは、店員が客に丁寧に接することと、客の暴言を我慢することを分けて考える姿勢がうかがえます。

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「客は常に正しい」という言葉への不満も

「お客様は神様」と似た言葉として、アメリカなどでは「The customer is always right(お客様は常に正しい)」が知られています。

2026年6月、接客業について語るRedditコミュニティ「r/CustomerService」に、レストランで接客やバーテンダーの仕事をする人が、失礼な客が増えていると感じるという投稿をしました。

Increase in Rude and Entitled Customers
by u/bejeweledbabie in CustomerService

ある女性客がチーズの盛り合わせを半分ほど食べた後、15~20分ほど手を付けていなかったため、投稿者は持ち帰り用の容器が必要かと尋ねたそうです。

すると女性客は、「もう食べ終わったように見える? まだグラスにワインが残っているのに!」と不機嫌になり、その後も皮肉を言い続けたといいます。

投稿者は、こうした態度を取られても笑顔で対応しなければならないことに不満を漏らしていました。

コメント欄では、客の態度だけでなく、従業員を守る管理職の責任についても意見が寄せられています。

どの立場の管理職も、自分の従業員を守り、支える必要がある。

相手がどんな一日を過ごしたか、どんな人生を送っているかなんて知ったことじゃない。接客する人に失礼な態度を取ったり、暴言を浴びせたりするのはやめてほしい。

声を荒らげたり、悪態をついたり、相手を侮辱したりした時点で、まず落ち着くように言う。それでもやめなければ、出ていってもらう。

— u/BabyTenderLoveHead

先ほどの欧州スレッドには、客に怒鳴り返しても処分されなかったという体験談に対し、アメリカから次のような反応もありました。

アメリカだったら、そんなことをしたら即座に解雇されるか、それと同じくらいひどい目に遭っていたと思う。

— u/Kool_McKool(アメリカ)

このコメントは2021年の個人的な見解ですが、客への対応をめぐる従業員の立場が、職場によって大きく異なり得ることを考えさせます。

シンガポールでは、上司が客に「警察を呼ぶぞ!」

従業員を守る上司の行動については、シンガポールのRedditコミュニティ「r/askSingapore」でも印象的な体験が語られていました。

Service-line workers of SG: what’s the worst customer experience you had?
by u/go_zarian in askSingapore

2025年8月、接客業で経験した最悪の出来事を尋ねるスレッドに、ホテルで働いていた人が20年以上前の体験を投稿しています。

もう20年以上前の話だけど、当時16歳だった私は、グランド・ハイアットでベルボーイ(ホテルで客の荷物を運ぶ係)をしていた。騒がしい若者がホテルに入ろうとしたら、満室だと伝えて引き止めるよう指示されていたんだ。

ある週末の夜、明らかに酔っぱらって大声を出している男女2組のカップルがやって来た。ベルボーイの責任者がその場にいなかったから、自分で対応するしかなかった。

ロビーの近くまで来たところで、「申し訳ありませんが、当ホテルは満室です。この先にもほかのホテルがあります」と伝えた。

すると男2人が罵声を浴びせ、私を押しながら、どうしても部屋が欲しいと言い張った。女性2人は少し離れたところにいて、そのうちの1人は入口近くで吐いてしまった。後でそれを片付けたのも私だった。

幸い、ホテルのマネージャーが近くにいて、何が起きているかを見ていた。

彼は普段、本当に優しい口調で、とても礼儀正しい人だったんだけど、外に出てきてこう怒鳴ったんだ。

「もう一度こいつを押したら警察を呼ぶぞ! お前ら全員、今すぐここから出ていけ!」

そして、犬を追い払うように彼らを追い出した。

ベルボーイには福利厚生として普通の従業員食が出るんだけど、その日、マネージャーは私の勤務が終わったときに、シェフに頼んで特別に素晴らしい食事を作ってくれた。

今でも彼の名前を検索して探しているけど、どこへ行ったのか分からない。中東のどこかのホテルで高い役職に就いて、幸せに暮らしていてほしい。

タイブさん、ありがとう。

— u/honeybakedhammyham

普段は穏やかな上司が従業員を守るために怒鳴ったというエピソードです。

投稿者が20年以上たってもこの出来事を覚えていることから、当時の対応が本人にとってどれほど心強かったのかが伝わってきます。

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オーストラリアでは「客だけでなく、会社にも問題がある」

一方、現場の従業員を苦しめているのは、必ずしも客の態度だけではありません。

2025年3月、オーストラリアのコミュニティ「r/australia」では、コンビニのセブンイレブンで、従業員が一人で多くの仕事を抱えている様子を見た人が、働く人々を支えようと呼びかけました。

Retail workers of Australia need our support
by u/plannerdon in australia

投稿者によれば、その店では一人の従業員がレジ対応、品出し、清掃、簡単な調理まで担当していたそうです。

これに対して、実際に小売店で働いていた人も経験を語っています。

以前、地元のFoodWorks(オーストラリアのスーパーマーケット)で働いていたけど、私たちは3人分の仕事をすることを求められていた。

客の対応、調理、清掃、惣菜の準備を全部同時にやらなきゃいけなかった。

仕事が遅れると上司に叱られたけど、その上司自身はほとんど何もしていなかったから、余計につらかった。

否定的な評価しかもらえず、いつも自分がひどい人間であるかのように感じさせられて、自信にも悪い影響があった。

その後、少しだけ条件のいい別の仕事が見つかったので辞めたよ。

— u/EternalAngst23

また、客として店員を守りたいという声もありました。

働きすぎの店員が客から罵倒されているのを見るのは本当に嫌だ。

店員本人は失礼な客に言い返せないかもしれないけど、私は喜んで代わりに言い返すよ。

— u/rainbowsent

ここでは客の態度だけでなく、人手不足や職場環境も問題になっています。

人員配置や過重労働は、今回の日本のカスハラ対策とは別の問題です。ただ、従業員を守るためには、客の言動だけでなく、職場の負担や上司の対応にも目を向ける必要があると感じさせる話です。

イギリス「客が悪いとは限らない」という意見も

ここまで従業員側の体験を中心に見てきましたが、接客をめぐるトラブルでは、客の要求がどこまで妥当なのかという問題もあります。

2025年12月、イギリスのコミュニティ「r/AskUK」に、17歳の投稿者がガソリンスタンドで目撃した出来事を紹介しました。

What to do when behind a rude customer in line to check out?
by in AskUK

その店では、女性従業員が一人で2台のレジを担当していました。

ある女性客がまだカードで支払っている最中に、店員が「次の方どうぞ」と声をかけると、列に並んでいた男性が、攻撃的な口調で「ちゃんと支払いを終わらせてあげなよ」と言ったそうです。

会計中だった女性はその男性にお礼を言いました。

男性はさらに、混雑しているのになぜ店員が一人しかいないのかと問い詰めました。店員は最初は答えませんでしたが、繰り返し尋ねられ、人手不足だと説明したそうです。

投稿者は店員を気の毒に思い、どう対応すればよかったのかと尋ねました。

寄せられた意見は、必ずしも一致していません。

私なら普段以上に丁寧に接して、「今日は大変な日ですね」といった言葉をかけると思う。

ひどい客ばかりじゃないと、その場ですぐに店員に思い出してもらうためだよ。

人手不足は店員の責任じゃないからね。

ただ、失礼な客がよほど度を越していない限り、その人に直接関わる価値はない。関われば、巻き込まれたくもない口論に引きずり込まれるだけだから。

— u/ActGrouchy5018

一方、レジの経験者からは、店員側の対応にも問題があったのではないかという声がありました。

私は何年もレジの仕事をしていたけど、まだ支払い中の客がいるのに次の客を呼ぶのは失礼だよ。

私たちは、そうしないように特に訓練されていた。

取引が終わるまで待ち、レシートが必要か尋ねて、お礼を言ってから次の客に移るんだ。

今回の場合、支払っていた女性が苦情を言った男性にお礼を言っていたのなら、その女性も不快に感じていたのは明らかだと思う。

— u/Fruitpicker15

これに対して、元投稿の状況説明を別の意味に解釈した人もいました。

私はそう思わないな。店員は、支払い中の女性と同じレジではなく、もう一台のレジに次の人を呼んだんだと思う。

「2台のレジを担当していた」と書いてあるからね。

もしそうなら、私だったら気にならない。カード決済の端末のそばに別の人が来て、急かされるわけじゃないんだから。

— u/Cloielle

また、客の主張と態度は別に考えるべきだという意見もありました。

悪意を込めて言っているときって、分かるものだよね。

男性の言い分は正しいかもしれない。でも同時に、嫌な奴でもあり得る。どちらも同時に成り立つんだ。

— u/thebadhabitrabbit

このやり取りでは、店員の対応が適切だったのかという事実関係さえ、参加者によって受け取り方が異なっていました。

正当な苦情を伝えることと、相手を威圧することは分けて考える必要がありそうです。

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客と店員、どちらも人間だからこそ

今回確認した海外のスレッドでは、「客は王様」という言葉を冗談にする人もいれば、理不尽な客を拒否できる職場について語る人、従業員をかばった上司に感謝する人もいました。

一方で、客にも適切なサービスを求める権利があり、従業員側の対応を検討する必要があるという意見も見られました。

日本で始まった新たなカスハラ対策も、客からの正当な苦情を否定するものではなく、社会通念上許容される範囲を超えた言動から従業員を守るため、事業主に防止措置を求める制度です。

「お客様は神様」という言葉をどう捉えるかは人それぞれですが、相手が働く一人の人間であることは、どの国でも変わらないのかもしれませんね。

参考情報と翻訳元

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