日本食は人気なのに、住むと「飽きる」? 在住外国人の声を追うと“慣れ親しんだ味”が見えてきた

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(最終更新日:2026年9月19日)

「選択肢はたくさんあるのに、同じような味の繰り返しに感じる」。

日本に2年間暮らしているという海外ユーザーが、海外掲示板Redditにそんな悩みを投稿しました。日本食は海外でも知られていますが、旅行で数日食べるのと、毎日の食事になるのとでは話が違うのでしょうか。

Has anyone else experienced periods where you just get really tired of the food here?
by u/Additional_Bear8735 in japanresidents

コメントを追ってみると、「自分も飽きた」という人がいる一方、何年住んでも飽きないという人もいました。そして調べていくと、これは日本食の評価だけではなく、海外で暮らす人にとっての「慣れ親しんだ味」の話でもあるようです。

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「こんなに選択肢があるのに、同じ味に感じる」

投稿されたのは、日本在住者向けのRedditコミュニティ「r/japanresidents」です。

投稿者は、日本に来て2年ほどで食事にかなり飽きてきたと書いています。薄味に感じるものが多く、香辛料が少ないことや、甘みのある味付けが気になるとのこと。手頃な外国料理店へ行っても、自分には「日本向けに変えられた味」に感じるといいます。

ただ、投稿者自身も、これは気分の落ち込みによるものなのか、味覚の問題なのか、その両方なのか分からないとしていました。

特に不思議に感じているのが、食べ物の種類そのものは多いことでした。

見た目では、本当にたくさんの食べ物から選べるんだ。でも、同じような味が何度も繰り返されているように感じる。
— u/Additional_Bear8735

もちろん、これは投稿者個人の味覚と生活環境についての感想です。「日本の食事は実際にどれも同じ味」という意味ではありません。

実際、コメント欄でも意見はかなり割れました。

「日本食が悪いのではなく、育った料理が食べたくなる」

投稿者に共感した人の中には、日本食そのものへの不満とは少し違う説明をする人がいました。

2年もかかったの? 私は2か月だったよ。それからは、自分が育ってきた料理を自分で作っている。日本食が悪いという話じゃない。毎日の食事となると、何年も慣れ親しんできたものが欲しくなるんだと思う。
— u/hai_480

別のユーザーは、秋になると両親が作っていたロースト料理、チリ(肉や豆などを煮込んだ料理)、スープ、シチュー、ケーキなどを思い出すと書いていました。

秋になると、懐かしい料理を作りたくなる。両親が作るロースト料理やチリ、スープ、シチュー、ケーキなんかの味が、ほとんど口の中に浮かぶくらい。
— u/UmaUmaNeigh

そして、かなり象徴的だったのがこちらです。

自分が育ってきた料理は、直感的に「ほっとする食べ物」になっている部分があると思う。

(中略)

私はインド系で中東育ちだから、シャワルマやパラタ、ブリトーがそういう食べ物なんだ。月に一度くらい、それを食べに行って充電する必要がある。
— u/TenthNazgul

シャワルマは中東で広く食べられている焼いた肉を使った料理、パラタは南アジアなどで食べられる平たいパンです。ブリトーは、肉や豆などの具材を薄い生地で包んだ料理を指します。

日本の料理がおいしいかどうかとは別に、「自分にとって日常の味とは何か」という問題が見えてきます。

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日本で暮らす外国人の食生活を調べた研究がある

似た現象を、日本に住む外国人へ直接尋ねた研究もありました。

2023年、新潟大学の研究者らが新潟県に住む外国人を対象に、来日後の食生活の変化を調べています。128人がアンケートに回答し、そのうち21人が詳しい聞き取り調査にも参加しました。

そこで出てきた要因は、単に「日本食が好きか嫌いか」ではありませんでした。

食材を入手できるか、価格はどうか、料理する時間があるか、一人暮らしか、宗教上の制約があるか。そして「母国の料理や味を好む」という食習慣そのものも関係していました。

聞き取りでは、母国で食べていたものが恋しくなる、日本で売られている似た商品でも味が違うため避ける、手に入らない食材を別のもので代用する、作れない料理は諦める、といった経験も報告されています。

これは今回のRedditで、

毎日料理しているけど、日本料理は作っていない。問題は、母国では普通に手に入った食材が、ここでは見つけにくかったり、ものすごく高かったりすること。
— u/amoryblainev

と書かれていたこととも重なります。

ただし、この研究は新潟県で行われたもので、アンケート回答者128人のうち85人、約3分の2が学生でした。研究者自身も、東京などの大都市では外国料理店や輸入食品店の環境が異なることなどを挙げ、日本に住む外国人全体へそのまま一般化できない点を研究の限界としています。

食べ物は「味」だけではなく、故郷の記憶とも結びついている

もう一つ手がかりになるのが、食べ物と懐かしさについての研究です。

2025年3月にオンライン公開され、学術誌『Cognition and Emotion』の2026年号に掲載された研究では、「個人的に懐かしい食べ物」を思い浮かべることと、安心感や人とのつながりの感覚との関係が調べられました。

実験では、懐かしい食べ物が社会的なつながりを感じさせ、それを通じて「ほっとする感覚」につながる経路が示されています。

若い大学生を中心とした研究で、日本在住の外国人を対象にしたものでもありません。そのため、今回のスレッドで語られている感覚の原因を直接説明する研究ではありませんが、慣れ親しんだ食べ物が味覚だけではなく、人とのつながりや安心感と結びつく場合があることを考える手がかりにはなります。

さらに、2025年に学術誌『Appetite』で発表されたレビューでは、移住や移動と食を扱った76件の研究が整理されています。そこでは、食習慣が移住後の適応だけでなく、アイデンティティや所属感とも関係していることが取り上げられていました。

そう考えると、「日本食に飽きた」という言葉だけでは少し足りません。

知らない国で暮らし始めれば、料理そのものだけでなく、いつものパン、いつものチーズ、いつもの香辛料、家族が作っていた料理まで、毎日の食卓からまとめて消えることがあります。

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もちろん「何年住んでも飽きない」という人もいる

一方で、この感覚が誰にでも起きるわけではありません。

私は子どものころや母国の料理をほとんど食べない。ちゃんとしたメキシコ料理が恋しくなることはあるけど、たまに外で食べたり家で作ったりするくらい。普段は日本食中心だけど、ほかの国の料理も楽しんでいる。もう10年近く住んでいるけど、すごく満足しているよ。
— u/yankiigurl

また、20年近く日本に住んでいるというユーザーからは「まったく共感できない」という反応もありました。東京などでは世界各地の料理を選べるため、食の選択肢には困らないという意見も出ています。

新潟県の研究でも、日本食を食べる機会が増えたり、日本の味を新たに好きになったり、自国の料理と日本料理を組み合わせる人が確認されています。

日本で暮らせば必ず故郷の料理へ戻るわけでも、必ず日本の料理へ完全に慣れるわけでもないようです。

「日本食に飽きた」だけではなかった

今回のスレッドだけを見れば、「日本の料理は薄味か」「外国料理が日本向けに変えられすぎているか」という好みの議論にも見えます。

ところが研究まで追ってみると、別のものも見えてきました。

海外で長く暮らす人にとっては、食事が「その国のおいしいものを食べる」という旅行時の体験から、毎日繰り返す生活へ変わります。そのとき恋しくなるのは、高級料理ではなく、むしろ何年も当たり前に食べていた味なのかもしれません。

「日本食に飽きた」という一言の中には、ときどき「自分の普通の味を食べたい」も混ざっているようです。

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参考情報と翻訳元

  1. Reddit「Has anyone else experienced periods where you just get really tired of the food here?」
    r/japanresidents(日本に住む外国人・在住者を中心としたコミュニティ)、2025年10月23日。記事で紹介した投稿とコメントの翻訳元。
  2. Post-Migration Changes in Dietary Patterns and Physical Activity among Adult Foreign Residents in Niigata Prefecture, Japan: A Mixed-Methods Study
    2023年、新潟大学の研究者らによる研究。新潟県在住の外国人128人へのアンケートと、そのうち21人への聞き取り調査から、来日後の食生活の変化と、食材の入手性、価格、生活環境、味の好みなどを確認。
  3. Food and eating practices in migration processes: A scoping review
    2025年に学術誌『Appetite』で発表されたレビュー。移住や移動と食を扱った76件の研究を整理し、食とアイデンティティ、適応、所属感などとの関係を確認。
  4. Food nostalgia and food comfort: the role of social connectedness
    2025年3月にオンライン公開され、2026年号に掲載された研究。懐かしい食べ物と安心感、人とのつながりの感覚との関係を確認するために使用。

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