韓国や中国へのイメージは、どう形づくられ、どう変わってきた? 世論調査と海外の声から見えてきたこと

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料理や旅行、アニメ、ゲームなど、政治とも外交ともほとんど関係のない記事だったはずなのに、コメント欄を見ていると、いつの間にか「韓国は――」「中国人は――」という話が始まっていることがあります。

もちろん、中国政府の政策に不満を持つ人もいれば、韓国との歴史問題を重く考える人もいるでしょう。それ自体は不思議なことではありません。

それでも少し気になることがあります。目の前で起きている出来事とは関係のないところまで、なぜ「国」という大きなイメージがついてくるのでしょうか。

そして、もう一つ。

自分が持っている韓国や中国へのイメージは、そもそも何をきっかけに形づくられたものなのでしょう。

少し昔までさかのぼってみると、その答えは思ったより単純ではありませんでした。

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日本人は昔から中国や韓国を同じように見ていた?

現在の感覚からすると、少し意外に見える数字があります。

1985年の内閣府の世論調査では、中国に「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」と答えた人を合わせると75.5%でした。当時の韓国は45.4%です。

もっとも、古い調査と現在では調査方法などが異なるため、「40年間で正確に何ポイント下がった」という比較には向きません。それでも、過去に現在とはかなり異なる結果が出ていたことは分かります。

韓国への印象も一直線ではありません。

2010年には韓国に親しみを感じる人が61.8%いましたが、日韓関係が悪化していた2019年には26.7%まで低下し、2025年には再び54.7%となっています。

ここで見えてくるのは、「日本人は昔から中国や韓国をこう見ていた」という一枚岩の姿ではありません。

少なくとも世論調査を見る限り、外国への印象は時期によってかなり動いています。私たちの頭の中にある「中国」や「韓国」は、何十年も同じ形をしていたわけではないようです。

しかも、いまの韓国と中国も同じではない

もう一つ、まとめてしまうと見えなくなることがあります。

2025年の内閣府調査では、韓国に親しみを感じる人は54.7%、感じない人は44.8%でした。

一方、中国では親しみを感じる人が15.9%、感じない人が83.5%です。

つまり少なくとも、「親しみを感じるか」という質問に対する現在の回答は、韓国と中国で大きく異なります。「嫌韓・嫌中」と一つの言葉にまとめるだけでは、現在の対外意識をうまく説明できません。

ところが、同じ調査には別の数字もあります。

今後の日中関係の発展を「重要だと思う」とした人は71.9%。日韓関係では76.2%でした。

中国に親しみを感じないことと、「中国との関係など必要ない」と考えることも同じではないようです。

ここで「好きか、嫌いか」という二択が少し怪しくなってきます。

中国政府の政策には強く反対しているけれど、中国との関係は重要だと思う。韓国の政治には不満がある一方で、韓国の料理や音楽は好き。

そうした感情は、一人の中でも同時に存在できます。

では、その評価が「その国の人」に向かったときはどうでしょう。

「国が嫌い」と「そこにいる人が嫌い」は同じ?

ここからいくつかRedditのコメントを紹介しますが、これらは日本、中国、韓国の世論を示すものではありません。

統計の数字だけでは見えにくい、「国」と「そこに暮らす個人」をどう分けて考えている人がいるのかを見るための例として取り上げます。

Redditのr/AskAChineseでは、中国人観光客がなぜ日本を訪れるのかという質問が投稿されていました。

そこでは、ある投稿者が、自分はアメリカ政府やトランプ氏には否定的だが、それを理由にアメリカ人へ失礼な態度を取るつもりはないと説明しています。

国や政府についての評価と、そこに暮らす個人への態度を分けて考えているわけです。

同じスレッドでは、中国には日本そのものを嫌って旅行しない人もいれば、日本が好きで訪れる人もいるし、特別な好悪はなく、安く、安全で楽しめるなら旅行するという人もいる、という意見も出ていました。

「中国人」という言葉を一つの人格のように扱い始めると、こうした違いは見えにくくなります。中国のように人口規模の大きな国で、全員が同じ政治観や歴史認識、日本への感情を共有しているとは考えにくいでしょう。

韓国人や日本人についても同じです。

ただし、「政府と国民を分ければそれですべて解決する」という話でもありません。

韓国と日本の関係について語った別の投稿者は、政府と国民を完全に切り離すことはできないと考えていました。隣国同士である以上、政治的な出来事が一般の人々の感情にも影響するという見方です。

たしかに政府、国家、社会、そこに暮らす人々は完全に無関係ではありません。

それでも、政府への評価から、その国に暮らす一人の人間への評価までを、一度も立ち止まらずにつなげていいのか。

そこにはまだ考える余地がありそうです。

「会ったこともない人を、どうして嫌わなきゃいけないんだ?」

r/askasiaのスレッドでは、中国のフレアを付けた投稿者が、こんな疑問を投げかけていました。

「会ったこともない人を、どうして嫌わなきゃいけないんだ?」

その後、この投稿者はナショナリズムやプロパガンダが人の考えに影響するのではないか、という自分なりの見方も示しています。原因についての部分は投稿者個人の分析ですが、最初の問いは少し引っかかります。

私たちは、会ったことのない何千万人、何億人という人について、何を材料にイメージを作っているのでしょう。

ニュースや学校で習った歴史、家族から聞いた話かもしれません。映画やドラマ、ネットの記事、SNSで流れてきた動画が影響している人もいるでしょう。

どれも、その国を知る材料にはなります。

ただ、それらを通して知る「国」と、実際に目の前に現れる一人の人間は、必ずしも同じではありません。

r/AskChinaでは、日本人男性と中国人女性の交換留学生を知り合わせたという体験談がありました。

投稿者によると、二人が知り合ったあと、中国人の女性は日本人男性の親切さや礼儀正しさに驚き、それまで想像していた日本人像とは違ったという趣旨の感想を口にしたそうです。

ここで大事なのは「日本人は親切だ」という話ではありません。

実際に会う前から、その女性の中に何らかの「日本人像」があり、一人の人と出会ったことで、それまでのイメージとの違いに気づいたことです。

似たことは、日本人の側にもあるのかもしれません。

2026年の日韓国民相互認識調査では、韓国を訪れた経験のある日本人回答者447人のうち79.6%が、韓国への肯定的な印象を維持した、または強めたと答えています。

もっとも、これだけで「韓国へ旅行すれば印象が良くなる」とは言えません。もともと韓国に好意的な人ほど旅行へ行きやすい可能性もあります。

ただ、ニュースやネットから作られる外国像とは別に、実際に歩いた街や話した人から作られるイメージもあるようです。

歴史への怒りと、今の個人への感情は同時に持てる

ここで歴史を無視するわけにもいきません。

r/AskChinaでは、アメリカ生まれの中国人だという投稿者が、日本が中国に対して行った戦争犯罪について読むと怒りを感じると語っていました。家族から当時について聞いた経験もあり、悲しさも感じるそうです。

一方で、これまで実際に出会った親切な日本人のことも思い出すと説明しています。

歴史への怒りと、現在出会った日本人一人ひとりへの感情を、その人の中では分けて考えていました。

これは、「昔のことは忘れよう」という話とは違います。

歴史上の出来事に怒ること。政府の対応に不満を持つこと。今を生きる一人の人間をどう見るか。

それらは必ずしも、一つの答えにまとめる必要がないのでしょう。

国への感情は、一つのスイッチではないのかもしれません。

同じ国でも、世代によって「入口」が違う

世代差を見ると、さらに別のものが見えてきます。

2025年の内閣府調査では、中国に「親しみを感じる」割合は18~29歳と30歳代で比較的高く、韓国では18~29歳で高くなっていました。

韓国側にも世代による違いがあります。

韓国のシンクタンク、東アジア研究院(EAI)の2025年調査では、日本に好意的な韓国人の割合は18~29歳で62.7%、30~39歳で57.9%でした。また、若い世代ほど日本について文化やスポーツなどを連想し、上の世代ほど歴史問題や竹島/独島問題などを挙げる傾向が確認されています。

ここから「若者は偏見がなく、上の世代は偏見を持っている」と考えるのは早すぎます。

むしろ気になるのは、同じ国を知る入口が違うことです。

ある世代にとっての韓国は、外交問題や歴史問題のニュースを通して知る存在だったかもしれません。別の世代にとっては、K-POPや韓国ドラマ、旅行や食文化が先だったかもしれない。

中国についても、経済成長や外交問題、中国製品、ゲーム、SNS、旅行など、その国と接触する入口はいくつもあります。

最初に触れた情報が違えば、頭の中に作られる「その国」の輪郭も少し違ってきそうです。

しかも、年齢だけでその人の考え方が決まるわけでもありません。

大阪大学の辻大介氏が2007年と2014年のウェブ調査を分析した研究では、中国・韓国への排外的態度、保守・愛国的な政治志向、ネット上で政治・社会問題について意見を発信・議論すること、という複数の条件を組み合わせて「ネット右翼」を操作的に定義しています。

その層について、年齢や学歴に有意な特徴は確認されませんでした。

つまり、「昔のネットで見たような言葉を使っているのだから、昔からネットをしている中高年だろう」と推測することもできません。

では、昔のネットで広がった言葉や見方と、現在の言説にはどの程度つながりがあるのでしょう。

20年前の「語り方」と、今のネットはどこまでつながっている?

2011年に発表された研究では、日本語圏のインターネットにおける嫌韓・嫌中言説を分析する中で、韓国・北朝鮮・中国を「反日」国家として一括りにし、「特定アジア」と呼ぶようなネット右翼文化と、2000年代初頭の2ちゃんねるなどとの関係が論じられています。

一方、その研究自体も、2ちゃんねるという巨大な掲示板全体を嫌韓・嫌中的だったと単純に捉えることはできないとしています。

ここから直接分かるのは、現在見られる一部の表現や物事の捉え方と似た言説が、2000年代初頭のネット文化の中ですでに存在していたというところまででしょう。

それが現在までどのように伝わってきたのかについては、今回確認した研究だけでは直接証明できません。

ただ、一つの可能性として考えるなら、ネット上の言葉や定型的な説明は、それを最初に使った人とは別の人にも使われていきます。

元になった出来事を詳しく知らなくても、何度も同じ表現を目にするうちに、その言葉だけを覚える。そして、さらに別の人が使う。

そうした形で、最初の文脈を知らない世代にまで「語り方」が伝わることもあるのかもしれません。

これは今回の資料から直接確認された事実ではなく、ここまで資料を追ってきたうえでの一つの見方です。

少なくとも、「20年前から同じ人が、同じ考えのまま書き続けている」と年齢まで推測する必要はなさそうです。

ネットで目立つ人数と、社会全体の割合は同じ?

辻氏の調査では、先ほどの複数条件をすべて満たして「ネット右翼」と操作的に分類された人は、2007年調査で1.3%、2014年調査で1.8%でした。

ここは注意が必要です。

この1.3%、1.8%は、「韓国や中国に否定的な感情を持つ人」の割合ではありません。

中国・韓国への排外的態度だけでなく、政治志向や、ネット上で政治・社会問題について意見を発信・議論することなどを組み合わせた、研究上の定義に当てはまった人の割合です。

したがって、この数字から「嫌韓・嫌中の人は1~2%しかいない」と結論づけることはできません。

実際、先ほど見た2025年の内閣府調査では、中国に親しみを感じないと答えた人は83.5%です。

外国への否定的な印象そのものと、ネット上で政治・社会問題について意見を発信・議論することを含む複数条件で定義された層を、同じ数字で扱うことはできないということです。

ただし、「ネットだけの話」でもない

逆方向に行きすぎるのも危険です。

出入国在留管理庁が実施した2025年度の「在留外国人に対する基礎調査」では、ヘイトスピーチを受けたり見聞きした人に、その場所を複数回答で尋ねたところ、「インターネット」が71.4%と最も多くなっています。

もちろん、これは「韓国が嫌い」「中国政府の政策に反対だ」といったコメントをすべてヘイトスピーチと呼んでいる数字ではありません。

それでも、外国人に対する差別的な言動が見聞きされる場として、インターネットが大きな位置を占めていることは分かります。

r/AskAJapaneseでは、日本で生まれ育ったという投稿者が、中国や韓国についてネット上には極端な思想もあるとしたうえで、自分の考えに合う記事ばかり読んでいると、自分の考えまで極端になり得るという趣旨の注意を書いていました。

この投稿者自身にも、日本のメディアや中国・韓国について独自の評価があります。その部分まで記事側が事実として受け入れる必要はありません。

それでも、「同じ種類の情報を繰り返し見続けたら、自分の認識はどうなるのか」という問いは残ります。

SNSなどで似た意見を何度も目にしていると、「よく見る意見」が、いつの間にか「誰もがそう思っている意見」のように感じられることもあるかもしれません。

ネット上の敵意を無視するのも違う。でも、ネット上で目立つ声を、そのまま社会全体だと思うのも違う。

どうやら、両方を同時に見る必要がありそうです。

相手国への印象が動くのは日本だけではない

相手側から日本を見ると、ここまでの話がさらに分かりやすくなります。

韓国のシンクタンク・東アジア研究院(EAI)と日本の国際文化会館による日韓国民相互認識調査では、韓国側で日本に「良いイメージ」を持つ人は2020年には12.3%でした。

2026年には54.3%です。

「悪いイメージ」は同じ期間に71.6%から38.5%へ下がりました。

わずか6年間でも、相手国への印象は大きく変化しています。

一方、2024年の日中共同世論調査では、中国側回答者の87.7%が日本に「良くない印象」を持ち、日本側では89.0%が中国に「良くない印象」を持っていました。

ただし、中国側調査は北京、上海など10都市の18歳以上1,500人を対象にした面接調査です。「中国人全体の87.7%」と置き換えることはできません。

この調査から分かるのは、少なくとも今回調査された日中双方で、相手国への否定的な印象が非常に高かったということです。それだけで、「双方が相手国の人々を国籍だけで一括りにしている」とまでは言えません。

それでも、日本から韓国や中国を見る場合だけでなく、韓国から日本、中国から日本を見る場合にも、相手国へのイメージが存在し、その内容が時期によって変化することは確認できます。

その間には、政治関係の変化や旅行・交流の広がり、新しい文化との接触、大きな外交問題など、さまざまな出来事があります。どれがどの程度影響したのかをこの数字だけから切り分けることはできませんが、そうした社会の変化とともに、相手国への印象も動いています。

「国民感情」という言葉で一つにすると固そうに見えますが、その中身は思っているより動いているようです。

その国へのイメージは、いつ更新すればいい?

外国について何らかのイメージを持つこと自体は、おそらく避けられません。

中国政府の政策を調べて、以前より厳しい評価になることもあるでしょう。韓国との歴史問題について調べ、考えが変わることもある。逆に、実際に旅行して、それまで知らなかった一面を見ることもあります。

更新するというのは、好きになることではありません。

結論を好意的な方向へ変えることでもありません。

これまで判断に使ってきた材料だけで決めず、新しい情報や経験も加えながら、もう一度見直してみることです。

20年前にネットで読んだ話。10年前の外交問題。テレビで見た事件。旅行で出会った一人の人。SNSで話題になっていた一つの動画。

どれも、その国について考える材料にはなります。

ただ、それ一つで何千万人、何億人という人間を一つの性格にまとめようとすると、どこかで無理が出てきます。

韓国を好きになる必要はありません。中国を好きになる必要もありませんし、政府や政策を批判することもできます。

ただ、次に「中国人だから」「韓国人だから」と考えそうになったとき、自分がそのイメージをどこで覚えたのかを一度思い出してみる。

それくらいなら、やってみてもいいのかもしれません。

その国へのイメージ、最後に更新したのはいつだったでしょうか。

(最終更新日:2026年9月11日)

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